「緑のギャツビーワックス」青春18×2 君へと続く道 サスペンス西島さんの映画レビュー(感想・評価)
緑のギャツビーワックス
2024年劇場鑑賞31本目 傑作 75点
正直期待してなかったです
というのも、当方藤井道人さんのファンで新聞記者に最後まで行く、生涯指折りの作品と心に留めているヤクザと家族と複数本フェイバリットにしてして、ここ4.5年で名前が売れて立て続けに作品が増え、それも興行映画を手がける機会が圧倒的に増えたので、悪い意味で作家性が削られ民衆受けに逃げると思ってました
それでいうと、余命10年は当監督作品でワーストクラスだと思っていて、彼のこだわりが色濃く出過ぎて絵も脚本も胃もたれや呆れが続き恋愛映画向きではないと自負していたので、上記の一言の通り懸念してました
結論、素晴らしかった
何点か話すと、まずいい意味で作家性を削ぎ落とし藤井道人フィルムを感じない大人びた垢抜け感を感じた
絵にこだわる方なので、それでも被写体と背景の抜けとピント具合や、お得意の頭上ショットはあるものの、今作はそれがどこかさらっとしてる
言わずもがな主演の方の日本語の発声や素振りお上手でした、会食のシーンでまず際立ってました
それからの日本語の勉強、漫画で女心の勉強、身だしなみの意識など、世界共通の淡い可愛らしさは笑みが溢れました
白シャツ選んだり男が奢る日本文化(?)が沢山詰め込んで挑んだけど10%も出せなかった感じが痒くていい
緑のギャツビーワックスなんて、見たのいつぶりだろ、、、当方が12年くらい前に初めて買ってもらったワックスで、それも色も形も当時のと同じで、勝負アイテム感が心を浄化してきましたねぇ
他にも清原伽耶の愛嬌ある親しまれるキャラクターも、若くして演技派で実直な役が多い中、舞台挨拶でも見受けられたキュートな性格が作品でも見れてよかった
作品の作りで言うと、病を患う彼女がやってきたことが、後世や現代を生き続ける人に残り続けるアートなのが、3年前の空白の伊東蒼じゃないけど、下手な設定で良かったし、部屋に巻いていた香水や手紙についた香水も、香りは景色より鮮明に記憶に残りますから、これもそういった要素の一つであり、青春を表すのに代表的なキーパーソンでもありますよね
彼女があの部屋から去った後も残り香がありしばらく思い馳せてたなど想像させます
唯一やっぱり監督としての力量として今作も拭えなかったのは台詞回しとキャラクター造形の部分で、道枝くんの物語としての登場の意味と役割からあの人物の感じが、お手本通りに並べた様で面白くない
18歳で、主人公目線で旅先で出会うひと時の交友を描き、当時の清原伽耶を脳裏で浮かべる引き立て役なのだが、もう少しバックボーンや不自然ないくらいの絡み具合があってもよかったかな
あとは合作だからしょうがないのかもだけどタイトルがもう少しどうにかならなかったのかね、、、かっこよくないよね
どちらの国でも伝わる様に青春の文字と二人の18年という意味、そこに加えて藤井道人お好きのサブタイトルなんだけど、、うーん
似てる作品のあの頃君を追いかけたや青の帰り道なんかはタイトルセンスあるけど、今作自分がつけるなら、"また逢いましょう"かな!
あの時間は永遠じゃない、また会える、次も会おうと言ってるうちはもう会えない暗示だったりするもの
夢が叶ったら、君のことがもっと知りたいから、青春の最中は終わりが見えていないから、こんなタイトルが淡くて切なくていいかな!
是非!