劇場公開日 2024年5月3日

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ドクちゃん フジとサクラにつなぐ愛のレビュー・感想・評価

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4.0彼らの身体、彼らの心は誰のものか。

2024年6月3日
PCから投稿

ドクちゃんことグエン・ドクは40歳になった。その命はベトナムの勝利と連合軍の枯葉剤の罪の象徴でもある。
ドクちゃんは、自分の葬式は国によって行われるだろうが、それは国の医学的成果のためであり、自分のためではないと語る 。

ベトちゃんドクちゃんは1881年に胴体を共有する結合双生児として生まれ、ベトちゃんの様態悪化に伴って88年に日赤の協力のもとベトナムで分離手術が行われた。日本でも募金活動が行われている。ベトちゃんはそのまま昏睡し目覚めぬまま2007年に息を引き取った。

ドクちゃんはその後、学校に通い、恋をして結婚して、フジくん、サクラちゃんという双子が生まれる。双子は中学生になり最初は博物館などに付き合ってくれるが、お父さんの故郷へは付き合ってくれない。小さい家に暮らし、子どもたちは塾に行き、靴下を洗ってくれ、肩を揉んでくれる、普通のありふれた親子だ。

ドクちゃんは観光客に枯葉剤の影響を話すガイドツアーに協力している。広島大学の客員教授もしている。
劇中では大阪の和泉長野市東中学校を訪れ公演を行うが、その前のレクリエーションでの弾けるような笑顔を見せ、松葉杖と片足でサッカーをしてみせる。「僕は何でもできる」という言葉も勇気を与えてくれるだろう。

一方で腎臓は弱り、ストーマを付け、痛みやめまいに見舞われる。それを押して「戦争はいけない」と語ることをライフワークのようにしている。
何のためにそうしているのか、映画を最後まで見るとわかるだろう。

映画は家族の暮らし、双子の成長、小さな幸福を主として捉えつつ、ドクちゃんの病気や活動、結婚の思い出、ベトちゃんの思い出が徐々に語られる。
また色々な立場の人と話すシーンがあるが、相手の語りによってドクちゃんという人間を浮き彫りにする。
ドキュメンタリーとしては手堅く、ドクちゃんの生活、生き方に寄り添って撮られている。

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A・ガワゴラーク

4.0フジとサクラ🗻🌸

2024年5月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

ところどころ、いきなり場面が変わって、少しわかりにくいと思ったところはありましたが、ありのままの暮らしが伝わるところがよかったです。
ドクさんの、いつも憂いがある表情は、顔立ちか生い立ちのせいだろうか、と思っていたら、大阪の中学校にきた時、弾けるような笑顔を見せていたのが心に残りました。ベトナムを愛していても、離れると、少しだけほっとするのでしょうか。
お父さんとの面会の場面、お父さんの言葉の意味がわかりづらかったけれど、きっと、言葉では表せない思いがあるのでしょう。
大変な思いをされてきたけれど、素敵な奥さま、かわいくて素直で勤勉な子どもたちの存在が、ドクさんの人生を表していると思います。
枯葉剤に苦しむ人たちが、今も、ドクさんの他にもおられるとのこと。枯葉剤のことも、もう少し掘り下げて、平和への祈りをより深めてくれたら、なお良かった気がします。

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eigaeiga

4.5この映画の「合理的配慮」が何なのかが謎。別の意味で「配慮」もないのもつらい。

2024年5月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年169本目(合計1,261本目/今月(2024年5月度)3本目)。
(前の作品 「マイ・スイート・ハニー」→この作品「ドクちゃん フジとサクラにつなぐ愛」→次の作品「無名」)

 日本では「ドクちゃん」の愛称で知られる同氏を描いたドキュメンタリー映画になります。かなり古いので、観る方をリアルで年齢で制限しそうです(私の年齢もばれそう)。

 この映画は主人公を同氏に取るため、デフォルトでいわゆるバリアフリー上映になっています。この手の「バリアフリー上映」を可能にするためのアプリ等もありますが、映画の作品それ自体がバリアフリー上映という珍しい映画ですが、おそらく配慮されたものと思います。

 ストーリーとしてはドキュメンタリー映画という事情で、コロナ事情を経る前~、収束が見えて「様子を見る」少し前くらい(日本では2023年あたり)までを描くところです。

 本映画は確かに同氏に関するドキュメンタリー映画という扱いでしか見ることができないのですが、文化庁の推薦枠他の扱いであれば、もう少し「枯葉剤とは何で、どのような問題があるのか」といったことに触れて欲しかったです。

 採点に関しては明確に気になったのが以下です。

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 (減点0.4/「前世の行いが悪いとこういう子が生まれるんだ」)

 ・ こういった思想自体には日本にも、ここベトナムにも、あるいは韓国でもヨーロッパでも程度の差はあってもあったのでしょう。まだ医学が発達する前ではそういう考えもまぁ理解はできます。

 ただ、現在2024年においては完全に否定されている議論(日本では、一時期、「親の育て方が悪いと自閉症になる」とかという趣旨不明な主張からパッシングを受けた当事者がいた)であり、こうした思想「それ自体」は、(日本国憲法でいえば)思想良心の自由というもので、「思うだけならご自由に」ですが、口に出した瞬間(ここからが「表現の自由」になる)、それは他の人権との間で制約を受けます。

 しかし、
  ・ ベトナムではまだ地域差別が根強いこと(ベトナム戦争を経た事情があるため)
  ・ 枯葉剤自体の被害がほとんど知られていない

 …といった事情もあり(また、この2つは日本ではおよそ存在しない論点)、そのような言われ方をするのは理解はしますが、もう少し当事者(この映画の趣旨的に、当方のような重度身障(内部障害)者や、車いすの方などが想定できる)に配慮した誘導(「そういう考えはおかしい」と言い返すなど)が欲しかったです。

 (減点0.1/通貨単位「ドン」がいくらくらいを指すかよくわからない)

 中盤あたりに文房具店かで、マーカーペン?を買うシーンがあり「7000ドンだ」と言われるシーンがあります。日本で購入しようと思えば100円ショップにある程度ですから(消費税の話は度外視)、その程度の換算レート(つまり7000ドン=100円程度)なのかなと思ったら、もう少し違うようです(42.12円とのこと。投稿時点における通貨レート変換で確認)。

 ※ ほか、数か所でお金の「ドン」の話をしますが、1/200程度で見るとよいのかなといったところです。
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yukispica