「亡くした人への向かいあい方」君の忘れ方 ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
亡くした人への向かいあい方
君の忘れ方、というよりは、亡くした人とどう向かいあうのか?が
ストーリーの骨格ですね。これがメッセージだと思いました。
亡くした人の霊っぽい表現があるのですが、
劇中、主人公昴(坂東龍汰)が「見えているフリ」と言い放つシーンがある通り
たぶん霊はいないと思うんですね。
そういうことではなく、自分の脳裏に焼きついている婚約者美紀(西野七瀬)の
姿の想像だと私は捉えました。
でもまあ何とも言えません。こればっかりは。
ただ、そこが大事なのではなくて、亡くした人とどう向かいあうのか?が
メッセージなんですよね。
昴の母(南果歩)も亡くした夫と向かいあうし、
昴が関わった人たち、みんなそう。
どうやって前に進んでいくのか、
前に進めない池内(岡田義徳)をその象徴的な存在として、
池内も前を向くことで昴も母も前を向いていく。
亡くした人を自分の体に取り込んでいく、自分の一部にしていく、
そういうメッセージでしたね。
本作で特筆すべきは、坂東龍汰の演技です。
ほぼ出ずっぱりだったんじゃないでしょうか。そのくらいの演技量ですし、実に自然。
それから南果歩の母親は盤石の演技で、本当の母子かのような雰囲気を出していたのは
すごいなと思った次第です。
西野七瀬はほぼセリフがなく、ちょっと寂しかったですが、役柄的に致し方ないですね。
劇伴がですね、ちょっとおどろおどろしいんですよね。そういう映画ではないのに。
ここはミスマッチに感じました。エンディングの坂本美雨の歌唱は良かったです。
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