「ちゃんとチューニングしましょう」Winter boy ひろちゃんのカレシさんの映画レビュー(感想・評価)
ちゃんとチューニングしましょう
触るもの皆、自分自身を含めて傷つける尖ったナイフをぶら下げて彷徨うギザギザハートのティーンエージャーの話。心の支えを突然失ったのだから尚更だ。ギザギザ過ぎて愛情や好意をその対象に伝えられないもどかしさが痛い。それでも、自分の弱味を晒す事で「お前は必要とされている」と、そのナイフを収める鞘(直接的な意味ではないよ)を提供したのが、いちばん傷ついているように見えるリリオだった、とういうところが何というか、やられたな。
「シチリア・“サマー”」が悲劇だったのと対照的かも。
主演キルシェの素晴らしさは皆さん御指摘の通り。ビノシュ安定の名演も堪能させて貰った。
何にしろ、登場人物全員がんばれ!
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パングロスさんのコメント
2024年4月13日
拙レビューへのコメント、ありがとうございます。
リュカのいささか独り相撲的な思春期の揺らぎを描いた本作にあって、リリオの存在は実社会との直接の関わりの窓口になってましたね。黒人であることによる差別を受け、経済的に自立するために売春行為もせざるを得ないという。ただ、不安定なリュカがいたずらにリリオの領域を無軌道に侵犯しようとしたところ、いちばん冷や冷やさせられましたが、本当に仰る通り、リリオが自分ことしか考えない人間でなくて良かったですね。売買春行為の是非はおいて、リリオが、本当に親友の弟として、また若い迷える友人として、先輩の立場からリュカの身を案じるところは、私もグッと来ました。
大事なご指摘、ありがとうございました。