「いくつかの不満点」サイレントラブ てつさんの映画レビュー(感想・評価)
いくつかの不満点
クリックして本文を読む
チャプリンの『街の灯』に似ている、というネット評はみていて、それはその通りだと思った。美夏が事故でけがをして、目が不自由になるが、網膜剥離と白内障の手術は成功している、ということで、時々みえている状態の映像が出たりするし、白杖の給付は受けていないので、障がい認定は受けていないのだろう。わざわざ古い倉庫のピアノを弾きに行く理由がわからない。音楽大学であれば、個人練習室があるだろうし、家庭も豊かそうで、家にもあるのではないかと思った。視覚障がいのピアニストがいるように、弾くのが難しくなったのは、右手を負傷したことも大きく影響していたのではないか。手のリハビリも、復帰のために重要であっただろう。悠真との左手での連弾はできていたし。不運にも右手に重傷を負った悠真にも、左手のピアニストという道があると思う。
声を出せない男性が出てくる作品としては、『機関車先生』というのもあったが、手話や身振りも使えず、指一本と二本で区別をするというのも珍しい合図だと思った。超人的力をもつが、不器用で、自分の思い人の幸せを祈る姿勢は、『ノートルダムの鐘』のカジモドにも通じる。そんな蒼の気持ちを知りつつ、自分の罪を黙っていた美夏は狡いと思った。『デフ・ヴォイス』の輝子=瑠美もまた、加害責任を黙秘し、親近男性に罪を庇ってもらっていたのと似ていると感じた。
コメントする