年少日記のレビュー・感想・評価
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子供の心の壊し方
一人の少年の日記を通して、親の体罰によって、人生に前向きだったはずの心が少しずつ壊れていく衝撃的な物語。
Yahoo!ニュースで教師による体罰のニュースが出ると、コメント欄には教師を擁護し、体罰を肯定する意見が少なくない。
そうした人々がよく口にするのは、「自分も体罰を受けて育ち、それが成長につながった」というもの。
この映画に出てくる浅野忠信似の父親も同じようなことを言っていた。
彼らはこの映画を観ても、同じ意見のままなのだろうか。
もし体罰で成長する人間がいるとしても、その陰で命を絶つ人間がいても許されるというのだろうか。
人は誰しも得意不得意がある。
親の役目は、子供の得意なことを見つけ、学ばせ、伸ばし、社会で活躍させることだと思う。
しかし、世の中には、自分の理想を子供に押し付け、うまくいかなければ子供を責め、結果として生きることに絶望を感じさせてしまう親も少なくない。
この映画の兄弟がまさにそうだが、向いている子は体罰がなくても結果を出すし、向いていない子供は、いくら体罰を与えても結果を出すのは難しい。
体罰を振るう大人は、子供が思い通りにならないことにイライラし、その感情をぶつけているようにしか見えない。
それを「子供の成長のため」と言うのは、あまりにも卑劣だと感じる。
確かに、努力を怠り、結果を出せていない子供も多くいる。
そういう場合、勉強するようになれば飛躍的に結果を出すことも珍しくない。
『ビリギャル』の主人公がその典型。
しかし、この映画の主人公は違う。
次のテストで良い点を取ればどんな望みも叶えると言われ、彼は今までの人生で最も勉強したはず。
それであの結果だった。
この時点で、親であれば別の道を考えるべきだった。
子供をさらに傷つけ、結果を出させようとするのは、人間としてあるまじき行為ではないだろうか。
物語の途中に出てくる若い女性のピアノ教師は、性別や年齢は違えど、普段の自分を見ているようだった。
自分も人に物を教えるときは、あのような感じなので。
だからこそ、子供に結果を出させてあげられない彼女の苦しみが痛いほどよく分かる気がした。
葬儀場での彼女の姿を見て、涙が止まらなかった。
考えさせられる作品だが、ストーリーは詰め込みすぎ!
台湾映画かと思ったら香港映画。テーマは物凄く重い。高校教師チェンが見つけた生徒が書いたと思われる遺書のメモを見て幼少期に見た兄の日記を思い出したが、内容は色々考えさせられた。ただ、詰め込みすぎた感は否めない。逆に香港の学校教育事情など絞っても良かったか。ラストは希望が見えたが。アイデアはいいだけにもったいない。
家族間でそれは……
家族関係
高校教師が自分の過去を振り返りながら生きて行く姿を表現した感じの作品。 本年度ベスト!
幼少期に傷ついた心の追体験
淡々とした映画といえばそういう映画ですが、私は嫌いではなかった映画でした。
幼少期に傷ついた心を振り返り、それを乗り越えようとするストーリー。
あそこまで酷い毒親は、今では虐待ですね。
あそこまで辛い経験を私自身は幼少期にしていませんが、追体験しているような感覚になりました。
思ってたほど…
静かで内省的な、後悔と自省を反芻するような映画。
事前の印象から韓国映画だとばかり思っていたが香港映画だった…
基本的には、遺書らしきものを発見した教師が子供時代のことを思い出すことで観客は過去の出来事を知る、という形になってるんだけど、ひとつだけギミックが入っていて、それが終盤グッと物語を展開させる。
その展開が少しだけ主人公に前を向かせるので、後味はけして悪くはない。
ただ思ってたほど入れ込めなかったのは、全部父親が悪いってだけじゃないの?としか思えなかったから。父親もまた…ってことでもなさそうだったしね。
主人公の元妻役のハンナ・チャンさんも、その若い頃役のナンシー・クワイさんもめちゃくちゃ可愛かったのが印象的…
悲しい家族物語
親の責任
中学校の教師であるチェンが子供の頃の日記を読み返しながら当時の記憶を辿るというストーリーです。
正直中盤までは何を伝えたいのかがぼんやりしていたのですが、大きな仕掛けがありました。そこからチェンの言動に意味を見出すことができました。
チェンの両親はあまりにも厳格で「眠れていない、病院に行きたい」という子供の明確なSOSにも耳を貸さないし「クズ」なんて言う残念な有様です。本作はやり過ぎってくらいあり得ない親でしたが、すくなからず親の期待に応えなければとプレッシャーを感じている子供はいるのでしょう。
色々明らかになってからはちょっと辛くなりますが、やはり覆水盆に返らず。きちんと相手を見て向き合うことの大切さを改めて感じました。
この両親にとって、子供は装飾品
つもり
ゴミ箱から自殺をほのめかす遺書と思しきメモがみつかった学校で働く教師の、過去と現在の立ち位置の話。
トラブルを起こした生徒に指導する様子から始まって行くけれど、教師と生徒が友達になれるとか何言ってんだ?
そもそも人の話しを聞く気が無いヤツにはなすことは無いだろうにと思っていたら…。
幼少期の話しはなかなかきつくて、これはなかなか見応えあったけれど、半ば過ぎのモノローグから、あれ!?そういうこと…?それってほとんど知らない話しですよね?なミスリード。
何でこういう作品でこういう作り方するんだろうね。
そして結局自身の生い立ちを言い訳にするし、教師と生徒はとかまだ言ってるし、つくりも主人公以外はどうでも良い感じだし。
生い立ちの影響は否定しないけれど、出来る人はそんなこと言い訳にしないですよ。
悪い話しではないけれど、最初から最後までちょっと芯を食って無い感じがしてハマらなかった。
70点ぐらい。静かで美しい映画
静かに端正に丁寧で、そして大胆な作品
「とても優しい、でもいつも不幸に見える」 かつて恋人にそう評された高校教師が少年時代に背負うことになった後悔と心の痛みとは?
私は十代の頃にドイツの作家ヘルマン•ヘッセの書いた小説『車輪の下』を読んだことがあります。厳格な父親のもとで育った成績優秀な少年が神父になるべく寄宿制の神学校に進学するが、やがて神学校の厳しい規則や周囲の期待の重圧に押し潰されて道を違えてゆくといった内容のストーリーだったと思うのですが、20世紀初頭に発表された小説にも関わらず、当時の受験競争にも通ずるところがあったようで、当時の中高生たちにそこそこ読まれていたような記憶があります。そんな時代から数十年を経て、ここ日本では少子化や社会の変化とそれに伴う親の考え方の変化等により、競争は以前より緩やかになった感があります。でも、この作品は香港版、かつ、年少版の「車輪の下」とも言える内容で、強制された教育や過酷な競争で押し潰されてゆく子供を描いていました。
主人公は高校教師のチェン(演: ロー•ジャンイップ)。まず、彼のたたずまいに独特の何かを感じます。彼は校内で起きたある事件で楽観的な見解を述べた副校長に抗って語気を強めて反対意見を述べたりします。また、元気のない女子生徒とともに香港の街を見下ろす高台に登り、そういうときにはここで大声で叫べばよいと自ら叫んで手本を示したりもします。これだけのことを字ヅラだけで追うとかなりの熱血教師のようですが、彼には熱量みたいなものが決定的に足りていない感じです。いい教師で生徒に寄り添うこともできるのですが、何か寂しそうでクールを通り越して虚無的な感じさえします。熱血教師が中心だった日本のドラマにはいなかったタイプ。強いてあげれば、松坂桃李がやった御上先生あたりが近いかな。
チェンは校内で起きたある事件をきっかけにタイトルにある「年少日記」を読み返し始めます。物語は現在と過去の回想を行きつ戻りつします。このあたりの作劇がかなり巧みです。途中にある大掛かりなひねりや映画的誇張、映画的省略の組み合わせを通して物語が動き、彼が背負うことになった後悔と心の痛みの正体と原因が解き明かされてゆきます。レビューのタイトルにあげた「とても優しい、でもいつも不幸に見える」という恋人の言葉にある不幸の根幹にはいったい何があったのでしょうか。
実は私はこの物語にすっかり食らってしまい、後半の何箇所かで嗚咽をもらしそうになりました。3-4席ほど離れた席に座っていた女性のお客さん(まあそんなに客の入るタイプの作品ではなく、ほぼ全員がひとり客でぽつんぽつんと離れて座ってる感じで最寄りのお客さんでした)はもっと食らっていたようで、後半、ほぼ泣きっぱなしだったのを私の左耳が捉えておりました。チェンが背負った後悔と心の痛みは恐らく一生消えることはないでしょうが、教師としての彼はそのことがあるからこそ、生徒に優しく寄り添うことができる…… と書くとまた目が潤んできそうです。
この作品の監督/脚本を担ったニック•チェクはこれが長篇デビュー作だそうですが、なかなかどうして、脚本も演出もとても巧みでした。どんな人か知りたくてネット検索してみたのですが、分からずじまい。サイトにあったインタビュー映像を見る限り、若そうな感じだったのでこれからが本当に楽しみです。
巧みな作劇に翻弄されながらも大いに感動した作品でした。作劇があまりにうますぎて技巧に走ってる感もあるので星半分減らそうかとも思ったのですが、やはりこの感動にはかえがたくフルマークで。
子どもは何も悪くない
彼に伝えたい。
今あなたがいる場所が世界の全てではない。憧れの大人の基準も変わる。
もう一人の彼にも伝えたい。
あなたは何も悪くない(むしろあなたも犠牲者だ)。
こんなはずじゃなかった。
愛がなかった訳じゃないだろうに、この家族に足りなったものはなんだったのか。
無垢な彼が、必死で家族の求める水準に自分を持っていこうと、もがく様が辛かった。ただ純粋に家族に認められたかった、ただそれだけなのに。
途中まで彼が誰なのか勘違いしていて、事実を知った時にものすごいショックで、その後の展開は辛くて泣いたわ。
どの人にも必ず何かの才能を持ってこの世に生まれてきていると思うし、それが子ども時代に輝く人もいれば、老年期に輝く人もいると思う。
得意なことを伸ばすのが一番だと心から思っているけど、小さいうちはどれが得意かなんてまだわかんないよなぁ。
あの子の天真爛漫な魅力は、人に好かれると思うから、社交性を磨くとか色んな方法が沢山あったはず。
勉強が出来ても人と上手くやれないと社会では認めてもらえない気がする。だから人と上手くやっていく才能の方が使えると言ったらなんだが、評価をされやすいと思うのだが。。
とか色々考えた。
辛い。
泣いた。
学歴社会
誰も語りたくない死をテーマにした作品
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