リンダはチキンがたべたい!のレビュー・感想・評価
全49件中、1~20件目を表示
多幸感にあふれたコメディ
セバスチャン・ローデンバック監督は、前作『手をなくした少女』を1人で制作した時、線の数を減らしたデザインを編み出し、素晴らしい効果を上げた。今回はプロダクションによる制作だが、前作のスタイルを踏襲してさらに魅力的な作品を作ってきた。一枚いちまいの絵の輪郭線は不完全だが、動かしていけばきちんとキャラクターの輪郭が浮かびあがる。その揺れ動く線自体がとても魅力的。
物語は、亡き父親の得意料理だったパプリカチキンを食べたい少女のために、母親がチキンを探して奮闘するというシンプルなもの。コメディタッチで母娘の小さな冒険と騒動を温かく描いていて、多幸感に溢れた内容だ。デザインと作風が抜群にマッチしていて、この物語にはこのスタイルが最も良かったと思わせる。今年のアニメーション映画を代表する一本だと思う。
吹替版も完成度が高い。安藤サクラが母親を演じることで、この母親のハチャメチャぶりがことさらに強調されるようになった。
絵も登場人物の、気ままでわがままなのがいい。
『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』で省エネ手法とセンスを駆使し、たったひとりで長編アニメを作り上げるというコロンブスの卵を成し遂げたセバスチャン・ローデンバックが、妻で映画監督のキアラ・マルタと共同で監督と脚本を手がけ、『大人のためのグリム童話』の手法を集団作業に拡張して作りあげた創意工夫にあふれるアニメ。
絵の面白さだけでも素晴らしいが、大人も子どももどっか倫理のネジが吹っ飛んでいて、それでいて雑なまま下町(団地)の営みが成立してしまう世界観がとても好み。創作も人生も生活も、これくらい好き放題で気ままでいい、とテーマに掲げているわけではないが、そのイビツだけど風通しのいい人生感みたいなものがアニメーションの線の少ない隙間から風のように吹き抜ける感じがする。
キアラ・マルタは日本未公開だけどハル・ハートリーの『シンプルメン』に触発された『シンプルウイミン』という映画をエリナ・レーヴェンソン主演(本人役!)で撮っていて、ローデンバックは『大人のためのグリム童話』の女神役にエリナ・レーヴェンソンを起用したというハル・ハートリーとのつながりがあり、確かにハル・ハートリーのちょい斜めのヒューマニズムとちょっと通じるところある。
抽象的なタッチから生まれるリアルな感情と素っ頓狂なおかしみ
これはゼロからイチを生み出すタイプのアニメーション作品だ。絵のタッチは革命的なほど抽象的で、登場するキャラクターや背景なども単色で塗りつぶされていたりする。なのにどういうわけか、巻き起こるシュールで素っ頓狂なドタバタや心と心のすれ違いが痛いほど切実に、時としておかしく、リアルに伝わってくるのだから不思議なものだ。核となるのはリンダの「チキンがたべたい」という純粋で一途な思いと、無くなった指輪を娘が勝手に持ち出したものと一方的に決めつけてしまった母の申し訳ない気持ち。それらを巡って警察を巻き込んだデッドヒートが繰り広げられ、かと思えば、街では経済活動がストップするほどの大規模なストライキが広がっているのも実にフランスらしい。これら近景と遠景をオーバーラップさせながら、全てが一つの大切な感情と記憶へと集約されていく顛末がしみじみ胸を打つ。珍味ながらこの香りと食感と何とも言えない余韻が癖になる。
心温まるアートアニメーション
子どもと一緒にみたい作品
字幕版で見たのですが、すごく声優さんが良かったです。
会話の間や内容から子どもの頃の感覚を呼び起こされました。
ただ劇中の行為に日本人の倫理観では少しどうなのかなって思うところもあるかもしれませんが、異国の作品なのでそこは御愛嬌だと思います。
日本アニメにはない自由な画
リンダがパプリカチキンを食べたいと言ったばっかりに街中が大騒動に巻き込まれるというお話。クッキリしたキャラクターと奔放にぶっ飛んだ展開が愉快なのですが、この物語にこの絵は合ってないんじゃないかな。似たり寄ったりで窮屈な日本アニメにはない自由な画風がフランスアニメの好きな点であるだけにそこがちょっと残念。
観てよかったかどうか?というとよかったほうです 最初のほうは画面の...
観てよかったかどうか?というとよかったほうです
最初のほうは画面の色使いや動きに目が慣れるのに少し時間がかかりました
日本のアニメーション業界用語で言えば、ラフ原のまま仕上げたようなアニメーションですね
そのラフさがところどころイイ感じに見えるといえば見えたりしますが、人によっては受けつけ難くもあるかもしれません
ラフさ故に表現が通常に表現するよりかはソフトになって素直に見れるな、という点もいくつかありました
話のほうはフランス独特のわちゃわちゃ感がたのしめましたが、これもまた人を選びそうな印象は受けました
フランス映画では団地の子供らが群れをなして(大人からみると)暴れたりするシーンが比較的あるように思えますが、現代日本人からすると日本の子供たちがそういう行動をすること自体がまずあり得ないわけで、日本人の記憶としては近代では昭和前半の悪ガキ率いる群れみたいなものしか思い当たりませんよね・・・
フランス郊外の団地ってやたら映画の舞台にされがちなのですかね?
締めは予定調和的な感は否めませんが、比較的きれいにまとまっていると感じました
個人的には、車中のシートにリンダが寝そべって外からの光が流れるあたりから車が夜の道路を走りゆくあたりまでが印象に残っています。光が車の窓の汚れを通して映るテクスチャのような表現が良いですね。
チキンを食べたいだけなのに大事になっていく面白さ
チキンを食べたいリンダの願いを叶えるべく、母親とリンダ自身が奔走する物語なのですが、
実にいろんな人を巻き込みながら、大事になっていく様は面白いと思いました。
ただ、途中でミュージカル的な演出が入ったりして、冗長さも感じてしまい、
もっと短くコンパクトにしてテンポを良くすれば、もっと面白くなったんじゃないかと感じましたね。
絵柄も独特なのですが、シンプルながらも表現力はすばらしく、そういう意味では違和感なく
鑑賞することができました。
一方、母親はじめ、それ体罰!だとか、言葉が辛辣とか、いろいろキツイと言いましょうか、
ハラスメント全開なところは、フランスというお国柄なのでしょうかね、
日本ではつくれない作品だと思いました。
ある意味、新鮮でしたが、良い気分では観れませんでしたね。
最終的に、チキンは食べれたし、いろんなことがうまくいって大ハッピーエンドではあるものの
私としては不完全燃焼、期待はもっと高かったですね。
でも観てよかったです。貴重な映画体験でした。
フレンチコメディー すみません理解できません
世界各国で絶賛!「リンダ」旋風が止まらない! 云々
カラフルでスウィートな映像、笑いと涙のあいだを自由自在にかけめぐる物語、
そしてなにより登場人物たちの爆発的に愛らしい 云々
史上最高級のアニメーションコメディ!云々
とのパンフレットの謳い文句をみて、恐る恐る鑑賞した。
予感は的中した。
私が経験したどのアニメよりも、カラフルで独創的なんだろうとは思いましたが、まったく感情移入ができませんでした。リンダやポレットに置いてけぼりをくらっているようで、団地の5階のベランダから、なんの騒ぎ?うるさいな!て眺めているような感じでした。
この映画を傑作と評価する人々は、きっと実写映画しか見たことがなくて、アニメーションという手法に驚いた人々が評価したに違いないと思う。
とすれば、日本のアニメが世界で高い評価されるのは当然ということになってしまうし、日本のアニメオタクにはまったく刺さらない映画ということになってしまう。残念である。フランス人のおもしろいという感覚もいまいち理解できないと思った。
挿入歌は、少しおもしろくて、よかったと思う。
チキンが食べたいリンダが素敵!
まずアニメーションが素晴らしい。
ラフなタッチなんだけども、、これ見ないとわからないと思うんだけど、我々が実際に目にするような、動き、光、イメージを見事に再現していて、それを見るだけで楽しかった。
夜の道を走る車の中が、街灯の下をくぐるたびに明るくなったり暗くなったりする様子とか、その車の窓から見える景色の中を流れる街の灯りとか、思わずハッと息を飲むほどに鮮やかで。
あと主人公リンダが、、こんなに可愛いとは!
宣伝に使われてるトップの絵じゃ伝わらないんじゃないかなあ。。
パンフの表紙の絵はすごく感じがでてるんだけど。
とにかく子供らしく傍若無人というか、元気に思った通りにしゃべったり行動したりするんだけど、まるで悪意がなくて、すがすがしくて微笑ましい。
それを言ったらお母さんもそうなんだけど。
ただ、元気で大らかで、基本サバサバしてる彼らなんだけど、常にどこか切ない空気が漂っている。
どうしてそう感じるのか不思議なんだけど。
お父さんがいないのは最初からわかってて、それを特に苦にしてるようなエピソードもセリフもないんだけど、本来いるはずの人がいない寂しさが、微かに香るほどに、けれども確実に、感じられる。
その寂しさは、リンダが今日絶対にチキンが食べたいという気持ちと、理屈はうまく説明できないけど、つながってるんだと思う。
お母さんもそれをわかってる。
だから、彼らがなぜあんなに頑張るのかわかる気がしたし、自然と彼らを応援する気になった。
そしてラスト。
これもなんか、あからさまではないんだけど、何故かとても暖かくて、幸福感に溢れていて。
こんな日々を送っていきたいもんだと、なんかこう、心の底からそういう気持ちを不思議に掘り起こされるような映画だった。
最後に、、ニワトリ目線で考えると、ちょっとだけ悲しいですね。
あんなに一生懸命逃げたのにTT(笑)。
不快
2024年劇場鑑賞105本目。
吹替強制鑑賞につきマイナス0.5。
延長の独特のタッチに釣られて観ましたが主人公の母親がだいぶいい性格してまして姉に対するわがままぶりが娘にちゃんと遺伝してパパの形見の指輪もダダこねて借りて約束破って学校に持っていくような娘に育っちゃったんでしょうね。
今回のメインになるチキンが食べたいのだって別に今日がパパの命日だから絶対今日食べなければならないみたいな理由なく、1日待てば済む話なのに絶対今日食べたいというワガママに、倫理観の崩壊した母親が乗っかるのでもう途中から吐き気がするくらい不快でした。
最後の歌だけ無駄に良かったけど・・・吹替だからなんかすごい奇妙な感じがする歌でした。
【”大好きだった父の得意料理を求めて。”幼い時に亡くなった父の得意料理を作るため、母娘が巻き起こす大騒動を描いた仏蘭西アニメーション。バンド・デシネとは全く違う絵柄が独特である作品。】
ー 資料によると、今作はアヌシー国際アニメーション映画祭最高賞のクリスタル賞を始め韓国、米国、そして日本の映画祭でグランプリを受賞したそうである。
確かに、仏蘭西のアニメだがバンド・デシネとは全く違う絵柄が独特である。-
■小学生低学年と思われるリンダは、ママの勘違いで大切な父からの贈り物の指輪を盗んだと叱られる。ママはリンダに”何でもするから”と言うと”パパのパプリカチキンが食べたい”と言う。
そして、ママはストライキでどこの店も閉まって居る中、鶏肉を手に入れるため奔走する。
◆感想
・絵柄が途切れ途切れの線と単一の色彩で描かれるリンダやママの姿が、特に疾走感溢れるシーンでは活き活きと描かれている。
アニメ作品では多分初めての描き方である。
そこが評価されたのだろうか。
・ストーリー展開はシンプルで、尺も短いので見易い。子供さん向けに制作されたのだろうか?
<僕達の記憶は、視覚、味覚など五感と結びついている。パプリカ・チキンを食べたいとママにせがんだリンダの想いは大好きだったパパを想い出す事だったんだね。
登場人物の誰もが、善性在る人に描かれている所も良かったな。
独特な絵柄が馴染むかどうかが、観た人の感想に繋がると思った作品である。>
まあ、飛んでましたね
原色の絵の具がその身を自在に変化させ飛び出していく、それよりも奔放過ぎる母娘と取り巻く伸びやかで多色な仲間たちの窃盗・破壊・団円とてんこ盛りのひと騒動に突っ込みいれまくりの70分と少し。お父さんの思い出はしんみりも展開し解決してヨシ、なのか!?
これぞフランスの自由への讃歌
そもそもポスターの配色が素晴らしくて観たくなったフランスのアニメ。まったく労力は違うだろうが、少し高畑勲のかぐや姫を思い出したりしながら見た。
しかし、さすがジャックタチの国、ジャンヴィゴの国、ルノワールの国、地下鉄のザジの国、というワンダーに溢れた世界での団地に暮らす女の子のパパのパプリカチキンが食いたい騒動。
観ていて楽しいのがやっぱりアンコントロールの世界。リンダもリンダの母もヤバいし、そもそもが世界がストライキで団地の人々もみんな好き勝手に生きてる感があっていい。冒頭の学校の授業でもフランス革命といかに国民が自由を手に入れたかを説明してるので、これは明確なテーマなんだと思う。
で、騒動のきっかけがお母さん間違ってた、ごめん、からはじまるのが素敵。
そしてみなでチキンを食うぞと団地はカオスになるのだけど、人の痛みなどわかりあえる世界が描かれている… やっぱりちょっとじゃりん子チエ的な理想郷を観てる気がする
分かりやすいけど
67本目。
アニメだけど、時間短いからと鑑賞。
チキンと言葉で出てくると、実物が思い浮かんでしまい、ちょっと頭が混乱。
ドタバタコメディで分かりやすいんだけど、盗んじゃいかんだろうってので、カラフルとは言え、画が単調に感じて、ちょっと持たない感じ。
自分の柔軟性が足りないだけとは思うんだけど。
手抜きのようなユニークな絵
小学生の女の子リンダは母と郊外の公営団地で暮らしていた。ある日、母の指輪が無くなり、リンダが疑われ母に叱られてしまった。しかし、指輪は飼っているネコが原因だとわかり、母はリンダに謝り、お詫びに何か欲しいものはないかと聞いた。すると、リンダは、亡き父の得意料理だったパプリカ・チキンが食べたいと言った。しかしその日はフランス中がストライキで、どの店も休業していたため、チキンを買うことが出来なかった。仕方なしに卵の販売所から生きた鶏を連れ帰ろうとしたが、鶏が逃げ出し、警察官、トラックの運転手、母の姉、団地の仲間たちを巻き込み大騒動となった。リンダはパプリカチキンを食べる事が出来るのか、という話。
手抜きのような人物を単色で描くユニークな絵に驚いた。ストーリー的には逃亡した鶏を巡ってのドタバタ騒動であり、コメディなんだろうが、ユニークな絵が気になりストーリーに入り込めなかった。それと、全体を通して、倫理観の無い行動が多く、問題だと思う。
そんなドタバタコメディの中にも2組の恋愛を絡めてくる所がフランスだなぁ、という感想。
とにかく変わった絵なので、一度経験しても良いとは思うが、自分勝手で自己中、人の迷惑お構いなしと、教育上良くないシーンの連続なので、子供向けにはおすすめ出来ない。
ジブリのアヌシー受賞作は狸と豚
背景とキャラの絵柄が一体感のある高畑勲的、かぐや姫のものがたり的表現を楽しむ仏アニメ。しゅるしゅるとしたゆるい輪郭の多数のキャラをカラフルなカラー1色で表わし、また同じ家族は同系色でまとめることで、関係性も見失わずにすむようになっているのがうまい。
やんちゃなガキどもに身勝手な大人、ゼネストにシングルマザーに権威的な警官に…と来て、最後はパプリカチキンでみんな連帯という、フランスっぽさ?のあるドタバタ話ではあるが、それがおもしろいかっつーと…? ただ、パパの料理を回想する歌のシーンではちょびっとじんわり。
最近よく耳にするようになったアヌシー映画祭、アニメ表現の新しさに重点が置かれてんのかと思いきや、2024年度は日本から窓際のトットちゃんとか屋根裏のラジャーなどもエントリーされてて、なんでもアリかよ!という気持ちに…。
絵のタッチは荒いけど そこに躍動感があーりん子
全く観るつもりは無かったのに 映画館有楽町と 渋谷を
間違えちまってさ。観たの 仕方無く そしたら
ヾ(((≧▽≦)))/♪♪♪きゅわわわぁーーーん!!
おもしれーぢゃんかぁー。(^Q^)/゜
やっぱしフランスアニメは いーわさ。
以前も デリリ....だったり その他も観てるし
日本のアニメは 戦いばかり こーゆー
あり得ない面白さも いいんでねーのけ??
やさしい話
児童文学だね。
リンダもお母さんも大変なんだよ。
「なるほど、それは確かに」という流れで亡き父の思い出のチキンを作らざるを得ない流れにして、でもストだから簡単じゃないのって入れてくるのがいいね。
色んな人が出てくるけど、みんな、最後のところで優しいよね。
そこが良かった。
いろんな意味でフランスっぽい?
フランスのアニメらしい色づかい。最初は違和感の方が強かったが、観ているうちに動くポップアートのようなその映像に慣れてしまった。こんなアニメもアリだ。
話の方もゼネラルストライキが実施される日が舞台になる等、民主主義を勝ち取った国民性が色濃く出た設定に思える。
そしてストーリー的には想像していた以上にカオスな展開だったことに驚いた。団地という舞台設定もまたカオスを生み出す要素だったわけだ。最後に噴水を囲んで集まっている住民たちが革命後のフランス市民のように見えたのは私だけだろうか。やはりフランスっぽい。
ドタバタコメディであり、家族愛を描いた物語として悪い印象ではないが、いろいろと受け容れがたいことも多い。母親にしても、リンダにしても、リンダの友人たちにしても。母親の犯罪行為もどうかと思うが、子どもたちの行動が特に嫌だった。子どもだからで許される範疇を大幅に越えてしまった気がする。これもフランスっぽさなんだろうか。
全49件中、1~20件目を表示