「”教養”としての東京漫才」漫才協会 THE MOVIE 舞台の上の懲りない面々 テレビウォッチャーつばめさんの映画レビュー(感想・評価)
”教養”としての東京漫才
浅草東洋館を本拠地として活動するお笑い芸人グループ「漫才協会」がテーマ。
作品制作中に同会7代目会長に就任したナイツ塙監督作品です。
小泉今日子とナイツ土屋のナレーションで
・漫才協会とは何か
・漫才協会の歴史
・漫才協会会員
が映し出されます。
そもそも漫才協会とは、というレベルから理解できる内容になっています。
この作品は、漫才協会がテーマではありますが、これそのもので大爆笑というわけではなく、落語や講談などを含む舞台演芸に関する知識を教養として捉えようとする人々にとって有用な作品です。
各登場人物は、その人生観とともに紹介されることからフジテレビの「ノンフィクション」風のドキュメンタリーでもあります。
<主な登場人物>
・飲んだ帰りに鉄道ホームから転落して電車と接触して右腕を失った
大空遊平
・相方の死を経験した
ホームランたにし、カントリーズ福田
・漫才協会入会のきっかけエピソード
ハマカーン、U字工事、X-GUN、プリンプリン、金谷ヒデユキ、BOOMER、錦鯉、じゅんいちダビッドソン、にゃんこスター、ふじいあきら、ロケット団、ねづっち、宮田陽・昇、すず風にゃん子・金魚、わらふじなるを
・草野球やフットサル、消しゴムサッカーなどのレクリエーション風景
コンパス、漫才56号
・東洋館のかつての思い出
ビートきよし
・若手漫才師の日常
ドルフィンソング
・実生活では離婚した夫婦漫才師
はまこ・テラこ
・内海桂子の思い出
成田常也(芸人ではなく桂子のマネージャーであり夫)
・幻の会員
高峰コダマ
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作品そのものが爆笑の対象ではなく、教養的だとすると、お笑いと真反対ではないかというパラドックスも感じますが、時の人(ブーム、ファッション、トレンド)となるような派手なクリエイティブ活動ができるのは、いつの時代でもごくわずかと考えると、日常生活に組み込まれるエンタメや教養としてのポジションは、生活できる人のすそ野を広がることにはなりますから、とても価値があることだと思います。
私お気に入り、東京太・ゆめ子、中津川弦、オキシジェン、マリア、爆弾世紀末がフィーチャーされなかったのは残念でしたが、それは寄席の現場で楽しみたいと思います。