「史実も素晴らしいが、今作品も素晴らしい♪」ナイアド その決意は海を越える レオンさんの映画レビュー(感想・評価)
史実も素晴らしいが、今作品も素晴らしい♪
驚愕の大記録を正攻法で描く、超骨太名作! その不屈の精神は見る者をも同調させる。 もっと注目されるべき作品。 史実も素晴らしいが今作品も素晴らしい♪
日本では24時間走るのが毎年恒例のチャリティーイベントでその姿がデフォルメされたドラマの様だが、ダイアナ・ナイアドは50時間以上を泳ぎ続ける。 上記イベントでは、休憩中にマッサージ等を受けれるが、ナイアドは休憩中や食事中も立ち泳ぎをしている。
そう、休まる事なく二日以上、体を動かし続けているのだ・・。
まさに実在する本当の "超人"!
作風も時折、少女時代の記憶が挿入される以外は、時系列通り描写する正攻法で、伏線などの疑問描写など全くない。 台詞も一語も無駄のない展開で物語を進め、見てる方が逆に聞き逃すまいと、より画面に見入る!
この作品の天晴れなのは、冒頭でナイアドの本人実写映像で、どういう記録を持ち何を失敗したのか、説明代わりに見せている。 伝記やドキュメンタリータッチの作品がエンディングで使うのと逆。
そして今作の魅力は、この手作品にありがちな辛描写が多いスポコン物語風では全くなく、記録にチャレンジするまでの日常も、いきいきと描写し、犬とじゃれる・とあるサプライズ・ピンポンゲーム等、本筋と関係ない箇所でも魅せるシーンが多々。
コメデイでもないのに、声を出して笑ったシーンも6箇所以上あった^^♪
これを支えているのが二人の名女優の圧倒的な演技。 皆さんこのサムネ画像を見て、あの上品で整ったお顔の"アネット・ベニング"と分かりますか? 彼女は喜怒哀楽全ての表情を今作中で演じてますが、その瞬間台詞がなくとも、心中でなにを思っているか直伝わるシーンがほとんど。
ナイアドを演じているというより、ベニングがナイアド本人に見える。 その豊かな表情は見ている者の感情も同調させて、一緒に喜怒哀楽を味わえる。
これこそが、称賛されるべき演技と感じる。
「哀れなるものたち」のエマ・ストーンを絶賛している方も多かったが、私には特殊な人物を上手く演じている・・としか見えなかった。
私なら、アカデミー賞主演女優賞は断トツでアネット・ベニングだ!
そのコーチ役のジョディ・フォスターも素晴らしい。 今まで切れ者才女的な役が多かったが、今作では全く違ったキャラクターで、気さくでガッツある縁の下の力持ち的存在を力演している。
(恐らく筋トレも相当している!)
私的には助演もフォスターで決まり♪
物語としても資金提供者捜しや、各エキスパート集め、トラブルの解決作模索、さらには綺麗な幻想シーンまで起伏が多様で飽きさせない。
そして、チャレンジ失敗する度、その過酷さと難度に見ている方も突き放され、感情移入せずにはいられない・・。
並外れた能力者でも、とっくにあきらめているはず・・。
ところが・・・。
破産しても彼女をサポートしようとする者まで現れる・・。
ハッキリ言って、アカデミー作品賞にノミネートされないとおかしい作品です。
作品賞独自のあの"必須マイノリティ要素"がなければ、最有力作品になって当然と思います。
とにかく必見です♪