「恋愛と旅のお話」青春18×2 君へと続く道 やあやあさんの映画レビュー(感想・評価)
恋愛と旅のお話
恋愛テーマと旅テーマをからめたお話
〇恋愛テーマ
18才の甘酸っぱい青春の回想パートと36才の現代パートが交互に描かれます。
私はこの映画を☆3.5としましたが-☆1.5はひとえに恋愛テーマが腑に落ちなかったから。
ジミー役の演技は、抜群によかったと思う。
18才の、まだ何者でもなくて、熱っぽくて、気恥ずかしくなるほどまっすぐな感じ。
36才の、道を切り開いて、うまくいったこともいかなかったことも受け止めて、もがく感じ。
とくに18才の若き日の光景は、なんだか昔の自分が蘇って、思わず苦笑いするほどでした。
ただ、そもそもの話になるけれど、私はこういった物語で結末に【死】を持ってくるのがあまり好きじゃない。(知らずに観てしまった・・・)
【死】を使えば一定の感動があることは分かってるのよ。
すごく素敵だったから、ソレに頼らずとも上質なラブストーリーになったと思うのに。
・・・という理屈に目をつぶって先に進むとさらなるモヤモヤ。
アミはどうして、自分の病気を隠し通したの?
ジミーから電話をもらった時は
「もうすぐ次の旅に行く。地球の裏側へ彼氏と一緒に」
なんて、病室からたちの悪い嘘までついて。
記憶する限り、その理由の具体的な説明はなかった気がする。
リアリティの薄い内容なら「ま、これはフィクションだしね」で納得できたと思う。
が、青春時代のきらきらした描写がリアルに胸に迫ったからこそ、ひとたび感情移入するとアミの行動がおかしく感じてしまう。
人間、最期くらい好きな人と一緒にいたいと願うのが自然じゃないだろうか。
なのになぜアミは独りで死ぬハメになったかというと、その方がラストが盛り上がるから。
つまり、ラストありきの都合によってキャラを動かしているわけで、そういうのを見ると私はかなり興ざめします。
が、そんな冷めた人間は私だけだったらしく、このへんであちこちからすすり泣きの声が。
恋愛映画としては、私には向かなかったようです。
〇旅テーマ
ジミーが青春時代の残像にピリオドを打って前を向く。私はこっちの方が好き。
旅をきっかけに再生できるって、そういう感受性を持てるのは若さの特権ではないかと思う。
いろいろな人と出会って、その言葉をすっと吸収していくところも。
(以下、古い記憶なので細かい表現は違うかもですが)
その昔、とある若い女性向けの雑誌で「仕事と恋愛だけじゃいや」というキャッチコピーがあった(と思う)
仕事と恋愛だけじゃなければあとは何を求めるのだ、というと、その雑誌が出した結論は【旅】だった(と思う)
仕事と恋愛と旅は、青春における3本柱なんだよ、と。
エンドロールが流れる頃、そんなことを思い出しました。
2人乗りバイクで疾走する夜の台湾とか、トンネルを抜けた先にぱぁっと広がる雪景色とか、夜空に浮かぶ無数のランタンとか、映像の美しさも大きなポイント。
私は普段は映画を観るより本(小説)を読む方が好きなのだけど、こういう作品では、映像の力って大きいですね。