「「男」「男」とやたら強調しない」無理しない ケガしない 明日も仕事! 新根室プロレス物語 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
「男」「男」とやたら強調しない
北方領土を眼前に臨む根室の地で、アマチュアのプロレス団体「新根室プロレス」を立ち上げたサムソン宮本氏の奮闘と、彼が病による余命宣告を受けて聖地・新木場 1stRINGで解散興行を行う過程を描くドキュメンタリーです。
僕はプロレスに全く興味がないのですが、リングに懸ける彼らの思いには胸が熱くなりました。「観た人に楽しんで欲しい」というサービス精神が横溢しており、「男」「男」とやたら強調したり「闘魂」などと握り拳を誇示したりしないのがとても魅力的でした。
そして、一人一人レスラーの個性が面白いのです。過去に鬱病を患っていたり、東京生活に挫折して帰って来たり、燻った青春期を送っていたりと、自分の場所を持てなかった人々がマスクをかぶってリングに立つことで輝き始めるのです。失礼な言い方かも知れませんが、新根室プロレスこそが彼らにとって治療院であり、皆の話しをよく聞くサムソン氏は一流のカウンセラーだったのです。
元はテレビ・ドキュメンタリーで、分かり易く真っ直ぐな造りは映画ドキュメンタリーと口当たりが異なりますが、本作はその軽みがよい持ち味になりました。一度、プロレスを観に行ってみようかな。
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