劇場公開日 2024年7月26日

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めくらやなぎと眠る女のレビュー・感想・評価

全60件中、1~20件目を表示

4.5村上春樹とアニメーション、相性良し

2024年8月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

村上春樹の短編作品のいくつかを再構成して一本の物語へと仕立て直している。舞台は震災後の日本で、震災ニュースを延々と見続ける妻が突然失踪し失意の中にいる男と、その同僚である日突然巨大なカエルに自身を止めて東京を救えと言われる冴えない男を中心に、シュールで不可思議な人間模様を描く作品だ。村上春樹のシュール系の短編はアニメーションとこんなに相性いいのかと思わされた。ゆらゆらと不確かな実存に悩む人々の物語と言えるが、その不確かさがアニメーションという固定的な形状を持たなくて良い媒体で、映像として巧みに表現されていて面白い。
やっぱり「かえるくん、東京を救う」のエピソードは面白い。奇妙なカエルが突然目の前に現れて喋り出すだけでもシュールだが、そのシュールさに違和感も何も感じさせないのは、このアートスタイルだからか。
白昼夢を見ているかのような、奇妙な感覚に心地よさを感じさせる作品だ。
こういう企画は日本のアニメではなかなか成立できない。そういう意味でも貴重。

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杉本穂高

4.0異なる言語文化と表現の不確かなキャッチボール

2024年7月30日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

楽しい

知的

村上春樹作品の一愛読者として、近年映画化のペースが上がっていることは単純に喜ばしい。作家自身が映画「風の歌を聴け」の出来に失望して以来映像化のオファーのほとんどを断っていると何かで読んだ記憶があるが、年齢とともに映像化に寛容になってきたのだろうか。2018年の「ハナレイ・ベイ」と「バーニング」、2021年の「ドライブ・マイ・カー」、そして村上作品初のアニメ映画化が本作「めくらやなぎと眠る女」だ。

監督・脚本のピエール・フォルデスは、1990年代に映画音楽やCM曲の作曲家としてキャリアをスタートさせ、その後ドローイングやアニメ・実写の短編をいくつか発表してきた(自身のサイトpierrefoldes.comで過去の作品群や、「めくらやなぎと眠る女」のスケッチなども公開しているので、興味がある方はぜひ)。

フォルデス監督は米国出身だがパリで育ち音楽もフランスで学んだので、仏語・英語のバイリンガルと察せられる。本作の制作過程もなかなかユニークで、まずカナダで英語話者のカナダ人俳優たちを用いて実写撮影・録音し、その映像をベースにアニメーションを制作。このアニメ映像に合わせてフランス語の台詞を収録したものが公式のフランス映画になり、さらに深田晃司監督が演出した日本語版(翻訳協力は柴田元幸)が作られた、という流れだ。

言語と表現形式の変遷に注目すると、日本語の小説の翻訳から英語の脚本が書かれ、英語話者が演じた実写映像からアニメーションが制作され、さらに台詞をフランス語で収録した公式版、日本語で収録したバージョンがそれぞれ作られた。文化的背景の異なる日本語圏、英語圏、仏語圏の表現者たちがいわば作品をキャッチボールしたわけで、翻訳の過程で生じるわずかな表現のズレが映画そのものの奇妙な不確かさにつながっているように感じられ、それが個人的には楽しめるポイントの1つでもあった。

フォルデス監督のキャラクター造形からは、欧米の白人の目には東アジアの黄色人種がこんな風に見えているんだなというのが伝わってくる。これも文化を行き来した作品の妙味だろう。小村の風貌は、原作(「UFOが釧路に降りる」)ではハンサムでほっそりとした長身の設定だが、アニメの作画では村上春樹本人に寄せた気がする。

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高森 郁哉

4.0白昼夢にも似た夢と現の越境感が独特の余韻を残す

2024年7月30日
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鑑賞方法:試写会

以前、ある監督から「長編の村上文学は許可が下りにくい。短編小説の方がまだ可能性がある」と聞いたことがある。ただし、短編には短編で、長編とは違う特殊な持ち味があるため、結局のところ映画作家には斬新なアプローチが必要となるという。本作はまさにその言葉を裏付ける一筋縄ではいかない一作だ。6本の短編小説を緩やかに融合させている時点でかなり大胆というか恐れ知らずだが、もともと実写で撮られた映像をアニメーションへと変化させる過程で生じた、さながら白昼夢のような夢と現との越境感が独特な印象を刻む。極めて実験的、尚且つ出口のなかなか見えない作品であるため、見る者を選ぶ作品ではあるものの、小説でも映像でも変わらず「かえるくん」が愛らしく、一方、小説「かいつぶり」を基にした「長くて暗いトンネルをひたすら歩く」というイメージが、それそのものというよりは、主役らの心理模様として機能しているのが効果的で余韻を残す。

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牛津厚信

3.5To Be a Ghost in this Vision Called World

2024年6月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

This lucid French-directed anime is a talky musing on the descent into middle age life, a revisit to Linklater's Waking Life with the psycho-spiritual elements of a Miyazaki film. It was actually shot and animated similarly to the former, and instead of one character visiting different dreams, it's an anthology film based on Murakami's short stories. A welcome reflection on life's mundanity.

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Dan Knighton

1.5村上春樹、やっぱり、つまんない

2025年5月5日
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鑑賞方法:DVD/BD

ああ村上春樹、やっぱりつまらない。
韓国映画『バーニング 劇場版』や『ドライブ・マイ・カー』はなんとか観られたが面白いかと問われたら、
つまらなかった
としか応えない。
『ノルウェイの森』はトラン・アン・ユン監督の作品だと思えない程スカスカだった。
原因は原作の村上春樹によるものでしかないと思う。
(僕は村上龍の方がまだ読める読者で、村上春樹信者から説教されてもミーハー達のように分かったフリはしなかった。
村上春樹やその信者は、胡散臭さの臭さが消えない。
本作もそうかもしれない。)

本作はアニメーションとして奇抜な作風で気味悪く、
村上春樹の世界観にピッタリ、なのかもしれない。
僕は村上春樹の作品の登場人物に嫌悪感しかなく、
それは性別問わず、全く好きにはなれない。
女性は、なんでこんな非魅力的なキャラクターを主人公にするのか悩むほど理解ができない。
(本作も皆さんキライなキャラばかり。)
理解したいとも思わない。
完璧、僕とは合わない作家なんだと思うし、
それで片付けて深く考えなくてもいいだろう。

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なかじwithみゆ

3.0なにゆえに

2025年4月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

カエルくんサイドとめくらやなぎサイドに分けて進行したのかが最後まで分からなかったなぁ(あくまで自分は)。
カエルくんサイドは原作に沿って、めくらやなぎサイドは色々な話を混ぜて進行。
アニメで村上春樹ねぇ。と思って見たら、独特な絵柄。いわゆる、お目々パッチリ系のアニメキャラでは無く、チョット気持ち悪いかも。これは好き嫌い分かれるだろうねぇ。
まぁ、でも最後まで見られたし、色々な話を混ぜた事にさほど違和感は無かった。

ノルウェイの森もアニメの方が良かったかも。この絵柄では無く。

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背中にエンジン

4.0地震のあとで

2025年4月5日
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「かえるくん、東京を救う」「バースデイ・ガール」「かいつぶり」「ねじまき鳥と火曜日の女たち」「UFOが釧路に降りる」「めくらやなぎと眠る女」ハルキムラカミの短編6編をうまく融合させた本アニメの構成は、濵口竜介監督の『ドライブ・マイカー』と同じだ。ついでに言わせていただければ、上記6編とも2011年前に上梓されているにも関わらず、このフランス人アニメーターは東北大震災直後の日本を舞台にした物語にわざわざ置き換えている。濵口が『ドライブ・マイカー』の後半舞台を“ヒロシマ”に設定した意図を真似てのことだろう。

ハルキ文学の場合映画化権をNHKががっちり握っているらしく、どうも短編作品の方が許可が降りやすいという裏事情もあるらしいのだ。作家がノーベル文学賞を意識しだして以降、特に🇮🇱を口撃する左翼的発言が増えたものの、根はノンポリ志向であり、本アニメの主人公小村(磯村勇斗)同様“空気のかたまり”のごとく中身は空っぽなのである。ピエール・フォルデスにしても濵口竜介にしても、複数の短編エピソードを接着させる要として、日本人の深層トラウマに今尚影響を与え続ける震災や原爆が必要不可欠と考えたのではないだろうか。

銀行に勤める小村は上司からリストラ対象であることを告げられ、その妻キョウコ(玄理)は震災ニュースを5日間テレビで見続けた後突然失踪する。小村と同じ銀行に勤めるさえない中年男片桐(塚本晋也)は、仕事に忙殺される毎日を過ごす典型的社畜行員である。その片桐のマンション部屋に突如として現れたカエルくん(古舘寛治)から、東京を救うため大地震を起こそうとしている怒れるミミズに対して一緒に戦ってくれないかと依頼を受ける片桐だったが....

カエルくんが煮え切らない片桐に対して、ニーチェやアンナ・カレーニナ、ヘミングウェイを引用して、ちょいズレ説得をするシークエンスが実に面白い。古代ギリシャを起源とする哲学やヨーロッパ文学に関して作家はほとんど素人レベルだそうなのだが、小学校から哲学を教わっているフランス人らしいエスプリの効いた突っ込みであろう。原作短編では「闇の中でみみずくんと闘いながらドストエフスキーの『白夜』のことをふと思いだしました」とカエルくんは言ったらしいのだが、本当に読んだことあるの?とカエルくんならずとも作家に訊ねたくなるのだ。

私はハルキムラカミの原作短編を読んだことがないのでなんともいえないのだが、原作同様に登場人物たちに与えられたミッションの中身が謎のまま放置されているのではないだろうか。友人から小村が預かった“小箱の中身”、キョウコがレストランのオーナー(柄本明)に叶えてもらった“望みの内容”、焦げ付きそうになった7億円の回収に成功した片桐が上司から告げられた“ご褒美”とは一体なんだったのだろう?普通の小説のようにあえて明らかにしないところにハルキ文学の良さがあるのさ、とハルキストはそれを評価するのかもしれない。

監督ピエール・フォルデスは、主要登場人物以外のエキストラを半透明の幽霊として描写することによって、そういった物事の核心からあえて目をそらそうとする戦後日本人の病理を描こうとしたのではないか。あえてオチを着けないストーリーテリングによって、(ハルキストに代表される)核心周縁の些事にばかり執着する日本人の性癖を鋭くついているのである。重要なことは“目に見えない”ではなく、“見えているのに見えないふりをしているうちに本当に見えなくなってしまった”メンヘラ気質の国民性を評して、本アニメを“めくらやなぎと眠る女”とタイトリングしたのではないだろうか。フランス人らしいまこと辛辣なタイトルである。

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かなり悪いオヤジ

5.0村上春樹の本は嫌い💔なので一体どんな作品だろうかとおっかなびっくり見ました。恐ろしく新鮮でした。

2024年10月18日
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鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

同じ会社の二人が同時進行で描かれる。。会社に都合の良い人が出世する。社会を斜に見てる。
カエルは面白い。

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おいおい

5.0かえるくん

2024年9月30日
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鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

絵のタッチが独特。6つのパートで構成されており、なかなかの出来映え。人間の機微に触れ、細かい心情を巧みに描き切っている。日本語版もイイね!

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DnaH

3.0シュールで奇妙な味わい

2024年9月10日
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鑑賞方法:映画館

笑える

知的

難しい

 妻に逃げられた小村。巨大なカエル男、カエルくんに取りつかれた片桐。ふたりの銀行員を主役に6本のストーリーで綴られるオムニバス作品。
 村上春樹の短編小説(未読)をフランスでアニメーション化したという大変珍しい作品である。オフビートでシュールな事象が次々と出てきて、まるでコント集のような感じで面白く観ることが出来た。

 とりわけ小村の妻キョウコが話す”めくらやなぎと眠る女”の逸話は意味深で印象深い。耳の中に蠅が潜り込んで脳を喰うという何ともおぞましい話で、デヴィッド・リンチ監督の「ブルー・ベルベット」を連想した。
 また、小村が同僚に頼まれて北海道まで謎の小箱を届けるエピソードも面白かった。これもリンチの「マルホランド・ドライブ」に出てきた青い箱を連想した。

 他にも今作にはグロテスクなエピソードが幾つか登場してくる。小村が終盤で出会う少女はかなり不気味だったし、片桐が見る悪夢もダークで捉えどころのない気味悪さを覚えた。時代設定が東日本大震災直後なので、社会全体を包み込む不安な空気感が再現されているのかもしれない。

 そんな重苦しい雰囲気の中、片桐とカエルくんのやり取りを描く一連のシークエンスは終始ユーモラスで楽しく観れた。個人的に今作で最も好きなのはこの部分である。カエルくんのとぼけたキャラがユニークだし、平凡で冴えない中年男、片桐に大地震阻止という大きな使命が託されるのも馬鹿げていて可笑しい。

 一方で、中にはどう解釈していいのか分からないエピソードもあり、このあたりは自分自身もう少し咀嚼が必要である。
 例えば、小村と聴覚障害の少年のエピソード、小村と北海道で出会う女のエピソードは、何を言いたかったのかよく分からなかった。これらは会話劇主体の作りになっており、言葉の意味を探っていくと夫々に退屈はしないのだが、何とも捉えどころのないエピソードとなっている。

 映像については、日本やディズニーの作品に比べると決してクオリティは高いとは言えない。特に美術背景はかなり雑な個所があり残念だった。ただ、キャラクターの動きは非常に生々しく奇妙な味わいが感じられる。後で調べて分かったが、一度実写で撮影してから、それをトレースして作画したということだ。ロトスコープのような手法と言えばいいだろうか。これが独特の味わいをもたらしている。

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ありの

4.5手っ取り早く村上春樹の世界観を知るにはちょうどいい

2024年9月5日
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村上春樹の作品をほぼ読破しているけれど(翻訳本は除き)、彼の世界を表現するならアニメだよな〜、と常々思っていた。なぜなら人間でどうにかするには無理なシーンが多々あるから。(今作で言えばかえるくん)
この映画はその人間では対応しきれない部分まで見事に表現したアニメーション作品だと思う。
ストーリー自体はいくつかの村上春樹の短編を上手く繋ぎ合わせて、原作を忠実にアニメーション化している。
本来、異なる作品をつなぎ合わせれば違和感が残る所が出てくると思うけど、村上ワールドの力なのか作品者の構成力なのか違和感なくつなぎ合わされている。
フランス人が作ったものなので、日本の街並みや室内の描写で色々ツッコミどころはあるけれど、そこはご愛嬌かな。
タイトルにもある通り、本を読むのは骨が折れるけれど村上春樹ってどんな感じなの?って知りたい人には丁度いいかも。

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ぱぱじょーんず、ばっばわとそん

3.5村上春樹の作品を「翻案」して作成したというこの作品、フランスの風味と独特な雰囲気が感じられる作品に仕上がっています。一見の価値ありです。

2024年8月31日
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もりのいぶき

1.0海外から見た日本観に共感できないパターン

2024年8月30日
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鑑賞方法:映画館

ハリウッド映画でも何ちゃって日本が描かれるとゲンナリしてしまうのですが、
今回もフランスはじめいろいろな国の合作アニメーションで、
案の定ゲンナリしました。

まずもって絵柄が全員おっさんくさいキャラクターになっていて全然感情移入できず
話も入ってきづらいんですよね。
何となく新しいアプローチのアニメーションだなぁというのはわかるのですが、
それと内容とは別ですね。

話としてはファンタジー軸なんですよね。
小村とキョウコ、かえる🐸くんと片桐、基本この2本のストーリーなのですが、
いずれもファンタジーです。
かえるくんはマジでわかりづらいというか、ファンタジーと割り切らないと頭に入ってこないですし、
小村とキョウコも現代ファンタジーですから、割り切らないとよくわからないです。
キョウコが職場であるレストランのオーナーにどんな望みを言ったのか、結局わからなかったりしますしね。

村上春樹の原作は読んでおりませんが、
割と期待していただけに、ゲンナリ感がハンパなく大きかったです。

しかしながら、日本語版の俳優陣はすごく豪華なんですよね。
これだけでも観た甲斐はあったかなと思います。

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ひでちゃぴん

3.5非日常感強めの日常系

2024年8月30日
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jax

3.5カエルくん、可愛い

2024年8月29日
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見たいなと思っていたら、とっくに上映されてたと言う…慌てて鑑賞してきました。

ファンタジーだけど奇想天外ではなく、気のせいとか、タイミングとか、夢とか?で落ち着きそうであり、やはり説明がつかないかもみたいな?

人物の絵が老けてみえて、え゛?未だ30ぐらい?
え゛?定年間近なんじゃないの?、えええ、学生?と絵が気になりました。

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Oyster Boy

気持ちよい残尿感

2024年8月25日
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鑑賞方法:映画館

 村上春樹さんの短編6作をモチーフに、外国人監督が制作した野心的アニメーションです。嘗ては、映像化困難と言われて来た村上作品も『ハナレイ・ベイ』(2018)、『バーニング(納屋を焼く)』(2018)、『ドライブマイカー』(2021)等、短編を中心に映画化作が少しずつ増えて来ましたが、アニメ化は初めてです。

 現実と薄皮一枚隔てた様などこか不思議な世界の説明不能な事物・人物。その一つ一つに意味がある様な無い様な、切ないような希望を抱けるような、でも一つ一つが妙に頭に残り、「あれは何なんだろう」と暫く考えてしまいます。そんな村上春樹ワールドの表現にはアニメこそがピッタリでした。そもそも、「かえるくん」なんて実写化出来る筈もありません。短編をモチーフにしたのも正解です。

 観終えて、やはり何だかモヤモヤが頭に残り原作本を手にしてしまいました。今回は貴重な日本語字幕版で鑑賞。深田晃司さんが演出を務めた日本語吹き替え版もこりゃあ観なくちゃだな。

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La Strada

3.5地震とカエル

2024年8月25日
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鑑賞方法:映画館

海外制作による村上春樹の小説のアニメ映画化って事で、オリジナルの英語版か吹き替えの日本語版か迷った末、日本語版を観ました。

日本が舞台で登場人物も日本人、なのに日本人同士が英語で会話してるのって変でしょ(笑)

以前『アニマトリックス』を観た時に、日本人同士が英語で会話してて変だったんですよ(笑)

その違和感を覚えてて、違和感を感じずに観たかったので日本語版。

でも、リアル日本人からすると違和感を感じるとこが少しあって、

ニュースのテロップが英語で表示されてたり、新聞が英語で書かれてたり、アメリカの新聞配達のように新聞が投げて配達されたり(笑)

まあ、でも許容範囲(笑)

話の内容に関しては、けっこう難解で考察を要するけど、まあ面白い。

僕は、あまり理解できてなくて、もう1回観たい。

アニメだけど子供向けじゃなく大人向け、露骨な性的表現も有します。

原作も読んでみたくなった。

迷ってる方、オススメですよ。

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RAIN DOG

4.0境界の向こう側の世界との出会い Encounters with the world beyond the boundary

2024年8月21日
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短編小説を繋ぎ合わせているオムニバス映画で、わかりやすい物語があるわけではありません。しかし、現実との境界があいまいないな日常が描かれている点が一貫しています。

境界の向こう側の世界との”出会い”には共通点があります。
それは平凡な日常に突如現れる点です。自分が望んだわけでもわけでも、意図したわけでもないのに。また、その非日常が、彼らの人生に少なからず影響を与え続ける点です。

出会いの場では時間が止まっています。
多くの現代人は未来を生きており、時間が止まることはありません。一方、映画の中で選ばれたのは、未来に希望や夢を持てない人々です。その代わり彼らは、現在を生きる特権を持っているように思えます。彼らの表情には、癖という以上のある種の絶望が刻まれています。そんな彼らにこそ向こう側の世界が開かれる。

この映画は、よく村上ワールドが表現されていると思います。
また、夢の続きのように出来事を並べることで、境界やその向こう側を描いていて、監督のオリジナリティも感じられます。

何よりも触発されました。良い映画です。

This is an omnibus film that connects short stories, so there isn’t a straightforward narrative. However, it consistently depicts a daily life where the boundary with reality is ambiguous.

There is a commonality in the “encounters” with the world beyond the boundary.
They suddenly appear in ordinary daily life. It is neither desired nor intended by the individuals. Moreover, these extraordinary events continue to have a significant impact on their lives.

In the place of encounter, time stands still.
Many modern people live in the future, and time never stops. On the other hand, the people chosen in the film are those who cannot hold hope or dreams for the future. Instead, they seem to have the privilege of living in the present. Their expressions are etched with a certain kind of despair beyond mere habit. It is to these people that the world beyond opens up.

I think this film well expresses the “Murakami world.”
By arranging events like a continuation of a dream, it depicts the boundary and the world beyond, and you can feel the director’s originality.

Above all, I was inspired. I think it’s a good film.

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2nd Life Stories

3.5村上春樹とアニメーションは親和性があるかも

2024年8月15日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

村上春樹の小説は映像化が難しい。
現実から飛躍した描写が多く、読み手はそのイメージを脳内でビジュアル化し物語を読み手が解釈する部分が多いからだ。
一方映像作品は監督が作品を解釈したビジュアルが提示されるわけであるから、小説の読み手の自由さが限定されてしまう。
ある意味村上作品の魅力が半減してしまうといってもいいのかもしれない。
だから、村上作品を原作にしつつ独自の解釈で映像化した作品の方が成功するのではと個人的には思っている。
イ・チャンドン監督の「バーニング」はその意味で成功した映画なのではないか。
濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」は独自性を入れながらも原作に忠実な部分もあり、中途半端に感じてしまう映画であった。
今作はアニメーションであり、生身の人間が演じていないのでリアルに限定されずイメージの飛躍が行われている。
監督の解釈したイメージではあるものの観るものによっても解釈が可能なので、村上作品には親和性があると感じた。
ただ、どうしても観ることは客観であるため退屈に感じるところは否めない。
6編の異なる短編を2011年の東日本大震災を背景に人間が抗えない不安や過去の記憶を軸に一本の線で繋げているところは見事。
「かえるくん」が唐突な村上春樹的物語のアイコンとして機能していてうまくバランスが取れた。
原作と映画の関係性として成功している映画だ。

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kozuka

3.5雰囲気が好き

2024年8月15日
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鑑賞方法:映画館

村上春樹ファンではない私でも楽しめました。パートナーは私に「結局何が言いたいんだ?」と聞きましたが、明確に答えられず。でも良いのです村上春樹だから笑。解釈がわかれる部分もありますが自分なりの答えが見出だせれば良いのではないでしょうか。
フランス人監督の描く日本、カエルくんの解釈は欧州的ですが違和感は感じませんでした。

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モロッコガール
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