「どの視点で見るかによる」雪山の絆 リバーさんの映画レビュー(感想・評価)
どの視点で見るかによる
★3.1か★3.2というところ。
事前になにも情報を知らずにタイトルだけを見て鑑賞。
序盤で何か知っているストーリーだなと思い、遺体を食べるかどうかの議論を始めたところでリメイクだと気づいた。
確か実際にあった墜落事故を基に制作された映画が昔あったなと思い出した。
子供の頃、兄が墜落事故で人肉を食べて生き延びた人たちが実際にいて、その映画があると言っていた。
まだ幼かったため結局その映画を観たのか兄の話を聞いて知っていただけなのか覚えていないが、後から調べればイーサンホーク主演とのことで記憶にないからやはり観ていないのかもしれない。
いずれにしてもこの映画は人肉を食べて生き延びた人たちがいるというあまりにもショッキングな実話を基にしており、その部分だけがフィーチャーされがちなため映像化する際には何を描きたいかが重要になると思うけれど、本作品についてはあまりよく分からなかった。
墜落で生き残った人たちの友情は確かに上手く表現されていた。
励ましあい、支えあい、生き延びるために人肉を食べるかどうかの議論についても丁寧に描いていて、ヌマの最期しかり感動的な話ではあった。タイトルからすると過酷な状況でも人は互いに支えあって生きることができるという美談にしたかったのかもしれないが、フィクションであれば良い作品といえると思うけれど、ベースがノンフィクションであることを考えると美談にしすぎることに違和感を覚えてしまう。
救助されたあと英雄扱いされることに戸惑い、死んでいった仲間を想い苦悩している姿も描かれているが、実際のその後の人生はもっと壮絶なのではないかと想像する。
また、死ぬかもしれない恐怖の中で日々憔悴していく人々も、もっと緊迫した状況でも不思議ないのにあれほど冷静に互いを尊重し合えたのかも疑問が残る。
機会があれば生存者のインタビューなど書籍を読んでみたい。