「『おぬしにわしを助けさせてやろう』」傷物語 こよみヴァンプ サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
『おぬしにわしを助けさせてやろう』
脳天ぶち抜かれた。これまでの常識、天地がひっくり返るほどの衝撃度。こんなアニメがこの世にはあったのか。同日に見た3本の中で1番思入れが無かったのに。あまりに予想外すぎて、鑑賞からしばらくたった今でも頭の整理がつかない。これまで知らなかったことを酷く後悔すると同時に、ものすごい幸福感に満たされる。ああ、見てよかった。。。
カットの合間に挟まれる黒幕と白字、現実と夢が混在したような世界、息苦しく重い空気感など、この映画の全てに驚かされ、心奪われた。ちょっと一旦待ってくれ、と劇中何度も思うほど、興奮が収まらない。才能が、センスが爆発しているとはまさにこのこと。傷物語に酔うという熟語があってもいいレベル。庵野秀明作品っぽい匂いも感じる本作。厨二病臭くもあるけど、テンションが上がらずにはいられない。なんてイカしてるんだ。表現の限界に挑んでるのかな。
140分越えであることを身構えていた140分前。なのに、気付いたらエンドロール。あれ、夢を見ていたのかな。時間の経過の早さと、目まぐるしく変わる映像に思わずそう錯覚してしまった。多彩なアニメーション技術が虜になり、これまで味わったことない高揚感に満たされる。主人公がぶっきらぼうに、ひたむきに走る姿が脳裏に焼き付く。躍動感という言葉だけでは伝えきれない。どんな感性を持ったらここにたどり着くのかが気になる。てか、どうやってこれ作ったんだ?理解に苦しむんだけど。常軌を逸しているし、どう考えても狂ってる。なのにぶち刺さってしまう。
この映画にPG12を付けた映倫はどう考えても狂ってる。R15は確定だろ。1回の対人戦で流れた血液量、史上最大。昨年公開された北野武の「首」より首がゴロゴロと転がり落ちる。血も首もストーリーもぶっ飛びまくってるのに、主人公の出す答えとその生き様には魅了され、成長と退化を繰り返すキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードにはハートを盗まれ、最終的には泣きそうになるほど感情が爆発してしまった。何だこのアニメ。いくら語っても語り尽くせない。人が本当にヤバいものを見てしまった時って、固まってしまうんだな。