劇場公開日 2024年5月3日

「意味深長なタイトル」青春18×2 君へと続く道 AMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0意味深長なタイトル

2024年5月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

藤井道人監督と清原果椰ということで、「宇宙で一番明るい屋根」からのタッグに。日台共同制作をふんだんに活用して、台南での過去と日本での現在を、交互に映して話が進む。

人生の挫折でドン底のジミー。そんな彼が実家で見つけた懐かしい手紙。18歳の彼のひと夏の淡い思い出が蘇り、差出人のアミに会いに行くロードムービーだ。昔の台南での彼女とのエピソードと、現在の彼が日本を旅する姿が重なり、徐々に物語の全体が浮かび上がる構図となっていて面白い。
「旅」をテーマにしていて、美しい映像が岩井俊二風だなぁと思っていたら、劇中の映画館で上映されるのが岩井監督の「LoveLetter」。シャレてるのか、リスペクトなのか。

王道の純愛ドラマでありながら、ジミーが悲恋や挫折をグッと受け止めて消化しようとしていく姿が応援したくなる。さらに、終盤の物語のタネ明かしによって、それまで観ていた彼の心情が、単に見えていたもの以上であったことが分かり、より深く感情に迫る。このあたりが、単なる号泣映画とは異なり、緻密な構成の見せどころだろう。

悲劇に涙するというより、切なさに共感しながらも、鑑賞後に前向きな気持ちにさせてくれる。後味スッキリで、良い映画です。

AMaclean