劇場公開日 2023年11月18日

「観衆の前で手が震える泡沫候補者のリアル」NO 選挙,NO LIFE ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0観衆の前で手が震える泡沫候補者のリアル

2023年12月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

Xのポストやヤフコメのコメンテーター欄で見かけていた畠山理仁。ややコワモテの選挙ウォッチャーかと思っていたが、物腰柔らかい気さくな人で、原稿料もらっても取材費で赤字とか、選挙取材を何度辞めると言ってもまだ続けてるとか、まあ熱烈な選挙オタクなのだった。

前半、参院選2022に登場する泡沫候補者が、昔の雑民党・東郷健や大日本愛国党・赤尾敏、比較的最近だと外山恒一などの主張ならまだ理解できなくもないけど、超能力やバレエ大好きとなるともうなにがなんやら(ちなみに赤尾敏の姪・赤尾由美が反ワク・スピ系の参政党から出馬し登場)。そんな候補者をひっそり公認するN党・立花孝志の策略や、後半の沖縄県知事選では、公選法違反となる候補者不在ののぼり旗、ひろゆきが伝えない辺野古ゲート前での座り込みの話などは勉強になった。

今の時代、選挙ライターじゃ食えないとわかりつつ、全候補者に会って記事を書く畠山。半ば呆れながらも夫・父を支える家族と同じく、映画を観ると彼を応援したくなる(ちなみに限定公開だったTOHOシネマズ日本橋では上映後に拍手)。政治的無関心からの日本の低投票率は、選挙前にテレビが候補者に関して沈黙しちゃうことにもあると思うけど、不偏不党や公正・公平のお題目を盾にするなら、畠山のように全員取材して放送、なんなら畠山に番組作らせろとすら思う(ちなみに本作はネツゲン制作なので不偏不党というわけではない)。

ジョンスペ