「主演二人の演技は良かったけど…」サイレントラブ チーズさんの映画レビュー(感想・評価)
主演二人の演技は良かったけど…
「ミッドナイトスワン」の内田英治監督ということで楽しみにしていたのだが、正直言うと期待はずれだった。
蒼が北村にピアノの代行を頼んだことが、結果的に北村が美夏に好意を抱く原因となる展開は興味深かった。しかし後半の暴力的なシーンは果たして必要だったのか。あそこまで複雑にしなくても、シンプルな三角関係の構図で良かったのではないだろうか。
また、美夏が北村に重傷を負わせた罪を蒼が被るのだが、この展開も疑問だった。警察に説明すれば正当防衛になっただろうし、蒼が罪を被ったからといって美夏が犯した罪が消えるわけではないのに、あたかも何もなかったかのように描かれたのはどうしても解せなかった。最後キスしてなんとなくいい感じの終わり方していたけど、本当にあれで良かったのか??
あと、蒼の過去に関してだが、あそこまでに至る過程をもう少し描いてほしかったと思ってしまった。壮絶な経験をしているのが分かったのだが、あそこまでに行き着いた理由が分からないので、若干感情移入しづらかったかもしれない。
なので正直脚本に関しては残念な部分が多かったが、主演二人の演技が今作は素晴らしかった。
山田涼介に関しては以前から演技が上手いと感じていて、陰のある役も似合うと思っていた。そして本作でもやはりそうだったのだが、今までと違うのは声を発しない役柄だということ。表情や身振り手振りで表現する必要があるので難しい役柄だが、予想以上に難なくこなしていて驚いた。
浜辺美波に関しても素晴らしいの一言だった。山田涼介と同じく、この人も陰のある役が似合う女優だ。また「シン•仮面ライダー」の時にも感じたが、人との距離を取る演技が絶妙に上手い。どこか近寄りがたい雰囲気を醸し出しており、バラエティーで見せる和やかな雰囲気とは全く違うのが面白いところだ。
音楽も素晴らしかった。久石譲の劇中音楽は繊細なメロディーが本作の雰囲気に合っていたし、ミセスの主題歌も歌詞が秀逸。「矛盾こそ生き抜く為の美だ」なんて歌詞、なかなかセンスあると思う。
本当に主演二人は良かっただけに、もう少し脚本が良かったらと思うと残念でならない。
コメントありがとうございます。
暴力シーンはただ単にインパクトを与えるためだけに用意されたような場面で残念でした。そんなことする暇あるなら、もっと蒼と美夏の距離が縮まっていく様子をさらに丁寧に描いてほしかったです。
北村からも供述取れるし、何よりチンピラ達が白昼堂々公衆の面前で拉致しています。
第三者の証人も見つかりそうだし、捕まる必要性を感じませんでしたね。
罪悪感を考えるなら、見えない美夏に対して指紋を拭き取るより「怯んで逃げて行った」と言う方が…
などなど、暴力シーンから連なる一連には疑問点ばかり目につきました。