「あなたは死闘の合間にあんなことを決められるか?」TATAMI sugar breadさんの映画レビュー(感想・評価)
あなたは死闘の合間にあんなことを決められるか?
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観る前は「スポ根もの」か、せいぜい「政治とスポーツのせめぎ合い」ぐらいに考えていましたが、なんのなんのずっと深いです。
人間の尊厳と究極の決断を描いた作品です。最近では「聖なるイチジクの種」はもとより、「ブルータリスト」や「ステラ」などにも通じるテーマですね。
試合と試合の合間の数十分間、身体はくたくた、心は潰されそうな状況下で、「家族を捨てて亡命するかどうか」を即断しないといけないんですよ!これはキツイね。もはや金メダルを目指すの次元ではない。
主人公と監督は亡命を選択し、個人の尊厳を命がけで守りました。しかし二人の親は最低でも投獄、最悪は処刑されてしまったでしょう。試合を棄権していたら英雄として帰国でき、独裁政権下ではあったとしても家族と一緒には暮らせたのですから、やはり何が幸せなのかは個人の究極の決断に委ねられることになるのです。
柔道チームの監督役のザーラ・アミール、「聖地には蜘蛛が巣を張る」のあのジャーナリストを演じた方ですね。実体験に基づいた内面の演技が素晴らしい!今回は映画の兼任監督もつとめたとのこと。中東の映画人も侮るなかれレベル高いです。
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talismanさんのコメント
2025年3月4日
「聖地には蜘蛛」まだ見てません!柔道監督の彼女、板挟みの苦しみと自分自身の過去の行動に関して愛弟子に嘘をついていたという思いを素晴らしく演じていました