劇場公開日 2023年12月15日

「自身を誠実に見つめ直すと、それは映画素材の宝となる。」99%、いつも曇り penさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0自身を誠実に見つめ直すと、それは映画素材の宝となる。

2024年9月25日
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鑑賞方法:映画館

例えば、フライパンで同じ料理をつくっているにも関わらず、信じられないミスを毎日繰り返してしまう、一つのことに集中できなくて、興味の赴くまま、別のことにのめり込んで、周りを引きずり回し、トラブルがあいついでしまう・・・パワフルで根が明るいので、心の中は土砂降りの雨とまではいえないが、99%、いつも曇りの状態で、なんか生きづらい。

でも、そんな発達障害気味な主人公の特徴が、上手く生かされて、物語が転がっていくその転がり具合が、可笑しくもあり、楽しくもあり、哀しくもあり。そして、いろいろなネガテイブピースが、最後こうなるかと唸ったラストは涙・涙でありました。

終映後の瑚監督とのトークイベントで犬童監督(「ジョゼと虎と魚たち」等)が「自分を主演に映画を撮る監督は往々にして自分を綺麗に見せる罠に落ちるが、その場合だいたい失敗に終わる。が、この映画はそれがない。」趣旨のコメントをされてました。その言葉どおり、半モヒカン刈りでしゃがれ声の中年女性が普段着姿で悪銭苦闘する姿は、自身を誠実に見つめなおし、それを一つ一つ丁寧にエンターテイメントに昇華させた結果で、それがとても良かったと思います。多分映画製作仲間の身内が相当数いらしたのだとは思いますが、会場は拍手の嵐だったのも肯ける良作でした。

pen