小学校 それは小さな社会のレビュー・感想・評価
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1年間の成長
2021年4月、コロナ禍の中、入学したばかりの1年生は手の挙げ方、名前を呼ばれた時の返事の仕方、箒の使い方、廊下の歩き方、掃除や給食当番など、集団生活の一員としての規律と秩序について初めて学ぶことになる。そんな1年生を6年生が手助けし、わずか5学年違いなのだが、その5年の間に自覚を持ち、6年生にふさわしい行動をとるようになる。そのような、1年生、6年生、そしてコロナ禍で行事の実施に悩む教師たちのドキュメンタリー。1年経ち、2年生になった元1年生は新入生のための音楽演奏をし、次の1年生を迎える、という話。
東京の公立小学校で150日、のべ4000時間にわたる長期取材を実施したようで、どう編集しようか悩んだ事だろう。変わり映えしないシーンが続いたりして、ちょっとウトウトしてしまった。小学校1年生って小学校では1番下だけど、その前は幼稚園だったり保育所の1番上で、下の子の世話したりしてたはずなのに、やはりレベルの違いがあるのだろう。急に何も出来なくなるのはルールが違うというか、ちゃんとした社会ルールを教えられるという事なのかも。
そして1年経つと今度は下の子(新1年生)のために歓迎の演奏を披露出来るようになる。充実した1年なんだと思う。
今まで自分の経験してきた事だし、それくらいしか思わなかったが、これを海外の人が観たら日本式教育について何か思う事があるんだろう。そういった外国の人の感想を聴いてみたい。
日本人はいつ日本人になるのか?
国際スポーツ大会で日本の観戦者が片付けをして帰ることに対し、"称賛"したり、"掃除のプロの仕事を奪うと批判"する話がある。
観戦者はただ自分の身の回りの事をしただけなのだと思う。小学生の時、教室を自分達で掃除したのと同じように。
キレイな場所を得ることが目的ではないことは、児童が帰った教室の机を先生が整えて回るシーンが現していると思う。
縄跳びを上手く跳べない子が、自分で練習し運動会でやりきった後の笑顔。
演奏の練習不足を叱責され、悔し涙を流す子。その子が本番の演奏でやりきれたあと、嬉しさで駆けだす。
取材する中には一生懸命やって、上手くいかなかった子もいただろうけど、ストーリーは上手くできた子を主にしている。
でも、監督は「小学校が、ルールを守り努力すれば成功することを教える場だ」とだけ言いたいのではないのだろう。
それは、卒業式の練習でお手本をみせる先生を可笑しく笑った子供たちに、「先生は気持ちを込めて"ハイ!"と言った。一生懸命やっている人を笑うのは間違っている」と諭すシーンを残した事からもわかる。
自分が言いたいことをナレーションに頼らず、編集で語る監督の手腕に拍手です。
撮影手法・編集は丁寧だが内容は平凡
複数のカメラを配置しての撮影、ほとんどの子どもたちがカメラを意識しないまでの溶け込み方、そうやって撮られたものをまとめる技術など、とても丁寧・端正ですばらしい作品だと思いました。
ただ、内容としては、ある小学校を1年間撮り続けたら、こうなるだろうなぁ…という域を出ないものでした。もちろん、どんな普通の子どもたちであれ、何か心を動かすものはある、だからそれなりに感動する映画にはなっている。
ただ、タイトルである「それは小さな社会」というのは「日本社会の縮図」という意味であるとしたら、それは全く描けてなかったと思います。
小学校が「小さな社会」であるのは当たり前で、監督がそういうことではなく、そこに日本社会の縮図が見えるという意味でこのタイトルをつけたのであれば、例えば子ども社会におけるもっと深い人間関係…友情とかの正の感情だけでなく、怒りや嫉妬、いじめといったものがもしかしたら存在したかもしれないし、それこそが社会の縮図だったのではないでしょうか。
先に書いたように、普通の小学校に1年間密着取材したことで典型的な日本の小学校の姿を可視化することができた、それは日本の教育の在り方を見つめ直すのにも役立つだろうし、外国人から見たら非常に興味深い映像かもしれない。そういう意義のある映画だとは思います。
それでも…同じく学校の定点観測的な映画で言えば、やはり「14歳の栞」という傑作ドキュメンタリーには全く及ばない。今回の映画で感動したという人は是非、「14歳の栞」を見てほしい(ネット配信は永遠にされないので、映画館で見るしかない映画です)。
こちらは中学生たちのわずか数カ月に密着しただけですが、奇跡としか言えないような瞬間が切り取られ、子どもたちの本音(と思われるもの)が語られ、切なく収束するドキュメンタリーです。
この映画と比較してしまうと、「小学校 それは小さな社会」は、あくまで「観察映画」に過ぎないと思えてしまうのです。大変申し訳ないですが。
日本人の小学生って・・・愛らしい!!
レビュー内にも指摘ありますが、個々の先生の、やや厳しめの指導方針や、できていない子への叱咤に対して、批判的なコメントが散見されますが・・・自分はむしろ、それらが子供たちにどう受け止められたのかがポイントではないかと思います。そしてその受け止められ方を左右するのが、先生の生徒さんに対する愛情なのだと思います。その意味では、本編に登場する先生方には、生徒さんへの愛情があふれていて、生徒さんがそれに応える姿が生き生きと描かれていました。単に、給食のすばらしさ、生徒が教室を掃除することの意義をアピールする動画は多々目にしましたが、ここまで先生と生徒の心的交流を見事に活写したドキュメンタリーは初めてでした。そして、日本の小学生って、みんな抱きしめたくなる位愛らしいっ!!と思ってしまいました・・・
涙がでました
涙がとまりませんでした。
仏教では仏性は万人にあると説かれているが、それを証明する映画だと思う。
人は、大人になるにつれて悪縁に接することが増え、もともとある仏性がだんだん埋没してしまうのだろう。
でも、仏性は消滅するようなものではない、本来備わっているものだから。
万人成仏、だれでも仏になれる。仏とは超越した存在ではなく、普遍的な存在で、釈尊のような生き方ができるということだろう。
人はよく勘違いをする。仏になると楽な暮らしができると思ってしまうのだ。でも釈尊の人生を振り返ってみれば、それは苦労の連続であり、決して楽な暮らしではなかった。
ただ、どんな苦労にもめげることなく、悠々と人生を生き切ったということ。私たちも同じような人生を歩むことができるということが、万人成仏ということだと思う。
小学校のときは、自分の仏性と向きあい、育む時代といえるのではないだろうか。
長い人生のなかには、さまざまなことがあり、理不尽なことも多い。でも、小学生のころに学んだことは、それらに飲み込まれることなく、すばらしい、満足できる人生を歩むための礎になるのだろうと思う。
教育の難しさを痛感させられました🙂
小学校って、子供が成長する上で本当に大切な場所なんだと再認識。教育の難しさを痛感させられるのと同時に、教師の皆さまのご苦労頑張りには、心から感謝感謝です😌
にしても、憎むべきはコロナ禍😵
マスクをしながら体育の授業を受けてる子供達に涙がでました。もっと早く5類にしてあげたかった。
どこから観るかで見え方が異なる作品
受け付けないところがある
観始めてしばらくは「感情の表出がないな」と思うの。
児童がなにかやらかしても怒る(おこる)でも怒る(いかる)でもなく淡々と『それはいけないことだよ』とやるのね。
「こう育てられたら、就職して怒鳴られたら『パワハラだ!』って言うな」と思ったな。
観続けてると怒るシーンもあって、それは、まあ、良かったな。
観ていて一番思ったのは「教育って気持ち悪い」だったの。
何が気持ち悪いかというとね、先生たちが「自分たちは指導・育成ができる」と思い込んでるところなんだよね。
算数や音楽の技能の指導・育成はできると思うよ。そうじゃなくて「人間として生きていくために必要なこと」みたいなものの指導ができると思ってるの。
これはね、できないと思う。先生たちが上からいくんじゃなくて、悩みながらドーンとぶつかっていったらね、児童も「色んな人がいるなあ」という感じで何かを学ぶ気がすんのね。
でも「人生において大切なことはこれである」みたいな感じで教えるのはね、難しいよね。釈迦牟尼とか連れてこいよ。
林間学校なのか修学旅行なのかで、脱いだ靴を揃えさせるのを、真剣に考えてるのね。「どうやったら自発的に靴を揃えてくれるのか」みたいな。
こういうことを真剣にやってる人はいるね、大人でも。
そして僕は別に靴が散らかっていても気にしない派。そこに人生における大切なことがあるとは思ってないから。
音楽会のところでシンバルの子を激詰めするけど、あれはなんか意味あるのかな。
その前にオーディションで選ぶのも意味があるのか分かんないけど。
「ここを乗り越えて大きくなった」って感じにしたいんだと思うけど、越えなくても良いハードルをわざと作って越えさせてもさあ。中高で部活を真剣にやったら、そういうハードルにぶつかるしね。
そして、先生たちは泣く。なんか一年が終わって感極まって泣くんだよね。それが「美しい」みたいになってんだけど。まあ、泣きたいなら泣けばいいけど、それほどのことはやってない気がしたな。
僕は小学校高学年のときに先生の言うことを真剣に聞かない子供だったんだけど、この映画を観て理由が分かった。「人生とは」みたいに答えがないものに対して、先生たちは「これが正解だ」ってやってんだよ。釈迦牟尼が言うなら聞くよ、悟り開いてるし。でも先生だよ、教員試験に受かっただけだよね。「正解は分からん。これを押し付けるのは間違ってるかもしれん。でも、自分が教えられるのはこれしかないんだ」ってやってきたらね、こっちも真剣勝負で話を聞いたかもね。
と、いろいろ言ってみたけど「教育は自身のコピーを作る活動」という説もあるから、これしょうがないんだよね。
かつてみたいに未熟な教師が怒って叩いても「まあ、手がかかりますしね」で許される時代ではなくなったから、先生たち大変だなと思いました。
自分のルーツもここにあるのだろうな
靴箱の整頓や掃除なんかは見ていて気持ちが良かったですね。
ああ、日本人だ!って。
子どもたちの中でも自発的に思いやりの行動がとれる子がいるのが、教育とは関係なく素敵だった。
だけど先生の中に、児童を受け入れてヨシヨシしてくれる方もいたけど、結構圧が強くて子どもの(できない)行動に対し責めるようなシーンが多かったのがちょっと萎縮させるようで気になりました。
でも、教えの場として素晴らしい仕組みではありますね。
「型破りな教室」から流れて観に来ました
場面を盛り上げるBGMも、感情を揺さぶるナレーションも一切ない
新小学1年生と新小学6年生(と先生)のおのおの数人にスポットが当たるが
100分間ただただ彼ら彼女らをカメラが1年間追い続けているドキュメンタリー
でも、それがとてもいい効果として生きている
シンバルが上手く叩けない女の子にも
縄跳びが超絶苦手な放送部員くんにも
子供たちに厳しく指導する事に苦しみ続けていた先生にも
余計な解説ナレーションもBGMも無い事で純粋に感情が揺さぶられる
そして、どうして彼ら彼女らの1年通じての成長シーンに
こんなにも涙があふれて止まらないのは何故なんだろう
画面からあふれる皆の「純粋さ」がとっても愛おしかった
また視点は違うが
コロナのために如何に子供たちの貴重な時間が窮屈なものにあったか
取り返しがつかない、思い出や経験の喪失になったか
その中で先生方がどうやって子供たちのために出来ることに一生けんめいだったか
そんなことも一緒に考え気づかされるいい映画でした
これはこれで良い制度。
楽観か悲観か
良いも悪いもある6年
当たり前だと思っていたこと
係を決めて責任を持ってやり遂げる
自分たちが使う場所は自分たちで掃除すること
当たり前だと思ってた
良い部分もたくさんあるし、少し変えた方がいいなと思うこともあったり
考え方がそれぞれ違っても子供たちを思う先生方の情熱がよく伝わってきた
真面目そうな子が2+9のさんすうカードをなくしてしまって悲しくなって泣いたのは自分みたいだったし
出来る出来る!やりたい!って言ってできなくて叱られるのは、うちの娘みたいで抱きしめたかった
コロナ禍で黙食を強いられ、楽しみにしていた行事もなくなったり縮小したり
顔の表情も読み取りにくく、大変でしたね、子供たちも先生も
監督のご両親がイギリス人と日本人で、日本で育ち、ニューヨークの大学で学び、他国との違いを知り、それでもやはり我が子を日本の学校に通わせたいと思うというインタビュー記事を読んで、この作品を見て、監督の情熱も伝わってきました
映画としてもとても面白かった
学校の全体主義を我々は普通だと思っている
とても丁寧なドキュメンタリーでした。落ち着いてじっくり撮っているし、努力して信頼を勝ち得て子どもの生活に入り込み撮影してきたことがわかります。教師たちの振る舞いも自然です。ナレーションは少なく意図的に演出されたものではないと感じました。
それだけに、良くも悪くも「日本人の作り方(原題)」が見事に映し出されたドキュメントとなっています。日本の公教育の実像です。これは監督の勝利でしょう。
我々日本人は「当たり前」のことと捉えがちな子ども達の規律ある生活ぶりですが、欧米人の観客等が見たら驚異かもしれない。フィンランド教育界で話題になり、視察の話が出たとNHKニュースが誇らしげに報じていたのです。しかし、日本の教育はこのままで良いのだろうか?良い面はあるけれど、このままではいけないのでは?と気づかされた作品でもあります。
日本の学校現場は、教師の方向づけに対して、子どもたちが素直に(楽な子もいれば、かなりしんどい子もいるはず)努力するよう、上手く条件づけられていることがわかります。
「誰かが遅れたとき、先生は気持ちが一つになっていないなあというふうに思う」これは映画の中で聞いた先生のセリフだけど、よく考えると異常な精神構造です。
小さな時から全体の顔色を伺う。「いじめ」は減らないように仕組まれている。
全体主義の社会を作るうえでは、とても上手い条件づけですが、これほど多様化し情報が氾濫した現代社会では、やはり少し異常です。そして、我々はまだほとんど、その異常さを自覚していなかったのだと、気づかされた映画でした。
よく撮れたドキュメンタリー映画だと思います。山崎監督の意図に悪意はなく、素直に「これが日本の教育の現状なんです」と差し出してくれたのです。ありがとう。
いい先生が増えたんですね
小学1年生の4月はまだまだ幼児、6年生はもう思春期。小学校で過ごす6年間は、大事な6年間と改めて思いました。どのエピソードも宝物のようで、大人になってもいい思い出になるんだろうなー。
先生達が多岐にわたる仕事を一生懸命頑張っている姿に頭が下がる思いです。小1の時に担任の先生を「お母さん」とつい呼んじゃったと聞くけれど、まさにその通りの関係性。別れが辛くて泣いちゃうね。
自分が小学校へ行ってたのは何十年も前だし、好きな先生は一人もいなくて集団生活が苦痛でしかなく、給食を食べられなくて毎日一人残された辛い思い出しかなく(給食のシーンは吐き気がした)、卒業式では泣くどころか、もう行かなくていいと嬉しかったことしか覚えていません。
なので「小学校」のドキュメンタリー映画を観ると嫌な思い出が蘇るのではと躊躇したけれど、観てよかったです。小学校のイメージが良い方にアップデートされました。
学校の日常生活
日本の公教育というか、日本という国自体が
このような人々に支えられているのだなあ、と感じた。これは教育のことに限らない。それぞれの場で誠実に仕事をしている人がいるから国として成り立っている。
見ながら自分の小学校の頃を思い出した。
3年生まで年配の女性の人だったが、大嫌いだった。今なら新聞沙汰になるようなことをしていた。
でも、4年生の時のやました先生は、中2の頃の社会の先生と並んで、私の人生の中で最も大きな影響を与えてくださった人の一人だ。
5.6年生の時のにしむら先生は、クラスや学年に限らず学校中の子どもたちから慕われる先生だった。なのに、やました先生を好きだった私は、いつもやました先生のクラスにもどりたいなあ、などと考えていた。でも、にしむら先生もほんとにいい先生で、今もにしむら先生の名前を聞くと、胸にあたたかいものを感じる。
映画を終えて出てきたら、先生ぽい3人組が「学校の毎日そのままだったね」と言っていたので、多分、今の先生たちもこんな感じの毎日を過ごしているのだろう。
見てよかった。
ただ、時間を50分くらいにして、日本人全員に見てもらうことができればな、と思った。そうすれば、小学校の先生への尊敬の気持ちも戻って、また、先生になりたいと思う人も増えるのではないだろうか。
追記
先日この映画を見て、6年生の時の先生に連絡を取ろうと思ったら、2年前に亡くなっておられた。
後悔。
めっちゃ面白かったー
軽やかにテンポよく淡々と語られる多岐にわたる物語一つ一つを楽しめました。編集が細かくて、ガチャガチャうるさい印象も受けましたが、それが子供の本質と相俟って、見ているうちにしっくりきて、そのリズム感に乗せられて、非常に楽しめました。
ドキュメンタリーだからといって何か主張されていなければならないということは全くないわけで、あくまで映像の記録というのが本質なのだと改めて感じつつ、何を切り取って何を選択してどう構成しているかでその作品の主張めいたものが見えてくる気がするのですが、この作品に関して言えば、シンプルに記録した興味深い出来事を時間軸に沿って並べているだけだと見て取れましたが、それだけでも十分に面白さを感じる内容だったと思います。日本独自の文化、ノスタルジー、人間模様、子供そのもの等々、繰り広げられる出来事とともに見所が満載でした。
記録的な価値というところに抜群の面白さが加わっていて、非常に優れた作品だと思います
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