「無双する女子高生」デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章 Uさんさんの映画レビュー(感想・評価)
無双する女子高生
規範や善悪から乖離して、女子高生たちのシュールな無双っぷりを愉しむのがテーマかなと思いました。その結果、日常とか平和の意味や怖さに思い至ることもある。
原作は未読です。予告編でおんたんと門出の等身大(女子高生大)の新鮮な艶っぽさにやられて、本作を観る気になったのは秘密。卒業記念に教師と深い仲になってしまおうとか、出してしまえとか、二人の女子高生が甘酸っぱく無茶する姿を見たくなって観賞しました。何かがきっと覗けるであろうと言う好奇心メイン。
◉目を見開く
3年も経てば非日常も日常になるとは言え、精緻に彫り込まれた鉄壁の城塞は、やはり遠い。二人は悟った顔して、航空母艦の非日常を忘れようとしているのか? 君か世界かと問われたら絶対に君! しかし世界と世間の行く末にも加担しようと、少女と少女は思い出も辿りながら、心を繋ぐ。
何の曲を聴くかとか、どのゲームをどんなアイテムで進めるかとか、どの男子とつき合うかとか、それと非日常から飛来した正体不明の侵略者をどう捌くかとかにどれほどの差異があるのか? 頭の中なら絶対的な差だと理解しても、生活している最中のヒトにとっては同じかも知れないのだと、作品は語っていたようです。「何にも考えていない自分」や、そう言いさえすれば免罪符ぐらいにはなると「少し信じている自分」がいる。
◉目を瞑れ
一方で、平和を目指すのではなく、平和が欲しいならば、基本、大所高所から物事を見ないで眼前だけ見る…ことを強調しているのかなとも感じました。そして結論は決して急がない。
飛びっ切り可愛い八っつぁんと熊さんは、そんな風に世界と世間の在り方を指摘していたようにも思えたのです。だから、空母は安定した都市の天空の景色になった。
最前線に統率者はおらず、目玉たちや市民が命を費消されているにも拘らず、目を瞑る安穏に浸る世間や世界。あの生温かい複眼の青年タイプは、もう繁殖しているのだろうか? おんたんと門出は夢と記憶をなぞりながら、何を言い放つのだろう? しでかすのは分かっているが、何を?
ところで後章が封切りになるのに、ウダウダしてまだ前章のレビューを投稿していない。投げてから、投げてからと言い聞かせていたのだが、うっかり昨夜、後章を観てしまったではないか。