劇場公開日 2024年12月28日

苦悩のリストのレビュー・感想・評価

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4.0マフマルバフ一家の末娘が切実に訴えるアフガンの人々の苦難

2025年1月31日
PCから投稿

イラン出身の映画一家マフマルバフ・ファミリーの末娘ハナが監督作『子供の情景』を発表したのはまだ10代前半だったと思う。もちろん家族のサポートがあって完成した作品だろうが、タリバン支配下のアフガニスタンで、子どもたちが憎しみと争いの連鎖に巻き込まれていく姿がひとつの寓話としてみごとに描かれていた。

マフマルバフ・ファミリーはその後イランから亡命し、現在はロンドン在住だという。しかしアフガンが再びタリバン支配となり、米軍が撤退を進める中で、父モフセンは命の危険にさらされたアフガンの芸術家たちとその家族を、あの手この手で国外に脱出させようと奔走する。もうすっかり大人になって子ども育てているハナが父に呼び出されて救出作戦を手伝いながら、その模様を映像で記録したのがこのドキュメンタリー。

タイトルは、救出する人々の優先順位を付けねばならない事態になり、苦悩の末に20人ずつのリストを作っていく作業に由来する。

正直、世界のすべての苦難に心を寄せたり実際に行動できればいいけれど、超人ではないのでとてもムリ。しかし、救出計画の切実さは、見ていて息が苦しくなるほど。ハナは世界にいまも続いているアフガンの芸術家たちの苦難を伝えるために映画という形にまとめたと発言しており、実際、ジャーナリスティックなドキュメンタリーだと思うのだが、アフガンの惨状とロンドンの日常と隣合わせに描くことで、汎用性の高い痛烈な作品になっているのはさすが。

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村山章