「心の奥に静かに響く映画」一月の声に歓びを刻め ココペリさんの映画レビュー(感想・評価)
心の奥に静かに響く映画
レビューの評価が大きく割れているが、観る人がどんな人生を生きてきて、どんな傷を負い、誰を傷つけ、何を感じてきたかによって、この映画の受けとめ方は大きく変わると思う。
監督自身の体験をモチーフにした作品で、よくぞ撮ったものだと思うが、私小説的ではなく、人が誰でも抱え込む心の傷とか罪の意識とかを普遍的に掘り下げて描いている。自分は映画を見ながら、これまで出会った異性や、自分の子どもなど、いろんな人との間の記憶が心の奥に浮かび、なんとも言えない感情が湧き起こった。そんな風に感じる映画には、なかなか出会えるものではない。そして、ネガティブなテーマでありながら、前向きに生きていこうと思わせてくれる不思議な作品だ。
特筆すべきは映像の美しさ、音の設計の巧みさ、俳優の演技の素晴らしさだ。ぜひ映画館で見ることをおすすめしたい。
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