「「キングスマン」ファンとして同等のインパクトを期待し過ぎた」ARGYLLE アーガイル ニコさんの映画レビュー(感想・評価)
「キングスマン」ファンとして同等のインパクトを期待し過ぎた
マシュー・ヴォーン、サム・ロックウェル、猫という私の好きな要素盛り盛りの映画。ヴォーン監督のスパイ映画といえば私の大好きな「キングスマン」。シリーズとは別の作品とわかっていても、ついあの突き抜けた楽しさを期待してしまう。
ところが、中盤でちょっと眠たくなってしまった……何故だろう。
小説「アーガイル」を上梓した作家エリーが、妄想の小説世界に入り込んでいく話かと思いきや、実はエリーは催眠暗示によって記憶を奪われていた凄腕スパイで、スパイ仲間のエイダンと共闘し、実は敵だった自分の両親などと闘う。騙し合いの応酬で、主要キャラどうしの見た目の関係性が二転三転するスピード感のある展開。ヴォーン監督の飼い猫チップが演じる猫のアルフィーも、単なるお飾りにとどまらないアクションをこなす(CGだけど)。
なかなか手の込んだストーリーだとは思うが、どうも気持ちが入らず、ただ話を追うだけになってしまった。有り体に言えば、主役2人にスパイ映画の主要キャラとしてのキャラ立ちや共感しやすさみたいなものが感じられず、こちらを物語に引き込む引力が足りなかったような気がする。
もちろん、ブライス・ダラス・ハワードは素晴らしい女優だし、いわんやサム・ロックウェルをや、である。スパイという役柄に対する意外性を狙って監督が意図的にこのようなキャスティングをしたこともわかる。ミスマッチ感を笑うところなのだろう。
ただ個人的には、スパイ映画において、よくあるパターンから外したキャスティングをするのであれば、「意外とイケるやん、想像よりかっこいいやん!」となるような化学反応を見たかった。「キングスマン」でハリーを演じ、50代にして突然派手なアクションを披露したコリン・ファースに感じたような心地よい意外性。
こういう言い方は本当に申し訳ないのだが、ブライスのがっしり体型は、後半スパイであることを自覚した後のアクションにどすこい感をもたらして、パワーが凄そうには見えたものの、アクションシーンのスタイリッシュさを減じていた。かといって俊敏なアクションをこなす姿が爆笑を誘うほど極端な体型でもなく、中途半端に見える。渡辺直美があのアクションをこなしたら多分笑うけど……。
スパイ映画の割に、面白ガジェットもあまり出てこない。クライマックスの、カラフルなガスの中での踊るようなガンアクションは、よく言えばヴォーン監督らしいけど、言い換えれば既視感がある。
そして、威風堂々と頭が爆発しまくったり、人間をミンチにしてハンバーグにしたり、主人公が(電波で操られて)モブを惨殺しまくったりといった場面に相当する、イッちゃってるシークエンスがないため、今ひとつインパクトに欠ける。
でもまあ、私の中に「キングスマン」の続編がない欠乏感を埋めたい、という無意識の欲求があったから、勝手に本作にそういう役割を求めてしまい、不満な点が目につくことになったのかもしれない。アクションのノリが似てたり、ラストに20年前のアーガイルがキングスマンの名を掲げた店に行く、という思わせぶりなシーンがあったので、私のひとりよがりだけが原因ではないとは思うが(開き直り)。
とりあえず名作「キングスマン」のことはいったん忘れて観た方が、素直に楽しめそうだ。
返信ありがとうございます😊 映画館で主役 は人権や平等とは関係ないので もう少し自覚欲しかったです。痩せるプロ根性。ただ 世界中で言われてらっしゃるでしょうから 少しきのどくに 思えてきました。
失礼します。またよろしくお願いいたします🙇。