「映画製作の舞台裏を、見たことのない視点から描き出す。」映画の朝ごはん 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
映画製作の舞台裏を、見たことのない視点から描き出す。
映画のロケ隊にとっての定番の朝ごはんになっているという弁当屋、ポパイのおにぎり弁当と、おにぎり弁当を手配している制作進行のスタッフの日常から、映画づくりを眺めてみようという試みは、たしかに今まで見たことがなったし、映画を多角的に見せてくれる素晴らしいアプローチだと思う。
日本人は映画のエンドクレジットにリスペクトを払う滅多にない国民性だと聞くが、あの長大なクレジットの誰がどんな仕事をしているのか、映画の現場にいないとチンプンカンプンだろう。その中でも観客からは最も注目されづらいポジションである制作進行とケータリングに着目したことで、この映画しか得られない奥行きは確かに生まれている。
ラストのメタ的な演出はちょっとやり過ぎだとは感じてしまうが、これもまた映画なのだから、地味なだけで満足しないぞという姿勢は正しい。もっともエンタメになりづらいものからエンタメをひねり出した点で、非常に高レベルな「映画に関する映画だな」と思う次第です。
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