「脅迫する原理主義独裁の害悪」TATAMI 島田庵さんの映画レビュー(感想・評価)
脅迫する原理主義独裁の害悪
最初ザーラ・アミールは、マルヤム・ガンバリ役での出演だけを
ガイ・ナッティブから打診されたんだが、
そのキャラクターがシンプル過ぎるので、これでは演じられないと言ったところ、
共同監督の提案があったので引き受けたんだそうな。
亡命して15年経つとはいうものの、どんな危険が及ぶか分からない中、
勇をふるって世界に問いかけた作品。
なお、レイラ・ホセイニ選手を演じたアリエンヌ・マンディは、
ロサンゼルス生まれのアメリカ人女優。
柔道は未経験にもかかわらず練習を重ね、
映画の中でスタントなしでたたかった相手は
すべてオリンピック級の選手だという。
* * *
事実に基づいた映画ではあるけど、実際に
「イスラエルと対戦する可能性があるから
棄権しろと言われた」と告白したのは、
世界柔道選手権2019年東京大会での
サイード・モラエイ選手(男子)。
それまでもイランの選手は、柔道に限らず、
不審な棄権が多いと言われていた中、
彼が初めて暴露したんである。
棄権させてまでイスラエルと対戦させないのは、
イスラエルを国家として認めていないから
というだけの理由。
しかも、国に残る家族を脅迫。
下手すりゃ拷問。
(つい最近も、イスラエルの選手と握手して一緒に写真を撮ったイランの選手が、イランから「永久追放」になった)
原理主義独裁の害毒、ここに極まれり。
この映画では女子に置き換えて、
イランにおける女性の立場、という要素も加えている。
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