「日本ぶらり鈍行旅」青春18×2 君へと続く道 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
日本ぶらり鈍行旅
ジミー役グレッグシュー/許光漢の起用は18歳と36歳ができるからだそうだ。w
映画が緊張をもたらす理由はたったひとつでアミ(清原果耶)がしにそうな病気を隠匿していること。
そのふたつで成立している映画だが岩井俊二のloveletterを表敬しつつノスタルジー&ロマンチックな絵を並べて尺をかせぐ。台詞に成熟がなく、長くだるい映画だった。
『『青春18×2 君へと続く道』は、賴吉米 (ジミー・ライ) が「藍狐」名義で書いた旅行エッセイ『青春18×2日本慢車流浪記』を基にしています。台湾人のゲーム開発者である賴吉米は、日本人バックパッカーとの恋愛を懐かしむため、青春18きっぷを使って日本縦断の旅に出ました。 2014年に台湾のブログ「Backpackers」で公開された旅行記が話題になると賴吉米には映画化権を購入したいという映画会社からのアプローチがありました。』
(wikipedia、18×2 Beyond Youthful Daysより)
wikiを見るともっともらしい由縁と多難の製作行程のある映画だったが、じっさい視聴上はあざとくてうんざり。
ジミーの行く先々で都合よく道連れができてしまう安易さに興醒め。
松本の居酒屋店主(張孝全)は偶然にも台湾人、飯山線で声をかけてきた若者(道枝駿佑)は語尾に「っす」を使うノリのいい若者(キャラクタの類型にうんざり)、長岡のネカフェには物分かりのいい金髪元ヤン風情の黒木華がいて、只見では松重豊が足になってくれた。できすぎの優しい世界に鼻白んだ。
あざと画に興醒め。スカイランタン、原付ふたりのり、夜景を見ながらの将来語り、雪国、カラオケ店「神戸KTV」の壁画。泣かす布石としてのシーンづくりなのがいやだった。
台湾を暖色にまとめて、日本を寒色にまとめた──と語っており、そのとおりのこだわり画になっている。でもだからなんなのよ。美しい画なんだから──を免罪符にするのやめてもらっていいですか。
お涙頂戴自体に罪はないがしぬしぬで泣かすにすぎない構造をあざと画できどってみせる感じが個人的にはいや。編集も冗長で短篇映画に縮められる壮大な中二ポエムだったと(個人的には)思う。