「本来背負う必要のない罪悪感」一月の声に歓びを刻め やきすこぶさんの映画レビュー(感想・評価)
本来背負う必要のない罪悪感
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私、三島監督の『少女』が好きなんですよね。
イヤミスの女王の湊かなえさんが原作で、因果応報がテーマにも思える作品なんですが、苦しんでいる若者に対しての、「世界は広い」ってメッセージがこめられていると思ったの。
この監督は優しい人なんだろうなと思ったの。
それで、その『少女』では、最後に主役二人ともう一人の少女で明暗を分けてしまうんです。
そして、今作を観て思ったのが、明の方に踏みとどまれた三島監督だからこそ、『少女』から若者に対するメッセージ性を感じられたのかなと。
今作は、他の三島監督の作品を観た時に、感想に影響を与える気がします。
それでですね、本作自体の感想を。
第2章だけ、色が違う気がしたんですよね。
第1章と第3章の橋渡しって感じでも無かったし。
逆に言うと、三島監督を語る上で入れる必要が有ったのだなと。
それで、この第2章のハイライトは、「みんな罪人だ」だと思うんですよ。
この台詞、結婚を認めて欲しい娘が父に言ったのだけど、結果として父、そして娘自身もこの言葉に救われたんじゃないかと思うの。
この父と娘、妻(母)の最期に対して、本来抱かなくて良い罪悪感を背負っているんです。
そして、その罪悪感はこれからも背負い続けていくでしょう。
本来背負う必要のない罪悪感を、捨てるのは容易な事ではないと思う。
だけど、罪悪感を背負い続ける自分自身を、否定するのではなく肯定する事が出来たなら、少しだけ楽に生きていけるんじゃないかと思うんです。
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