「青春18×2とは?」青春18×2 君へと続く道 cooloctopusさんの映画レビュー(感想・評価)
青春18×2とは?
YouTubeで1975のAboutYouがフィーチャーされているこの映画のプロモーション動画のようなものを見て、興味を惹かれていたところ、Netflixで配信されていたので視聴してみました。
予備知識としては、清原果耶主演というのと、台湾が舞台というくらいの漠然としたもの。
まあ、「青春」とついてるくらいだから、青春ラブストーリーなんだろうと、軽い気持ちで見始めました。
見始めてわかったのは、この映画は台湾を舞台とする主人公が18歳の時の話と、日本を舞台とする現在の話が同時進行で進むという構造になっていること。
現在主人公は36歳になっており、それで18×2ということだったんですね。
18年前の話は、割とシンプルな一夏のラブストーリーという感じなんですが、なぜ主人公の台湾人の若者が18年間もその思い出を引きずってきたのかというのが、大まかなストーリーの柱になっています。
もうひとつ、現在編は主人公が日本の各地を転々とする中で人々と出会いを描いたロードムービー風になっているのがユニークなところでしょうか。
ここで登場するキャストが黒木華、松重豊と割と豪華。
台湾編でも日本編でも列車の旅の映像が印象に残りますが、これはタイトル同様、JR東日本がスポンサーだからでしょうね。
雪の中を走る列車が主人公の孤独感や不安感を強く感じさせる演出は、どことなく新海誠監督の秒速30CMを連想させました。
加えて、雪のシーンは岩井俊二監督の「Love Letter」のオマージュとなっているのですが、この映画は中山美穂さんが急逝する前に撮られたのに、期せずして中山美穂さんへのオマージュともなっているのが感慨深かったです。
ストーリーの結末は、割とすぐに分かってしまい、そこに意外性はないのですが、台湾で見たLove Letterと日本での雪のシーン、台湾と長岡でのランタン飛ばしのシーンなど、日本に来た主人公が思い出をひとつひとつ消化して、最後にあみの実家にたどり着くまでを丁寧に描いています。
難点を上げるとすれば、主人公があみの実家にたどり着いた後、もう一度これまでの場面があみ視点で描かれるのですが、それがやや冗長に感じました。
そこをあんなに細かく見せてしまうことで、映画の余韻のようなものが希薄になってしまったように思います。
もっと視聴者の想像に任せるという部分があっても良かったように思います。
エンディングは1975「About You」が流れるものと思い込んでいたら、なぜかミスチル。
確かに、ストーリーの中でもふたりでミスチルを聴くという場面が出てくるので、その点では違和感ないのですが、1975はどこ行った?と思ったら、なんと例の動画は映画とは直接関係なく、どなたかが作ったものだったのですね。
あまりにも良く出来ていたので気づきませんでした(^^ゞ
ストーリーはシンプルである意味「ありがち」ではありますが、列車のシーン・バイクで台湾を走るシーン・ランタン飛ばしのシーンなどなど、映像的にも美しく、結構楽しめました。