「インディアンを見つけられたってことは、本当は奴らはそこにいない」めくらやなぎと眠る女 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
インディアンを見つけられたってことは、本当は奴らはそこにいない
最近こんな禅問答のようなセリフがやけに好みに合ってきた。
"どれだけ遠くに行こうとも、自分からは逃げられない"
"目に見えるものだけが現実とは限らない"
"君が君を選ぶ。上手くいくかどうかは、すべて君次第さ"
いくつもの言葉が胸に刺さるのは、僕が歳をとったせいなのだろうか。
物語は、カエルくんがでてきてはじまっていく。ん?カエルくんって?となるだろうが、カエルくんはカエルくんだ。「すずめの戸締り」のダイジンに似たようなものと思ってもいい(違うけど)。そう言ってしまうのは、彼がこのあと起こり得る大災害を防ぐ鍵を握るから。それがどう進展するかは、ここでは当然語らないけど。もしかしたら、カエルくんは、カタギリのイマジナリーフレンドなのか?とも思う。現実逃避したいカタギリが自らの心に作り出した生き物。でもそうじゃなさそうだけど。まあいい、目に見えるものだけが現実とは限らないのだし。その逆だってあり得るのだし。なにより、すべては自分次第なのだし。
今回、なんてスカした小説なんだと、あれだけ敬遠していた村上春樹にも興味も湧いた。「ノルウェーの森」は、まだ実家のどこかにあるだろうか。
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