「理解不能」若き見知らぬ者たち R41さんの映画レビュー(感想・評価)
理解不能
何もかも理解不能に感じるこの作品
そもそも多国籍の合作の意味がどこにあったのかさえ不明。
見落としている箇所もあるかもしれないが、この作品の中央に、静かに置かれているのは「父」だと思った。
父の借金に母が絶望し、やがて病気で「智恵子抄」のようになった。
父が残したカラオケバーを経営する長男アヤト
幼い時から父の夢を刷り込まれて、修斗のチャンピオン戦に挑む次男ソウヘイ
アヤトの彼女、看護師
そして親友の大和
友人の警官
さて、
物語の中心にありながらも隠されるように置かれている「父」
彼が残した借金 そして死 ボクシングの夢 家族
父の死因については明確にされてないが、大出血があることで自殺、または他殺と考えられる。
物語には事件とか犯人などは登場しない。
ただ、その後警察官のずさんな行動が描写されていることで、そもそも父が殺されたにもかかわらず自殺として処理された可能性も残っているように思う。
父の死によって始まった不遇と、警察や社会への不信感がアヤトの刹那的性格を描写しているようにも感じる。
彼は現実に疲れ切ってしまっているように見える。
立っていられるのは、恋人の支えと、それでも母が生きている仕方なさからだろう。
彼の刹那的な心情は、拳銃自殺という描写が挿入されていることでわかる。
ちょっとでも歯車が狂えば、彼はもう立っていられなくなるのだろう。
この作品の主人公はアヤトだと思ったが、まさか死んでしまう。
では、いったい誰が主人公なのだろう?
おそらく、この作品の主人公は「死んでしまった父」なのではないだろうか?
この最初からいない父を主人公にしたことが、この作品の挑戦だったのかもしれない。
しかし、まったく共感できない。
父は確かにカラオケバーを残した。
同時に借金も残した。自宅も残したのだろう。
相続するしないの選択はあったはずだ。
家族は相続を選択した。
ここに大きな疑問が残るが、アヤトにはソウヘイの夢をな変えたい思いがあったのだろう。
自宅がなくなれば、ボクシングに打ち込む環境が悪くなる。練習時間をバイトに使わなければならない。
家族であっても他人の夢のために生きること
すべてを犠牲にしてようやく成り立っている責任 それは、「絶対」なのだろうか?
そうしてアヤトはソウヘイのために自分を殺し、母の介護で自分を殺し、次第に自分自身を失っていったのだろうか?
ソウヘイは練習後に母の介護に入るが、彼には家の掃除という考えはないのだろうか?
すぐ母がめちゃくちゃにするから、しても仕方ないと思っていたのか?
ここに家族愛かと思わせながら、自分を殺すという間違いの様なものを垣間見たような気がした。
親友大和は子供が生まれた後に結婚式を挙げ、その二次会会場がアヤトのカラオケバー
関係ない3人の来店が事件を起こした。
警官を退職した友人の決心は、自分と合わないことへの取捨選択という人生における重要なファクターなのだろう。
それができなかったのが、アヤトだろうか?
しかし彼には母の介護というものが残る。
彼に逃げ場所など最初からなかったということだろうか?
それとも、父の死が他殺であれば保険金が下りたのだろうか?
そうなれば悪いのは、警察だったのか?
アヤトの死は事件とずさんな警察仕事によるが、その事は最後にソウヘイの肩へと倒れてくる。
彼は父の夢でもあったボクシング(修斗)のチャンプになるが、祝福してくれる人は誰もいない。
鍵が開いたままのカラオケバー
アヤトの死因となった割れたグラス
そこでソウヘイはようやくそれを片付けた。
ここでエンドロールを迎えるが、ソウヘイはバーで虚しさを味わっている。
自宅へ帰っても、もうアヤトの彼女がやってくることはない。
これからはソウヘイが母の介護をすることになる。
それは、今までしてこなかったすべてのツケが来たということなのだろうか?
チャンプになっても何ひとついいことなどないのだろう。
それを視聴者に思い知らせるのが、この作品なのだろうか?
理解できない。
それを我々に見せて、いったい何を問うているのだ?
こんにちは
しばらくです。
後味の悪い映画でしたね。
店、休みなら、鍵閉めておけ、ですよね。
4カ国合作・・・・知らなかったです。
スタッフもキャストも、純国産風にみえますね。
資金は出してくれたのかも、知れません。
だとしたら、金は出すけど、口は出すな、的な。
脚本プロットをキチンと書いてから、脚本書いてほしいし、
この作品にアドバイスする人がいなかったのは、アドバイスを
受け付けなかったのでしょうかね。