「SF宇宙船×女子高生たちの日常・青春・友情=クソヤバイ！」デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション　前章　近大さんの映画レビュー（感想・評価）

『インデペンデンス・デイ』の印象的なシーン。朝起きて、新聞を取りに行く。周囲が何か騒がしい。視線を上げると、その先には、上空に浮かぶ巨大な宇宙船…！
すぐに侵略や地球の命運を懸けた闘いが始まったが、もし、それが起こらなかったら…？
“侵略者”は何もせず、宇宙船は上空で停止したまま。
そんな“非日常”が“日常”と化したら…？

3年前の8月31日。東京上空に突如巨大宇宙船が飛来。“母艦”と呼ばれるように。
巨大な宇宙船が浮かんでいる。目的は…？ 『メッセージ』的でもある。
米軍が攻撃。それによって母艦は渋谷区上空で停止。おびただしい被害と犠牲を出した。通称“8・31”。
時折母艦から小型船が出現。自衛隊が攻撃。戦闘…と言うより、人類の一方的な攻撃。宇宙船が突如現れた事で事件や緊急事態も起きている。『第9地区』的でもある。
世の中や大人たちは言う。あれから何もかも変わってしまった。
が、そんな“日常”で青春を謳歌する女子高生の小山門出や中川鳳蘭こと“おんたん”。
確かに世界は変わったが、門出やおんたんたちにとっては何も変わらない。母艦が浮かんでいる事すら当たり前で、仲良しグループで恋バナや好きなアイドルや進路の事で頭がいっぱい。
異常事態が起きても平凡な日常は続く。東日本大震災やコロナ禍のメタファー。
門出やおんたんたちの日常はコミカルでシュール。ギャグも多い。
宇宙船×女子高生たちの異色の日常系コメディ・アニメ…？
否。時折挿入されるシリアス描写。謎めいたシーンや言動、キャラ。
特に門出とおんたんの関係は、もう一度見ると伏線にもなっている。
前半は高校生の門出やおんたんたちが描かれ、後半からは小学生時代の過去エピソードが描かれるのだが…、これがさらに謎を深める。
おんたんが謎の少年と出会い、まるで意識が過去へ…。

小学生時代に友達になった門出とおんたん。
ある時門出はUFOを見た。変わり者。“デーモン”とあだ名され、いじめられていた。それを助けたおんたん。
一方のおんたんも門出を助けた事でいじめの標的に。
二人にとって暗い小学生時代。二人が仲良くなったのは、夏の塾合宿。“非日常”と出会う…。
背丈は子供くらい。宇宙服のような姿、目玉の親父のようなヘルメット。それとも顔…？
宇宙人…？
知的な言動。高度な技術。
“現在”と同じ。目的は…？ “調査”でもあり、“侵略”とも…。
“侵略者”は“8・31”前にも来ていた…？ 小学生時代の門出とおんたんは会っていた…？
だが、“現在”高校生の門出とおんたんはその事に全く触れない。忘れているのか…？ いやそもそも、何も知らないような…？
この小学生時代のエピソードは『ドラえもん』の影響もしくはオマージュが明らか。
いじめられっ子、いじめっ子、別世界から来た存在、お助け道具を出す。
って言うか、もうまんま。劇中で『ドラえもん』をモチーフにしたような『イソベやん』なんてギャグ漫画も出てくるし。(のび太のようなダメダメ少女、デベ子。声はTARAKOさん。合掌…)
小学生時代のエピソードは『ドラえもん』のような“SF(すこし・ふしぎ)”物語…？
またまた否。この小学生時代のエピソードが寧ろ恐ろしいのだ。
『ドラえもん』…と言うより、藤子先生の名作『SF短編集』を彷彿させるような。絵柄は可愛いが、描かれるのはブラック。
侵略者(イソベやんのぬいぐるみを着せ、二人は“イソベやん”と呼ぶ)の道具を使って、一日一善。学級新聞にも載る人気者になったが…。
門出は人助けをしようとした時、ある事故を…。死者が出る。
道具は恐ろしい兵器でもあった。
こんな事になるなんて…。悪気があってしたんじゃない。善い事をしようとして…。
世の中、悪い人や悪い事なんていっぱいある。
門出の善行は独善となり、暴走。事件を起こす。世の中に蔓延る悪を一掃しようとする…。
門出は、全ては世の中とおんたんの為に。が、おんたんは拒む。
仲違いしてしまった二人。
ある時高所で。門出はおんたんに“友達”である事を告げ、そこから飛び下り…。おんたんは制止しようとするが…。
ここで何が起こったのか。再び、“現在”のおんたん。夢幻でも見ていたかのように。
いや、小学生時代は“過去”で、今はその過去から続く“現在”なのか…？
不可解な事や謎が多過ぎる。

原作者・浅野いにおの名をどっかで見た事ある…と思ったら、『ソラニン』の原作者でもあったか。
と言っても実写映画しか見てないし、浅野いにおの事もよく知らないし、原作コミックも知らなかった。
が、ファンや知っている人の間では名作。待望のアニメ映画化。二部作で。原作コミックは12巻あるので、それでも結構はしょられているとか。
TSUTAYAの宅配レンタルで届いたら見ようと思っていたら、U-NEXTで見放題独占配信。
当初はコミカルな日常系だと思っていた。幾田りらとあのがナチュラルな声もぴったりとも。(二人の声優ぶりが巧い！)
休日の昼間、のんびり見ようと思っていたら…、その期待は違う意味で裏切られた。
“過去”小学生時代と“現在”高校生。全く違う世界なのは明らか。今はマルチバースが流行りだが、『ドラえもん』的に言うとパラレルワールド。
どうやって…？ 門出とおんたん、そして世界に何があったのか…？
“侵略者”の目的は…？
ラスト、石川県から上京してきた二人は…？
謎めいた人物も多い。
自衛隊の新兵器による攻撃。おびただしい侵略者が…。地獄絵図。
小学生の門出の事件もそう。善とは…？ 悪とは…？
ラストシーンの衝撃の文字。人類終了まで半年…!?

このまま後編を見ようと思ったが、一度だけでは把握出来ない。
もう一度見て、今レビューを書いている。
さあ、後編を…。
日常がひっくり返るような、クソヤバイものを見たかもしれない。