「チキチキシャー・ルク・カーン七変化。 スターが2倍で面白さも2倍…なのか?」JAWAN ジャワーン たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
チキチキシャー・ルク・カーン七変化。 スターが2倍で面白さも2倍…なのか?
世直しするために行動を起こすテロリストのアーザードと謎の男ヴィクラム、2人の活躍を描くアクション映画。
ボリウッドの至宝、シャー・ルク・カーン。一時はキャリアが低迷していたが、「YRFスパイ・ユニバース」の4作目『PATHAAN/パターン』(2023)への出演により見事復活。彼が主演したこの作品はヒンディー語映画史上No.1の興行収入を記録し、名実ともにトップスターへと返り咲いた。
そんな大ヒット作をNo.1の座から引き摺り下ろした本作。全世界興行収入は約115億ルピー(1億4000万ドル)、観客動員数は3,550万人以上だというのだから驚く。結果として、2023年に公開されたインド映画で最大のヒット作となった。
恐ろしいのは、歴代興行収入第1位という自身の大記録を僅か半年で更新してしまったシャー・ルク・カーンである。そのスター性は我々日本人が考える遥か上を行くようだ。
ちなみに本作でヴィクラムの妻を演じたディーピカー・パードゥコーンさんは『PATHAAN/パターン』でもカーンの相手役を務めている。たまたま被っただけなのか、『パターン』にあやかって起用したのかはわからないが、短い出番ながら今作でも凄い存在感を放っていた。
このディーピカーさん、2024年のインド映画No.1ヒット作『カルキ 2898-AD』にも出演しているらしく、今最も乗りに乗っている女優。本作でチラッと名前が挙げられていたアーリヤー・バットとディーピカー・パードゥコーン、この2人が現インド映画界のディーヴァと言って良いだろう。彼女たちの出演作は要チェックである。
大スター、キング・カーンの魅力が詰まりに詰まった本作。はっきり言って映画全編が彼のPVの様なものであり、老年、壮年、スキンヘッドからミイラ男、オペラ座の怪人まで、とにかく多種多様な仮装扮装で観客の目を楽しませる。
ミュージカルシーンも満載で、彼の鍛え抜かれた肉体美をこれでもかと見せつけてくれる。特に女囚刑務所でのミュージカルは圧巻。1000人近い女性たちをバックに歌い踊るカーンの姿は、正にキングと呼ぶに相応しい。
驚かされるのは後半、これまでだって画面に映りすぎなぐらい映し出されていたカーンがまさかの分身!アーザードとヴィクラムを一人二役で演じるのだから、もう映画中がカーンまみれである。
『ツイン・ドラゴン』(1992)のジャッキー、『ダブル・インパクト』(1991) のヴァン・ダム、『シックス・デイ』(2000)のシュワちゃん、『ジェミニマン』(2019)のウィル・スミスと、とかくスターというのは分裂しがち。『バーフバリ』(2015-2017)のプラバースはギリギリのところで耐えていたが、彼が分裂するのも時間の問題だと思われる。
「みんなもっと俺を観たいやろっ!!」というサービス精神…というかエゴがスターを分裂させるのだろうが、はっきり言ってこの手のニバイニバーイ映画で良かったためしがない。今作もキング・カーンを前面に押し出そうとするがあまり、物語が大味になってしまっている。
ガールズエンパワーメント系の映画だった筈がいつの間にやら引退オヤジのど根性映画になってしまっていたり、宿敵カリの娘が途中でフェードアウトしてしまったりと、何か釈然としない物語が続く。
アーザードとナルマダのロマンスも唐突で、まるでタイパ重視とでも言わんばかりにトントンと結婚まで進む。アーザードの正体に気付き敵対するという展開もやけに忙しなく、全く情緒が感じられない。
6人の虐げられた女性軍団は顔と名前が一致する前にもうモブと化してしまっている。このアーザードの部下って本当に6人も必要だったのか…?
そして、1番気になったのはアーザードの年齢。娘ちゃんに「その髪は白髪染め使ってるの?」なんて言われていたし、はじめは中年のキャラクターだと思っていたのだが、なんと彼の年齢が30歳であるという事が途中で発覚する。いや!いくらなんでもそれは無理あるだろ💦若々しいとはいえ、キング・カーンは来年60。スターに年齢は関係ないと言えばそれはそうなんだけど、流石にねぇ…。。
せせこましいストーリーでありながら映画のテンポは単調。アクションが派手なので最初は楽しいが、これではすぐに飽きてしまう。しかもランタイムは170分オーバーと激長なので、正直中盤あたりからは眠気が…🥱
大スターのオーラを存分に浴びる事が出来、そこには満足する事が出来たのだが、やはりそれだけで3時間引っ張るのは無理があると思う。せめて2時間だったら楽しめたかも知れないが、それじゃボリウッドっぽくないか。
大スターがどストレートに「お前ら選挙に行け!」と説教。あまりのど直球さにズッコケたのだが、投票率の低下というのがそれだけ切実な問題なのだろう。基本は大味なアクション映画だが、そのベースには農民の貧困や政府の汚職など、インドの社会問題がある。ちゃんと政治的メッセージを打ち出している映画が大ヒットするというのは、日本映画界の現状と比べるとなんとも羨ましい限りである。
こんばんは。
私はインド映画の"楽しませるぞ!"っていう心意気・サービス精神が大好きなんですよね!残念ながら邦画でここまで心躍る事は少ないです。。
カーン様好きなので贔屓目ですが、これぞ娯楽!映画だ!ってワクワクします。
私には嬉しい限りでしたが正にカーンまみれでしたねw
バーフバリのくだり笑いましたw
ギリギリ耐えていましたねw
分身。。爆笑です!