「大傑作になり損ねた良作」TATAMI ケージさんの映画レビュー(感想・評価)
大傑作になり損ねた良作
クリックして本文を読む
政治的な問題にスポーツを絡めた映画。
これがスポーツ映画に政治的な問題を絡めた映画になっていれば傑作になっていたのにと感じてしまった。
柔道の試合の描写があまりにも単調で盛り上がらない。
最後の試合などは苦戦、コーチの覚悟の応援、息を吹き返す、勝利目前、一瞬の隙を突かれ敗戦、愕然と崩れ落ちる主人公とコーチ。
それぐらい野暮なスポ根展開にしてこそ、その落差で政治的背景が際立ったのではと思う。
人生や家族をも犠牲にし国に盾突き目指した所の手前で敗れた虚無感、絶望感。
しかも回避すべき対戦相手もその手前で敗れたという皮肉。
結局は決断をしても、しなくても結果だけ見ると同じという不条理。
大きな力に屈せず立ち向う人間の尊厳を描く良作ではある。
反面、大きな力が生みだしている矛盾、滑稽さ、不条理を描く恰好の題材を活かした大傑作になり得たのではと思えて少し勿体ないと感じてしまう。
コメントする