劇場公開日 2025年2月28日

「あんなに早い段階で棄権させなくても良いのでは?」TATAMI りあのさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5あんなに早い段階で棄権させなくても良いのでは?

2025年4月30日
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鑑賞方法:映画館

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ジョージアの首都トビリシで世界柔道選手権が開催された。イラン女子60kg級代表のレイラ・ホセイニは金メダルを目指して順調に初戦を突破。元柔道選手で現在は女子代表チーム監督のマルヤム・ガンバリの指導の元、レイラは次の試合も一本勝ちし三回戦に進んだ。しかし、イランの柔道協会の会長からガンバリに、レイラ・ホセイニ選手を棄権させろ、との電話がかかって来た。
イランにとってイスラエルは敵対国で、このままレイラが勝ち進めば、決勝でイスラエルの選手と戦う可能性が出たため、レイラを棄権させろ、と政府からの命令だった。ガンバリはレイラを説得しようとしたが、世界王者を目指すレイラは聞き入れない。説得を試みるガンバリ、試合に出ようとするレイラ、そしてレイラの家族の所に警察が、会場にはイランの工作員が・・・大会が進行する中、レイラとガンバリは決断を迫られ・・・さてどうなる、という実話を基にした話。

男女、場所の違いは有るものの、2019年8月に日本武道館で行われた世界選手権でサイード・モラエイ選手に対し、イラン政府が圧力をかけた事実をベースにした作品とのこと。モラエイ選手はドイツに亡命し、その後モンゴル国籍を取得し、東京オリンピックで銀メダルを獲得したとのこと。しかし、いまだに家族にメダルを見せる事は叶わず、の状況らしい。
イランの大統領や最高指導者の指示を無視したとあからさまに言ってたから、イラン国内じゃあ上映出来ないだろうなぁと思った。制作に参加したイラン出身者は全員亡命したそうだが、自由の無い国は恐ろしい。
イラン映画ってこんなのが多いけど、特に女性に対する弾圧はこれから少しは改善されるのだろうか。
イランにとってイスラエルが敵対国なのはわかるが、闘いを避ける理由がイマイチよくわからなかった。負けたら大変というならわかるが。仮に接触するだけでもダメだと言うのなら、対戦が決まった時(決勝戦に勝ち上がった時)に棄権を指示すれば良いのでは?2回勝った頃から棄権しろと命令されてたが、早すぎじゃないか?
レイラ・ホセイニ役のアリエンヌ・マンディは柔道経験者じゃないらしいが、カメラワークのうまさも有って、試合は迫力あった。代表監督マルヤム・ガンバリ役のザーラ・アミールも保身に走ってたのに途中からレイラの金メダル取得をサポートしてたし、演技は上手かった。

りあの
Mさんのコメント
2025年4月30日

私もそれ(対戦が決まってから棄権)でよいのにな、と思いました。
でも、逆に直前に棄権すると逃げたようでダメなのかもしれませんね。

M