「続・銀河の七人 辺境の決闘」REBEL MOON パート2 傷跡を刻む者 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
続・銀河の七人 辺境の決闘
ザック・スナイダーの“『七人の侍』×『スター・ウォーズ』”。
銀河の強悪な帝国の脅威に晒された辺境の惑星を救うべく、集った7人の戦士。
『七人の侍』で言うと侍たちが村にやって来た所で終わった前作。違いは、『七人の侍』はこれから闘い控えているが、こちらは残忍な提督を倒し、戦果を称えるべく村へ。
あれ、戦いは終わり?…な訳ない。
提督がまさかの蘇生。復讐の為、艦を向ける。
備える戦士たち村人たち。決戦の刻がいよいよ…。
後編、開戦!
『七人の侍』よろしく前半は戦士たちと村人たちのドラマ。
『七人の侍』では侍たちを怖がり出迎えもしなかった村人たちだったが、こちらでは助けて貰う事を恥とする。
救いを求めるのも一つの勇気。村人たちに戦い方を教える。
戦士たちは収穫も手伝う。穀物は武器にも盾にもなる。取引の材料になるし、穀物を家々に隠しておけば攻撃される事はない。
数奇な縁から集った戦士たち。互いの過去を打ち明ける。皆が帝国に苦しめられ、怒り憎しみを…。
一人だけ打ち明けられなかったコラ。帝国の元暗殺者だった事、姫を暗殺してしまった事、ハメられお尋ね者になった事…。
唯一打ち明けたのは、共に旅立った村の男ガンナー。いつしか愛し合うようになり…。
スナイダーは前作以上にドラマやキャラ描写に深みが増したと言っているが、薄っぺらさに何ら変わり映えナシ。
唯一面白かったのは、収穫シーンにまで十八番のスローモーション!
遂に艦来襲。
再び対峙する因縁のノーブル提督とコラ。
お尋ね者のコラを捕らえれば大きな成果を上げられるノーブル。
コラも自分が投降すれば犠牲必至の争いは避けられる。
が、ノーブルがそんな約束を守る訳ないし、そもそももしそんな流れになったら散々盛り上げてきたものは…?
一応とは言え、スナイダーさん、このシーン描く必要あった…?
ご安心を。決戦を告げる鐘は鳴った…!
タイタス将軍率いる地上部隊。村人たちも勇敢に闘う。
ノーブルも自ら実戦へ。凄まじい復讐心と執着。
前作では旅立ちや戦いに参加しなかったロボット騎士のジミー。コラ同様、帝国の元殺人マシンなだけあってそのパワーを発揮する。
コラとガンナーは敵艦に潜入。内部からの破壊を試みるが…。
あっちでこっちで繰り広げられる壮絶な闘い。優劣も入れ替わったり。
いざ闘いが始まれば、ド迫力、スケール、VFX、スローモーションを駆使し、ケレン味たっぷりに展開されるスナイダー・アクション!
やはりここだけでも劇場大スクリーンで観れないのが残念!
闘いの迫力は申し分ナシ。
だけど、一つ気になったのは…
犠牲は覚悟の上。『七人の侍』だって侍や村人たちにも犠牲者が…。
にしても、犠牲出すぎじゃない…?
村を守り、名も無き英雄として闘って死ぬのも誇り高いだろうが、もうちょっと防戦も固めても…。
これじゃあ闘い終わって再び平穏訪れても、失った犠牲と負った傷痕こそ重大。
戦士で犠牲になったのはペ・ドゥナのみ。アジア人差別じゃないよね…?
寄せ集めの戦士&村人チームだが、帝国側も何だか間抜け。
前作以上に残忍さが増したノーブルだったが、結局二度殺されるし。素直にコラの提案飲んでれば良かったのにね。
何はともあれ、闘いは終わった。勝利を収めた。脅威は去った。
勝ったのは…とあの締めの名台詞でも飛び出すのかと思いきや、本当に闘いは終わったのか…?
たかだか帝国の一人の提督と一個大隊と巨大艦を打ち倒したに過ぎない。
帝国とバリサリウスの脅威はまだまだ健在。これらを打倒せずして銀河に平和は訪れない。
姫は生きていた。姫は何処に…?
探し出す。闘い続ける。
あれ、2部作で完結じゃなかったの…?
そう展開していくのなら、壮大な前降りに使われたおびただしい犠牲を出したこの村での闘いは何だったの…?
何だか締まらず…。ちょっと、スナイダーさ~ん!