「アクションは依然としてハイレベル。でももう一歩突き抜けたものが見たかった!」ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ コレッキャ・ナイデスさんの映画レビュー(感想・評価)
アクションは依然としてハイレベル。でももう一歩突き抜けたものが見たかった!
実力はあるが社会不適合でぐうたらな殺し屋女子高生を描くシリーズ第3作。
今作では、敵キャラ・冬村かえで(池松壮亮)が特に印象的でした。
意識高いコミュ障の殺し屋で、日記帳に“殺しの成果”を細かく書き残す几帳面さを見せます。狂気よりも、どこか新社会人のような健気さを感じさせるコミカルさと強さを兼ね備えたボスキャラです。
池松さんのアクションも見応えがあり、まひろ(伊澤彩織)との対決は緊張感がありました。
<アクション>
序盤の戦闘シーンが特に秀逸です。
かえでとまひろが戦いながら、ダブルブッキングしたターゲットを同時に追いかけるというカオスな場面。
ターゲットを追うことを最優先にしつつ、互いを障害とみなしながら殴り合い、一挺しかない銃を奪い合う。走りながらの近接格闘、射線をずらす立ち回り、階段の手すりを滑ってショートカットしながら飛び蹴りを放つ――。
走る・殴る・奪うがすべて同時進行する、極めて動きの密度が高いチェイスアクションでした。
ラストの戦闘もスピード感と構図が明快で見応えは十分。
ただ、前2作と比べると衝撃はやや控えめ。
これは、前作があまりに完成度が高かったことと、今作でドラマ性を重視した影響もあるでしょう。
1作目の渡部(三元雅芸)戦は、今でもシリーズ随一の名アクション。
高速の殴打から腰へのタックルへのシームレスな繋ぎ。肘打ちの応酬といった超接近戦。
組み付く際はカメラがまひろを周回するように撮ったり、肘鉄の攻防では上半身をクローズアップして、余計な要素を省いたりと、アクションと映像演出が見事に噛み合った、唯一無二の格闘シーンでした。
2作目では上記のアクションとカメラを踏襲しつつ、神村まことの大振りなハイキックや拳を振り回す動作といった、外連味ある派手な動きが加わり、殺し合いというより派手な喧嘩としての新しい魅力を与えました。
3作目のかえではプロらしい隙のない攻防を見せ、無駄がなく美しい仕上がり。
そのぶん、荒々しい迫力や意外性はやや抑えられた印象です。
<ドラマ>
今作ではまひろが20歳を迎えることで“二人が大人になる”過程が描かれています。
かえでとの戦闘で、敵の殺害よりまひろを助ける事を優先するちさと。
まひろが「印象に残った相手は?」と問われ、神村まことを挙げて「名前くらい聞いておけばよかったな」と呟くシーン。そして、かえでにハンカチを差し出し、拒まれて撃ち殺した直後の、どこか寂しげなまひろの表情。
これらの描写が、彼女たちが人として少しずつ成長していくことを静かに示しています。
<総評>
アクションは依然としてハイレベルで、もう一歩突き抜けたシーンが欲しかったとはいえ、完成度は高いです。
そして、ドラマ面ではこれまで停滞していた二人の関係に変化が生まれ、“殺し屋としての非情さ”と“人としての成長”がせめぎ合うラストは印象的でした。
非情さが強さに直結する世界において、人として成長してゆく二人は、殺し屋としての弱さを抱えるような危うさを示唆しているように感じます。
シリーズの方向性を大きく前進させた良作。
次回作にも大いに期待が持てます。
