「アニメよりはるかに素晴らしかった」劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re: レッドベイルさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメよりはるかに素晴らしかった
すいません、アニメも楽しく見ていたのですが、個人的には映画版のラストがものすごく腑に落ちました。
逆にバンドメンバーが仲良く描かれたグッズ購入に並ぶようなアニメファンの人が本作を高評価していることを意外に思っています。
アニメではぼっちを卒業して、成長していくように捉えられなくもないラストでしたが、ちょっと違和感を感じていました。
その違和感の基となる描写を映画版であった部分より一部抽出すると、
・ひとりさんが、バンドで演奏・行動する場面で結局そこまで楽しそうに見えない
・お参りの場面が顕著なように、周りと関係が深まっても明らかに全体思考ではない
・未来の成功妄想に出てくるのが自分だけ
・追い込まれて思考停止に近い状態になったときに、一人での究極的な行動を選択した
といったところで、これにラストの幼年期の深い記憶を重ね合わせると、この映画版のひとりさんって、この先も結局ぼっちでロックすることを選び続けるのではないかと想像してしまうのです。
あのラストについて、この物語がぼっちを卒業することを目的をすことがゴールではなく、昔も今も、手を引いてくれる人がいたとしてもそちらには目を向けず、自分から選んでぼっちであり続ける人間であることを示すように感じます。
私には、ひとりさんがあのバンドで成功することを選ぶ画がどうしても見えません。
キタさんの成長を見る目も、応援というより、嫉妬・敵対的感情なのでは?と思って見てました。
もちろん友人関係としてはあの子たちに仲良くあって欲しいのですが、ひとりさんのロックとしては、いずれメンバーと離れると確信しています。いずれそうなる前提での前後編のラスト付近のメンバーとのあの絡みであれば、監督は、かなり残酷なカタルシスを生もうとしています。でも、現実のバンドってそんなものでは?と思うのです。
私はひとりさんがバンドを離れたとしても、最終的には全員が笑顔で終われるハッピーエンドは可能だと思います。
何しろひとりさんは、ギターヒーローです。もともと孤独なヒーローです。ぼっちざろっくってタイトルなのだから一人で奏でる運命なのです。
恐らくあるだろう続編がどんな方向性か分かりませんが、自分は仲良しこよしで終わるよりも、大傑作になるかもしれないこちらの路線を期待します。