「【”スポーツに政治を持ち込むな!選手は母国のためにスポーツを遣っている訳ではない!”今作は、恐ろしくてスリリングでサスペンスフルなイラン国家スポーツ介入ポリティカルJUDOムービーである。】」TATAMI NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”スポーツに政治を持ち込むな!選手は母国のためにスポーツを遣っている訳ではない!”今作は、恐ろしくてスリリングでサスペンスフルなイラン国家スポーツ介入ポリティカルJUDOムービーである。】
ー ジョージアで行われる世界選手権に出場したイランの柔道女子代表のレイラ・ホセイニ(アリエンヌ・マンディ)は、監督の元選手だが過去の大会で、”怪我”により棄権をしたマルヤム・ガンバリ(ザーラ・アムール)と共に、難敵を内股、支えつり込み足、巴投げなどの技で勝ち上がって行く。だが、途中でイラン政府や最高指導者から敵対国イスラエルとの対戦を避けるために棄権を命じられる。圧力は監督のマルヤムにも及ぶが、レイラは頑なに棄権を拒否し勝ち進んで行く。-
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作が、2019年に日本で開催された世界選手権で起きた実話に基づくという事実に驚く。
・映像は非情にスリリングでサスペンスフルである。レイラの柔道の試合の映し方も巧いし、それと並行して彼女の夫と子供が国境を超えるために当局から逃げるシーンが映されるのである。
・何度もマルヤム・ガンバリ監督の携帯に掛かって来るイラン政府からの脅迫電話。そして、レイラの両親を拉致した動画まで送られて来るのである。そんな中、怒りと哀しみを抱えて、トイレの鏡に額を打ち付けるレイラ。流れる血。だが、彼女はそれでも棄権せずに試合を続けるのである。
イラン大使館の男達が、レイラを棄権させようと様々な手段で脅しをかけるシーンも恐ろしい。
彼女の止血をする医者も、且つてスポーツ亡命した人であったり、WJA(世界柔道協議会)の会長やスタッフが懸命にレイラとマルヤム・ガンバリ監督をサポートする姿が、神々しく思えてしまう。
・マルヤム・ガンバリ監督は途中で、政府の圧力に屈しレイラに棄権を促すが、彼女がそれを拒否し戦う姿を見て、全てを捨てて彼女を応援し、且つて棄権した真相をレイラに明かすシーンも、生々しい。
<今作の制作に関わったイラン出身者は全員亡命したという事であるが、スポーツに政治が介入する事は今でも起こっているのである。今作のラストでレイラとマルヤム・ガンバリ監督が、難民選手団として試合に臨むシーンでエンドを迎えるが、スポーツ選手の自由と尊厳を守る戦いは今でも世界の何処かで続いているのだろうな、と思った作品である。>
NOBUさん、コメントありがとうございます。自分 や家族に危険が降りかかるのを覚悟で映画を作っている人達、撮影し続ける人達になんて言ったらいいのかわからない。感謝の気持ち。本にするのもいいけれどどうしても時間がかかる。スマホその他、若い人たちは手段を持っている。映像の力は強いんだと思います
スポーツは代理戦争になり得るし、ヒトラーのオリンピック、ロサンジェルスでオリンピックの商業化が始まるなど、余計なものがスポーツ「人間の大いなる遊び」にくっつくのは止めることができないんでしょうか。映画も同様ですね

