「「そんなの選べる筈はない」」苦悩のリスト La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
「そんなの選べる筈はない」
2021年に米軍がアフガニスタンから撤退したことにより、それまで地方で勢力を温存していたタリバンが一挙に全土を掌握します。それによって、国外に脱出しようとする人々によって空港はパニック状態に陥りました。飛び立とうとする米軍機の翼や車輪に多くの人々がしがみつきますが、機はそんな事を意に介する事なく離陸します。すると、空高く舞い上がった飛行機から次々と人が振り落とされるのです。誰一人助かってはいないでしょう。それを映像に記録する残酷さ。
一方、それまで自由な活動をしていた作家・映画監督には、タリバンによる迫害・拷問・殺害の危機が迫ります。そこで、国外に居るイラン人映画監督が支援グループを組織して、彼らを国外に逃がそうとします。しかし、タリバンが空港閉鎖と指定した期限は迫るのに、航空機の手配は足りず、支援したい人々と連絡も取れず、国外脱出が必要として彼らが挙げた人々全員を搭乗させるのは不可能となります。そこで、彼らは、では一体誰を助けるのかを選別せねばならなくなったのでした。
作中で悲鳴の様に語られますが「そんなの選べる筈はない」のです。自分の選択一つで人の命が決定されてしまうかも知れないのですから。でも、何もしないよりは一人でも多く助けた方が良いに決まっています。これは辛いなぁ。
こんな事言っても世界はびくともしない事を承知で改めて声を挙げたい。人を殺すな、傷つけるな、自由に発言できる平等で開かれた社会を。
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