「サバイバーの悲しみ」異人たち こうたさんの映画レビュー(感想・評価)
サバイバーの悲しみ
本家を観たのは少年時代にテレビで。これの何処が面白いの?でした。
子供でしたしねー。
秋吉久美子が可愛すぎて母親には見えなかったのと、名取裕子のホラー枠の方が楽しかった記憶。
子供でしたので。
旅立った両親との再会を、インナーチャイルドの癒やしの物語にした脚本を、山田太一なら評価しただろうな。
クイアを散々傷つけてきた歴史をなかったものにしようとしている、昨今の映画界へのアンチテーゼも感じましたね。
ゲイはあの時代を忘れちゃいないぜと。
常に死と隣り合わせで生きて来たあの時代が、葬り去られる事を許さない、監督の静かな怒りを感じました。
映画界で、両親へのカミングアウトはもう時代遅れのドラマ。
でも、実際は今だって。
アダムなんて名付けられた男の子にしてみたら、大変な事でしょ!多分。
これまでのゲイ男性を主人公にした映画で、父親の存在は無に等しかった。
ゲイの作家さんにしてみれば、そう簡単に俺は父親を許しはしないぜ!フィールドオブドリームスじゃあるまいし、みたいな感じでしょうか。
もう少し一緒に生きていられたなら、息子の苦痛に気づいていたはずの母親と、息子の苦悶に気づいていたのに、無関心だった父親。
母親から愛されている事は充分に理解していた。母親の独りよがりを責めるほどの子供じゃない。
でも、理想の息子にはなれない自分から、父親が興味を失っていったのは、癒やされない悲しみだったんだろうな。
とにかくお父さんとのシーンは2回とも泣きました。
そろそろ、お父さんも許してあげないとね、もう大人なんだから。
本家を観てたから、オチは解っていたんだけど
ラストシーンはどう解釈すればいいのー!?
もう一回観よう
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