一月の声に歓びを刻めのレビュー・感想・評価
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まとまりがなく、伝わらない。
第1、2、3章と最終章という、事実上短編映画みたいな構成だが、どの編も何を伝えたいかがわからず、何処にもこの作品の意図を感じる事ができなかった。
抽象的な話もあれば、自らの心の傷を具体的に話す章もあって、この辺の構成がややこしく、しかも第2章なんかはあまりにもテイストが違い過ぎて、意味がわからなかった。
色んな感情が描かれる章があるのはいいが、せめて作品全体としての方向性はまとめてほしい。
監督自らが苦しんだ事を映画化したという事だが、それならもっとわかりやすく多くの人に観られるような作品にしてほしかった。
三島監督、いつか傑作出すのでは、と期待しているけど、いまいち自分にはハマりません。
万人受けはしなそうな映画っぽい映画
監督自身が脚本まで書いている、映画っぽい映画。
長回しと手持ちの場面が多い。
長回しはが多いとちょっと疲れますが、意味のある長回しという感じ。手持ちも見ていて疲れる。キャリアのある監督なので意味があるのでしょう。それでも手ぶれ補正機能が欲しい。
3つの、「船」と「島」が共通のストーリーで、ちょっと特殊なシチュエーションかもしれないが、切なくもある。
1つ目と3つ目は共通のテーマがあり、監督自身の過去の出来事に関連があるのであれば、なんとも切なく、リアリティがあるのかもしれません。
2つ目のストーリーだけ関連がないような気もするけど。
見終わったあとに、映画を見たな、、、と重いと、疲れたな、という、、なんとも微妙な感じ。
それでも、最後まで見入ってしまったののも事実。
どの場面も役者さんが渋くていいですね
1月の声に歓びを刻め
観てきました。
暗い映画と言うより重たい感じの映画でした。3本の短編映画を観たような気がしてそれぞれ 受けての取り方で違ってくるなぁと感じました。
カルーセルマキさんの映画は映画ってよりも舞台のような一人芝居を見ている感じになりました。昔は言い方はあっているかわかりませんが、ニューハーフと言えばカルーセルマキさん この世界の先駆者的存在の方で私は大好きです。どの俳優さんも素晴らしくいつも思うんですが人選はいつも的確で凄いなぁと思ってます。
前田あっちゃんは難しい役どころにもかかわらず、最後まで飽きさせず引き付けられて観れました。
監督の細部までこだわっている映像は好きです。
カルーセルさん、前田敦子さん、共演ではないけれど、この二人だからこその満足感
カルーセルさんのこれまでの印象からは想像のできない、思いを内に秘めた表情 第一部と最後と科白は少なくとも、永年の思いを観る者に感じさせるには十分な佇まいであった 前田さんは「さよなら歌舞伎町」の頃からは大きな飛躍で、最近は観ている方が辛く苦しくなるような役も安定してこなされている 本作においても、笑顔をほとんどみせなかったり、感情を抑えきれなかったり、前田さんだからこその場面が多かったと思う 映画全般については難しく、他の方も書かれているように3つの話がどう関連付けられるのか、観る者にその答えを考えさせるような、ちょっと消化不良な印象は残っている ただ3つそれぞれの話はとても重く、各々では見ごたえのあるものであった
事件にあった「本人」の思いはもちろんであるが、その「本人」の苦しさに十分向き合えなかった「家族の悔悟」(本作ならカルーセルさん、哀川さん)について、何十年経っても消えることない傷であること、三島監督のこれまでの作品で家族を描いてきた視点とも重なった 声にしなくても、言葉にしなくても伝わる思いと伝えられなかった思い それは時間が経っても消せるものではない
三島監督が幼少の時親に連れて行ってもらった名画座が、今は亡き大毎地下劇場(大阪市西梅田)であることを知って、70-80年代の「いい時代」を同じ関西人として振り返りました
(2月11日 イオンシネマ和歌山にて鑑賞)
トトがかわいそう
2つ目のストーリーはどうして?
カルーセル麻紀さん、哀川翔さんというクセのあるベテラン俳優に、こちらも、ちょっとクセの強い前田敦子さんがどう絡むのかを楽しみに観に行きましたが、3人がそれぞれ別の主人公を演じる3つのストーリーでした。それは良いとして・・・ 1つ目は、取り残された親の痛み、真っ白な冬の北海道。3つ目は、傷ついた主人公の痛み、その主人公の心象を表すように、モノクロで描かれた大阪の街。ストーリーも映像もシンクロしていて、重たいテーマが、さらに際立っていると思いました。だけど、2つ目は、痛みの程度もちょっと違うし、舞台も青い海・・・ どうして、その異質なストーリーと映像を、間に挟むの?と不思議に思います。なにか、意図があったのだと思いますが・・・ それと、1つ目も3つ目も、痛みを持つことになった背景を、主人公自らが語るのですが、1つ目は、ちょっと心が壊れているような状態で語る感じだったので、なんとなくは、わかるけれど程度でしか、掴むことが出来ませんでした。さらに言うと、自暴自棄になって、自分で自分のモノを傷つけてしまったのかもしれないけれど、だからといって、その後、女性の姿をして生きていくことを選んだ理由が、理解出来なかったです。実際に、そういう人生を選んだ方がいらっしゃるのかも知れないし、そこまで心が痛んでいるということを言いたかったのかも知れませんが、男であることが嫌になった、だから、女性の姿で生きている? それは、ちょっと短絡的な気もします。
内容は分かるけど表現したいことが分からない
2024年劇場鑑賞32本目。
3章+最終章の構成で3章にはそれぞれ「れいこ」が絡みます。
1章のカルーセル麻紀演じる元父親が女性になった理由というのが性同一性障害ではないというのは斬新でしたが、それを演じさせられているカルーセル麻紀はどう思ったのかな、という心配が一つ。
2章に出てくる「れいこ」は飼っている牛なのですが、1章と3章に2章が関係しているとは思えないのが一つ(最終章でも一切触れられない)
3章で前田敦子演じるれいこが終盤行う行為に、それを後から知った関係者は深く傷つくだろうなと思うと、それまで同情すべき被害者だったれいこが軽蔑すべき加害者になってしまい、明らかに監督の意図から外れてしまったことが一つと、マイナスポイントが多かったです。
喫煙シーンも、心の傷とか、闇堕ちしている象徴としてそれぞれの章(3章はコトバとして)に出てきましたが、役者の健康考えると別に入れなくてもいいのでは?と思いました。
消え物は、旨そうです。
個人的に相性の悪い三島有紀子監督。正直、この作品についてもあまり興味を持っていなかったのですが、一月後半からの自分自身の劇場鑑賞が連続して評価が高かったこともあり、勢いに任せて三連休の真ん中に鑑賞です。
本作については、何度か別の作品の鑑賞の際に流れる予告を観るともなしに観ていただけ。で、「豪華な俳優陣で主演は敦ちゃん?」というのが私にとっての限られた事前情報。それに先行してご覧になった方の点数が高めだったこともあり、実はちょっとだけ期待していました。ちなみに私、別に前田さんのファンというわけではありません。彼女についてAKB時代のことは殆ど知らず、むしろ女優として彼女を見ていて、時折凄く光った演技をする彼女に惹かれることがあり「彼女が主演なら或いは…」と言うのが大きかったのですけど。。。
この作品、章立てに構成されていますが、それぞれの章について物語上は繋がりがありません。要するに「オムニバス」のようなもので、前田さんはその一つの章(三章)の主演であり、他にカルーセル麻紀さん(一章と四章)と哀川翔さん(二章)が主演の物語があります。実は、私「オムニバス」もあまり好きではありません。ただ、それに気づくのは二つ目の話が始まってからしばらくしてのことですから後の祭り。もうそういうものだと納得して観進めるわけですが、この監督の作品は裏切らずに(私には)つまらない。私、よくよく他の映画評でも触れることが多いですが「家族という呪縛」の話が結構すきなのですが、何というか三島監督作品のそれは中途半端で若干ファンタジーとすら感じてしまう分、優しさも意地悪さも心に来ない。敢えて言えば、一章や二章に出てくる飯(消え物)は旨そうであり、何ならもっとちゃんと映してほしいくらいの勿体なさは感じます。
そしていよいよ三章。こちらは一章と設定として重なるところはあるものの、他の二つの章とは違って家族のことは程々。なんなら、そんなことがあっても母親がこの調子というのは、むしろ母は何も知らないのか?と思えば尚、胸にグサりとくるれいこ(前田)の激白は見事で、「やはり敦ちゃんは持っている」と思わせてくれます。逆に言うと、そこだけかな。。この章もでは内容はと言えばやっぱりフワッとしていて、中途半端。
そして、またリンクする形で四章で締めくくられるわけですが、結果的には「(苦手な)オムニバス形式が逆に良かった」と思えるほど118分が長く感じるつまらなさ。終始酷評でこの監督のファンには申し訳ないですが、少々自分に酔っているような作品性が鼻につく三島監督。もういいかな、というのが私の結論です。
カルーセル他ザ・芸能人の異物感が貢献。
「煙草投げて」は北海道弁やんか
チラシに「あなたは傷を元手に映画を撮る。」というコメントがあり、脚本・監督の三島有紀子が幼少期に受けた性暴力と心の傷をテーマに撮った命がけのというか人生を懸けた作品である。「自主映画」という枠組みでスタートしたとのことでタイトルに込めたその心意気の名残りが恰好良く本編にも(自主映画というジャンルがあるわけないのだが)いかにもというカメラワークに起因するテイストを感じる。「島」「船」を接点に洞爺湖の中島・八丈島・大阪の堂島を舞台とした3つの物語をオムニバスでくくるのだが、どう考えても2話目(八丈島の哀川翔:希望)と3話目(堂島の前田敦子:メインテーマである過去の傷)をテレコに配するべきではないのか?(堂島パートを白黒で描いていることからもなおさら)と思えてならない。監督はNHKでドキュメンタリーを作ってきただけにそのテイストを生かそうとするあざとさ(小賢しさ)が見えちょっと萎える。ワンショット長回しの持つ力は良くわかるがそれに拘り(頼り)過ぎているのではないか。特にエンディング洞爺湖でのカルーセル麻紀の長いカットはさすがにカメラアイを意識してしまい最後に寄ってピンが外れて戻ることで一気に興ざめる。
昆布、黒豆、数の子、りんご
演者の本気を感じました!
過去と生きる3つの心
撮る必然性があった監督にとって大切な作品
「幼な子われらに生まれ」の三島有紀子監督作。
三島監督とは昨年11月に観たドキュメンタリー「東京組曲2020」の舞台挨拶の際にお会いしサインをいただいた(緊張してまともに話せなかった😰)ミーハーなファンです。
今作は心に傷を抱える3人の物語。
🌾第一章 北海道・洞爺湖の中島
世間から隔絶したこの地で一人暮らすマキ(カルーセル麻紀さん)。彼女は性暴力を受けて亡くなった次女れいこを思い続けてきた。正月に訪れる長女の家族。長女が「おとうさん」と呼ぶマキはいつ女性になったのだろう。長女の人生を思った。
🌾第二章 伊豆諸島の八丈島
妻を交通事故で亡くした誠(哀川翔さん)。5年ぶりに帰省した娘の妊娠に動揺しながらも受け入れてゆく。
🌾第三章 大阪・堂島
元恋人の葬儀のために帰省したれいこ(前田敦子さん)。レンタル彼氏に声をかけられ一晩を過ごすことに。彼女は幼いときに受けた性暴力により深刻なトラウマを抱えていた。
🌾そしてマキとれいこの最終章へ
三島監督自身が幼少期に受けた性暴力が基になっているとのこと。それを思うと胸が熱くなる。
そう、撮る必然性があった。
芝居は技術の巧拙以上にその存在なんだとカルーセル麻紀が教える。 脇...
芝居は技術の巧拙以上にその存在なんだとカルーセル麻紀が教える。
脇役に回ったりイケてない女を演じさせたら今や若い俳優でナンバーワンの前田敦子。 モノクロームで映える。
人間は皆んな罪人なんだよ‼︎と励まされて涙が溢れた。
三話とも珍しいアングルから手持ちで映し出す工夫が新鮮だ。
これは迷作?
一人の女性の魂を救うために
実に面白い構成の作品である。三島監督だからということはないのだろうが洞爺湖の中島、八丈島、大阪の堂島を舞台とした三篇から成る。堂島には海はなく少し離れた南港から話は始まっている。水辺への拘りは鎮魂のイメージによるものか。
三篇は完全に独立しておりお互いの直接的な関連性はない。ただ第一話と第三話は性犯罪の被害者である「れいこ」という女性が登場するところが共通する。(2人のれいこは全くの別人である)
第二話の八丈島篇には「れいこ」はおらず性犯罪もない。ただ三篇の中では最もとっつきやすく哀川翔の役者としての色気が炸裂する魅力的なフィルムである。思うに第二話は、第一話と第三話が直接的に隣り合うのを避けるためいわば緩衝帯として置かれたのではないか。
まず、第一話の洞爺湖篇はどうにも救いのない話である。暗い室内を影絵のように登場人物が動き密やかに会話を交わす。段々とこの家族(父と娘)は47年前にもう一人の娘れいこを性犯罪によって喪ったことが分かってくる。父=マキは、性加害者を厭うあまり男性性を放棄した。ただ父性は維持したようなのでこの家族にとっては混乱と社会的孤立感を強いられた日々だったのだろう。長女の態度からもそのことがよく分かる。(片岡礼子、好演)
なにせ47年である。死者はもう戻らない。マキの苦しみはもはや救われることはない。
第三話堂島篇でのれいこ(前田敦子)は洞爺湖のれいこと異なり生者である。ただ性犯罪の直接被害者であり深く傷ついている。影絵のように動き(モノクロ)無表情にボソボソ会話する流れで話は進行するが「レンタル彼氏」のトトが現れお節介を焼くことによって状況は変わる。正直、あの程度の儀式で傷ついた心が癒えるのかは疑問なのだが、画面がカラーになり笑顔をみせるれいこ(前田敦子)の魂は救済されたのかもしれない。このシーンの前に洞爺湖で恐らくは憤死するマキの姿が描かれている。遠く離れたこの2人の魂がシンクロしいわば身代わりとしてれいこが救われたことを暗示している。だから彼女が最後に歌うのはタイトル通り救われた「歓びを刻んで」いる姿であるということになる。
そんな都合のよい話はあるかということかもしれない。確かにこれは映画的な虚構ではある。でもせめてひとりのれいこを救うための段取りの映画であったと理解すれば納得はできる。
余韻が抜けない
希望の糧
美しい映像と力強さと
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