劇場公開日 2024年9月27日

「そっか、自由か」ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ セッキーかもめさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0そっか、自由か

2024年12月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

萌える

9/30@イオンシネマ大井、11/19@立川シネマシティ(ドキュメンタリーオブベイビーわるきゅーれ11/8@シネマロサ池袋)にて鑑賞。

本作はベイビーわるきゅーれシリーズ映画第3弾にあたる。私は本作でこのシリーズを知り鑑賞したが、ちさまひのゆるふわなやりとりと殺し屋の激しいアクションのギャップにやられてしまい、しっかりファンになってしまった。本作をきっかけに映画1、2及びテレビドラマエブリデイ編を3回ずつ以上は観て、ネット通販でカルビイカのマスコットまで購入してしまったほどだ。

さて、本作ナイスデイズのレビューであるが、率直に言うと、アクションシーンに力を入れすぎてちさまひコンビのゆるふわなやりとりが少なくなりすぎてしまっている印象である。

殺し屋を生業とする杉本ちさとと深川まひろは、出張で宮崎を訪れる。そこで2人はいつも通りターゲットを手早く殺し、観光しようと意気込んでいた。ところが、ターゲットを見つけるとそこには別の殺し屋(冬村かえで)がおり、その殺し屋も同じターゲットを狙っていた。両者は衝突し、ターゲットを仕留め損ねてしまう。殺し屋協会に所属するちさととまひろは協会のメンツを保つため、鉢合わせた野良の殺し屋である冬村と対決することになる。

ストーリー自体は、映画1、2とほぼ同様、強敵が登場して、2人で力を合わせて倒す、というシンプルなものである。本作もその筋書きに変わりはない。宮崎県庁での冬村との衝突からはじまり、農場での総力戦までアクションシーンは目白押しである。このアクションシーンについてであるが、かなり力を込めて撮影されている。(ドキュメンタリーオブベイビーわるきゅーれでも密着しているシーンがほぼアクションシーンであることからも伺える。)
しかし、どうしても迫力に欠ける点は否めない。伊澤さんを除いて他のメンバーについては一般の俳優が演じているため、これは仕方がないことなのである。正直に言うと、ガチの殴り合い、銃撃戦であれば、海外のアクション俳優の作品で楽しめる。ちさまひの殺しの良さは、潔い爽快さがあるところ、殺し屋なのに明るく、辛気くさくならないところにある。映画となれば、強敵と接戦する場面は出てくるし、テーマが重くなる場面も出てくる。しかし、本作はその比重があまりに大きくなりすぎてしまい、ちさまひの軽やかな殺しやゆるふわなやりとりが削られ、アクション映画にシフトチェンジしてしまった感が漂う。

1では、高校卒業したての少女と殺し屋というギャップを最大限に生かしたつくり。2では、2人と同じような境遇の男子2人との対決を描くコメディ場面豊富なつくり。3では、狂気をまとった過去最強の殺し屋とのアクションシーンメインなつくりになっている。

全体として、シリーズを追うごとにアクションシーンに力を入れていっていることは明らかである。本作ではお試しとしてアクション色を濃いめにしたのか、はたまた、ドラマエブリデイ編でゆるふわな日常系をメインで描くことで本作をアクション色を濃いめにしたのか、は分からないが、このままアクション映画の路線へシフトしていってしまうと日常系好きのファンとしては寂しい。

そうは言っても、ストーリー自体はシンプルで分かりやすく、2人のキャラはこれまでと全くぶれていないし、新規で登場するキャラとのやりとりも楽しい。何気ないセリフや行動が何かのパロディであったり、伏線となっているシーンが非常に多く、何回観ても新たな発見がある。この2人のやりとりがこのシリーズ最大の魅力であると感じている。何より、シリーズ3弾から鑑賞した人でもベビわるの世界にどっぷりハマってしまうのだから、このシリーズの面白さを疑う余地はない。

ドラマ編も現在完結してしまい、完全にベビわるロスの状態ではあるが、ドラマ最終回では続編を匂わす場面があった。本作、ドラマ編の出来から次回作の公開までそう長い時間はかからないだろう。また2人に会える日をカルビイカと共に待つことにする。

セッキーかもめ