「この映画は、心を癒すものではなく、心の闇に引き込まれた、病者の内的世界を描いている」異人たち hideさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画は、心を癒すものではなく、心の闇に引き込まれた、病者の内的世界を描いている
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日本版は知らないが、この映画は、郷愁的な色彩と性愛物語を、あの世との交錯で彩った物語と解釈したい人も多いだろう。
しかし、これは孤独ゆえに現実との接点を失い、精神病の世界に逃避し引き込まれた、精神病者の内的世界を描いた作品である。最後に、両親との別れで深い闇から脱しても、それは現実の他者との交流につながらず、依然として現実に存在しない相手とつながり、自己完結した病的世界が続いている。
本来は、他者と交わることで、現実世界の扉が開かれるはずだが、主人公は内的マスターベーションの世界にとどまり続け、精神病の闇から脱することを拒んでいる。
この映画は、一見、ノスタルジックで、男同士の性愛物語のように見えるが、そこには、現実に絶望し、内面世界の闇に溺れた、病的で孤独な精神病の世界が広がっている。
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