コンクリート・ユートピアのレビュー・感想・評価
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閉塞感がありすぎ
韓国映画のディザスタームービーは過去2作が良かったので、期待したのだが、長く感じられた。
人間をじっくり描くのはよいけれど、あのように色が少ない大画面を2時間以上見続けるのはつらい。やはりパニックが起きる前日譚と、一応災害の原因と後日譚は入れてほしい。そのほうが効果的だと思う。
それでも地震に怯える私には十分身につまされる内容であり、人間の恐ろしさが伝わってきた。今の普通の生活がどんなに幸せであるか顧みさせる役者たちの熱演に打たれた。
イ・ビョンホンが妻?に「解決」できたことがないとなじられたことを回想したり、いざ実行となると頼ってくる婦人部長に言い返すシーンがリアルで説得力があった。韓国社会も決断力のある「男らしさ」が求められるのだろう。男の人は特に辛さがわかるのではないだろうか。
若い夫婦に好感が持てたので最後は残念。井上真央似の妻がとても可愛かった。
極限の状態で、人間は正気を保つことができるのか
大災害が起きても、救援の可能性があれば、協力しあって耐えることもできる。が、政府も自治体も壊滅したとなると、エゴ剥き出しでぶつかり合う可能性は大いにある。
そんなシチュエーションを無理やり作った感はあるが、物語が始まってからの人間ドラマはリアリティがある。
身を挺して火事を食い止めた男が、リーダーに祭り上げられ、最初は自信なさげであったが、非住民の追い出しに成功してからは、どんどん専横的になっていく。
婦人部代表の女性が、その傍で、自分の望む方向に住民を上手くアジテートする。よく見る光景だが、上手くいっている間は、口を出すのは難しい。
日本赤軍がそうだったように、オウム心理教がそうであったように、暴走を始めた組織がやることは大体一緒。裏切り者をあぶり出し、忠誠心を競い合わせて、てなずける。そして最後は、粛清。
代表になった男には、マンションにやってくるまでのバックストーリーがあり、この設定が、壊れていく人間関係をさらに複雑にしていく。
韓国だから起きる。日本では起きない。とは言い切れない。復興はおろか、明日の食料も確保できない状態になってしまえば、まともな精神状態でいることの方が難しい。
恐い御伽話として、消化するにはあまりにも重い。そんな作品でございます。
明日は我が身。
大好きな韓国映画って事でかなり期待しちゃったせいか今一歩足りず…でした。
所々退屈あり、何が足りなかったんだろ〜。テンポもイマイチ。
でも皆さん演技は素晴らしいし、考えさせられる内容でした。
代表!貴方は悪くない!最後までかっこよかった、ラスト泣かせないで〜。
韓国映画でパラサイト 半地下の家族に続く傑作ということで期待しまく...
韓国映画でパラサイト 半地下の家族に続く傑作ということで期待しまくりで鑑賞。
飽きずにドキドキハラハラしながら観れました!
イ・ビョンホン狂気的過ぎて怖いし、パク・ソジュンかっこいい、パク・ボヨン綺麗で良かったです。
震災なのかよく分からない現象が起きてそこが気になりましたが、多分日本ならここまで争わなそうだな(笑)って思いながら観てました…。良い人達が報われなくて胸糞悪いシーンもあったり、色々と見応えありまくりでした。
あとは今観るべき映画だなと思いました。
ディストピアらしく?よかった。
正体不明の大災害のことはほぼ置いておいて、代表さんも主演夫妻も周りも、想像の範囲内で、でも面白くというと違うかもだけど見せる。
能登の震災があってすぐ故の嫌な感じもあるけど、光も見せてくれているのはよかった。
あの状態はどこまで広がっているのだろう。
ちょうど予告でマッドマックスの続編を見たので繋がりを感じてしまった。。
カタストロフは物語の中だけの方がいい。。
ミスリードが自爆する‼️❓
予告編から、SFもしくは超能力、宗教的なものを期待していた。
大惨事の中で、唯一残るアパートの理由、解決するのか?
そんなものは全て、関係ない。
ただ、災害時の集団心理の動きがあるのみ、それでも良いのですが。
こんな特殊な環境抜きでも、韓国や米国では良くある風景。
でも、戦時の韓国として、リアリティは掛け値なく凄い、それだけは評価したい。
ああ、ヒロイン目線でのドラマは素晴らしい、ヒロインも素晴らしい。
しかしながら、他国に普遍的なテーマを突きつけるかとゆうと、それは断じて無い。
韓国代表のアカデミー賞候補なのは、韓国の実情を吐露したとゆう意味なのかもしれない、それなら衝撃的告発となるのかもしれない。
予断なく観た方が映画を楽しめるかも🎞。
韓国を知るために、是非。
普通の人々の物語
「コンクリート・ユートピア」タイミングの悪い公開となったけど、ディザスタームービーとしての側面は一部だけで、普通の人々がなぜ安っぽい扇動に乗ってファシズム、排外主義に陥るのかを描いた秀作でした。むしろ、震災の度に排外主義が闊歩するこの国で今観るべき映画かも。
ただの災害映画ではない傑作
韓国映画お得意のパニック災害モノかと思いきや、それだけではなく社会派の側面もあり、とても見応えのある作品だった。
ファングンアパート(劇中で唯一陥落しなかった建物)の住人たちは、現代社会の縮図といっていいだろう。序盤からそれは明確で、アパートの火災が起きた際に果敢に消火活動を行った住人•ヨンタク(イ•ビョンホン)を、全員が住民代表に推薦した場面は、自分で責任を負いたくない、誰かに責任を負ってもらいたいという現代人の思考を象徴したような場面だった。
また、終盤でヨンタクが偽物の住人だと判明した際に、他の住民たちが一斉にヨンタクを責め立てる場面も印象的だった。散々食糧を探しに行ってもらったり、アパートでのシステムなどを率先して考えてもらっていたくせに、そのような感謝の気持ちは全然ない。もちろんヨンタクが行ったことは許されることではないが、少なからず住民たちは恩恵を受けていたはずだ。もっといえばヨンタクをリーダーにしたのは住人たちである。人間の身勝手さを揶揄しているかのような場面であった。
ただ忘れてはならないのは、住人たちは全員「普通の人」だったということだ。災害が起きる前はみんな平穏に暮らしていた。しかし災害が起きてからは、自分たちの食糧を確保するのに必死で、そのために部外者を追い出したり、食料品店の店主を襲ってまでして食糧を確保する。人間が未曾有の大災害に直面したらどうなるのか、ある意味製作陣が映画を通してシュミレーションしているような感じでだった。
映像面も素晴らしかった。アパートの瓦礫群のどこまでがセットでどこまでがCGなのか、全く見分けがつかなかった。またミンソン(パク•ソジュン)の回想シーンで、地上が隆起して街が襲ってくる場面があったが、まるで自分がその場にいるかと錯覚するほどの緊迫感とリアリティーがあった。災害映画としてもかなりの力の入れ具合だった。
ただツッコミ所がなかったわけではない。それは政府の存在だろう。おそらく大規模災害に政府も混乱しているのだとは思うが、それにしても一切救援は来ないし、驚くほど存在感を感じられないのは疑問だった。まぁ、助けが来てしまうと話が終わってしまうので、ツッコミべきではないのだろうが。
役者の演技に関してだが、やはり主演のイ•ビョンホンについて触れないわけにはいかない。最初はリーダーに乗り気でない感じであったが、住民たちに頼られるうちに感化されて、本気で生き延びるための策を考える。しかしそれが暴走してしまい、狂気の人間へと変貌する様は凄まじいものがあった。終盤での絶望と悲壮感が混じったような目も忘れられない。まさしく熱演と呼ぶに相応しかった。
最後に、少し話題は逸れるが、2024年1月1日、石川県を中心に大きな地震があった。そのような出来事があった後なので、この映画を鑑賞するかは悩んだが、今だからこそ観てもいいのではと思い鑑賞した。実際、映画を見て「自分があのような状況に追い込まれたら、赤の他人に食糧を分け与えたりするだろうか」と考えたりもした。この映画で描かれたことは、決して他人事ではないのだ。
起、がないから。
起承転結、起がなくいきなり大震災。2時間ひたすらサバイバル展開。エゴにサスペンスからめて面白いんだけどそれ以上は特になし。結末はこうするしかないよねー、って感じだけどたったひとつのマンションだけ取り残す、ってなかなかなアイデアだよね。
ユートピアからディストピアへ
この時期にこの映画を楽しんでいいのかとの迷いもあるが、そこは割り切るしかない。
極限状態にある閉鎖された空間で人はどのように思考し行動するのか。大地震で周りの建物がほぼ倒壊している中、残ったマンションが舞台。ソウルの気候を考えると屋外で過ごすのは死を意味する。
こうした設定はありがちとも言えるが、本作が面白かったのはマンションの住民組織が作られていく過程が描かれていること。そこにはリーダーが必要という考えがベースにあるのも韓国的な気がしてしまう。日本だったらあんな感じでリーダーを持ち上げない気がするし、あくまで合議で決めようとする人が多いはず。
だからあまり身近なことには感じないが、起こる出来事やみんなの行動、そして最後の展開を楽しませてもらった。
本作であのマンションはたしかにユートピアと呼べるような状況が作られた(あくまでその周りと比べた上での理想郷だが)。でも、ユートピアが現実に存在し維持していくのは難しく、システムも綻びを見せていく。ユートピアに見えたマンションが徐々にディストピア化していくのがまた興味深い。
あれだけの地震が起こっているのに全く救助が来ないということは、韓国全土が崩壊するほどの規模だったのか。そのあたりの説明はない。その割り切りは逆にあの空間の異様さを際立たせ、余計なことを考えさせない効果があった。
人肉を食べることについて、明確な描写はなかったが、最後の方で弱っている2人を見つめる男の表情が、獲物を狙う動物の顔になっていて、本当におぞましいシーンだった。そう考えるとあのラストは救いがある。ただ、あれからどうなるんだ?と考えるとハッピーエンドとは言えない。
人として、生き抜くことは出来るのか?
2024年、映画館で1本目の観賞なんですが・・・
本編の始まる前の予告編で睡魔に襲われ、気が付いたら既に映画は始まってました。
なぜ、こんな廃墟になったのか?
イ・ビョンホンはどうしてリーダーになったのか?
肝心な部分を見逃してしまった気がしないでもないですが、まぁ、かなり楽しめる一本でした。
食料の奪い合いなんてのは、ディストピアものでは、当然のなり行きで、本作も有りがちな話だとは思います。
ただ、災害の前に既にイ・ビョンホンは、悪に手を染めていたわけで、極限の状態で変わったって訳ではないんですよね。それを隠しながらのリーダーってところで、ちょっとサスペンス色もあったかな。
唯一崩れなかったアパートってところが特異ではあったけど、韓国の住宅事情から作られた作品って気もしますね。その辺のところが詳しくないので、自分には違和感にしか思えませんが。
相変わらずの韓国のストレートな映像に魅せられます。ただし、他のレビューにもありましたが、ちょっと大人しめな気はしました。
あくまで、映像的にということですが。
八つ当たりで娘を殺したり、アパートの外の住人をゴキブリ扱いしたりと、やることはえげつなかったです。
自分が生き抜くためには、何をしてもいい。エゴの極みを見せつけていく作品です。その中で人としての正気を保とうとする女性。その女性を守るために鬼畜の道を選ぼうとする夫。自分だったら・・・
ホンッと考えさせられる一本でした。
それにしてもイ・ビョンホン。相変わらずのカッコよさではあるのですが、すっかりオジさんっぽくなっちゃいましたね。
【”排他、同調圧力。そして招いた因果応報。”大災害時、一棟だけ壊滅しなかったアパートに住む排他的行動を取った人々の愚かしくも恐ろしい姿を、物凄いシニカルな視点で描いたディザスタームービーである。】
■今作は、大災害に見舞われたソウルの街を舞台に、唯一崩落を免れたに「皇宮アパート」の住民たちのサバイバルを描いている。
そして、当然の如く周囲の倒壊したアパートたちの住人は「皇宮アパート」に殺到する。
◆感想
・「皇宮アパート」の婦人会会長が、アパートの軍歴がある比較的若い人を集めて行った、外部の人を受け入れるか、拒否するかを決める裁決シーン。
ー 結果は、圧倒的多数で拒否を決める人たち。更に、住民代表を決める選択で、住民代表に選ばれたのは、その前に一階で起きた外部から侵入した者による放火を身体を張って消火したヨンタク(イ・ビョンホン)であった。
ヨンタクは部屋の隅っこに座っていたが、住民代表に選ばれた事で、彼の狂気性が徐々に露わになって行くのである。
イ・ビョンホンはどんな役を演じても素晴らしい俳優であるが、今作は彼の圧倒的な狂気性を漂わせた演技が炸裂していると思う。-
・ヨンタクは、公務員であったミンソン(パク・ソジュン)を防犯隊長に指名し、危険の多い外部に出掛け、食料を調達し始める。
ー それを、心配そうに見ている妻、ミョンファ(パク・ボヨン)。彼女は唯一、人間の温かい心を最後まで持つ女性として描かれる。彼女は外部の母と息子を部屋に入れ、面倒を見ているのである。-
・だが、ヨンタクは外部の人間を”ゴキブリ”と呼び、匿っていた人達を連帯責任として正座で200回詫びの言葉を唱えさせるのである。
ー ヨンタクの狂気性と、彼に同調していく「皇宮アパート」の住民たちの姿は、軍国主義が形成される過程を見ているようである。
そして、婦人会会長やヨンタクの排他的思想、行動に違和感を感じ、外部の人間を匿っていた男は、そんな彼らに抗議するようにアパートから身を投げるのである。-
■場面は、一転して大震災前の「皇宮アパート」に血走った目で車を走らせるセボムという男(イ・ビョンホン)の姿が描かれる。
そして、彼は902号室に住む”ヨンタク”に”金を返せ。詐欺師!”と言って激しい乱闘になる。”ヨンタク”は不動産詐欺師であり、セボムはその被害者であった事が分かるシーンである。
・903号室に住んでいた若き女性ヘウォン(パク・ジフ)が奇跡的にアパートに帰って来るシーンから、ヨンタクは徐々に追い詰められて行く。ヘウォンはヨンタクを見ても挨拶もしない。当たり前である。
ー そして、ヘウォンはミョンファのみに、隣室に住んでいた男はヨンタクではないと密かに告げ、二人はヘウォンの部屋からベランダ越しにヨンタクの部屋に忍び込む。寝ていた老女は完全な痴呆状態であったが、部屋の中に在ったガムテープでぐるぐる巻きになっていた冷蔵庫を開ける・・。ウワワワー。ー
■ミョンファが「皇宮アパート」の住民の前で、殺された”ヨンタク”の身分証を見せるシーンも恐ろしい。
ヨンタクはあろうことか”このアマ!”と言ってヘウォンを深い亀裂の中に投げ込むのである。
統率が取れなくなった「皇宮アパート」の住民たちに襲い掛かる外部の人間達。
彼らは血だらけになり902号室に逃げ込んだヨンタクの脇を土足で歩き、物資を漁るのである。
ヨンタク=セボムは部屋に飾ってあった妻と娘と自分が幸せそうに写っている写真を見ながら事切れる。
ー ヨンタク=セボムも、”妻と娘と夢のマイホーム”を失った、哀しき男である事が分かるシーンである。ー
・そして、「皇宮アパート」を追い出された腹部を負傷したミンソンとミョンファ。二人は廃墟で夜を明かすが、日が昇った時にはミンソンは冷たくなっている。その姿を見たミョンファの目から落ちる一粒の涙。
ー 本来は、公務員として真面目に働き、妻を愛する男が、同調圧力により取った行動故の哀しき因果応報である。-
<ラストは、唯一心が慰められるシーンで終わる。一人になったミョンファは見知らぬ女性達と比較的損傷の少ない建物に入る。そして、そこで暮らしていた女性は、彼女達を拒否する訳ではなく、ミョンファに暖かいおむすびを差し出すのである。”温かいうちに食べて。”と言う優しい言葉と共に。
今作は、有事の際にこそ人間の善性を保ち行動する事の大切さを逆説的に描いた作品ではないかと、私は思ったのである。>
雌鶏泣けば…
大災害で壊滅したソウルにおいて唯一崩壊しなかったアパートの住民達がつくったコミュニティの話。
超絶大災害が起きたのに何故かなんの被害もなく、住民は朝起きるまで気づかなかった?という状態のソウルの皇宮アパートに、被災し命は助かったが住むところを失った人達が押しかけて巻き起こっていくストーリー。
有能な指揮者が必要なのはもちろんだけど、ちゃんと秩序正しいルールがあることも大切な状況だけど、ちょっと兵糧が手に入ると浮かれポンチになるアホな人達…これじゃあマッドマックスの世界へ一直線ですね。
そんな状況に疑問を抱くミンソンの嫁ヨンファ…まあ言いたいことはわかるけれど、無秩序な世界にも秩序はある訳で、嫁の考えはこの様な状態に陥った世界線に於いては能天気過ぎで成り立つとは思えない。
そもそも誰も節約を提言しないし、ましてや彼の国のお国柄ですからね。
とはいえ、狂気と能天気の両極端に振ったドラマでどちらにも引っかかるものがあるし、902号室の男の正体についても考えさせる余地を与えたことはなかなか見事だし、面白かった。
このアパートは世界の縮図
以前は全く興味のなかった韓国映画ですが、近年は良作ばかりですっかり魅了され、本作も韓国作品というだけで飛びついて、公開初日に鑑賞してきました。
ストーリーは、大規模な自然災害に見舞われたソウルで奇跡的に倒壊を免れた唯一のアパートに、救いを求めて群がってきた人々が起こす事件に危機感を抱いたアパート住民が、902号室のヨンタクを代表に選び、部外者を追い出して住民だけで治安を守って生活しようとルールを作るが、しだいに生活は行き詰まり、ヨンタクの言動も不穏なものになっていくというもの。
なぜか1棟のアパートだけが倒壊を免れるという不可思議な設定さえ飲み込めれば、あとは物語にぐいぐいと引き込まれます。テンポのよい展開、ほどよいバイオレンス、醸し出される緊迫感など、さすが韓国映画と思わせるおもしろさです。その上で、人の愚かさや醜さを浮き彫りにして、これでもかととことん見せつけてきます。
アパート住民と部外者のそれぞれの立場から発する言葉には、それぞれの正義と言い分があり、どちらが間違っていると断罪できるものではありません。あえて言うなら、相手の言うことに耳を貸さず、自分の主張だけを貫こうとして衝突することが、いちばんの害悪のようにも思えます。優先順位の最上位に「自分」を置き、利害だけで物事を判断すれば、いつどこで誰が考えても結果は同じでしょう。
思えば、このアパートでの出来事は、現在の地球上で起きていることの縮図でもあり、この星に人類が生まれて以来ずっと続いている争いのようにも見えます。それだけ業の深い、人間の性のようなものなのかもしれません。それでも、ラストシーンにわずかばかりの希望が見えたことだけが救いです。
家族を大切にし、一緒に平和に暮らす家を守りたかったというヨンタクの言葉に、嘘はなかったと思います。そしてそれは、彼に限らず誰もが抱く願いだと思います。その家族が、血のつながり、コミュニティのつながりにとどまらず、国境をも越えるような大きなものであったなら、今地球上のあちこちで起きている紛争もずいぶん減るのではないでしょうか。口で言うほど簡単なものではないとわかっていますが、それでも諦めたくはないと思います。
主演はイ・ビョンホンで、じわじわと変容していくヨンタクを好演しています。脇を固めるのは、パク・ソジュン、パク・ボヨン、キム・ソニョン、パク・ジフら。
多様なテーマが詰め込まれた圧倒的な映画
能登半島地震の悲しい報道に接しているから鑑賞に躊躇いと抵抗感があって、どうするか?と迷っていた。でもアカデミー賞の韓国代表作品を観たいという願望が勝った。冒頭シーンからすごい。容赦のない展開と描写で終始圧倒される。災害映画というと大袈裟で悲劇的なトーンにより観る側は重苦しい気分になるのが一般的だ。でも本作はどこか軽めのタッチで始まる。小さな笑いやコミカルな音楽、余裕がある。そこがまず上手い。内容は壊滅的災害時に露呈する人間同士の醜い争いや「業」だけでなくサスペンス要素も色濃い。だからぐいぐい引き込まれる。イ・ビョンホンの演技は圧倒的だった。冴えない不気味な男から、群衆ともみくちゃになって闘う勇ましい男だったり。凄みを増している。とはいえ内容が内容だけに応えた。。「おもしろいものをみた!」という充実感と現実の災害を連想してしまうしんどいさ。今観るのが辛い人は時期をずらして鑑賞してもいいかも。間違いなくおもしろい映画だから。
震災MAX
踏んだり蹴ったり。パニックスリラー映画だが、最大に人は追い込まれた時の判断模様を描いた作品。ある意味人間模様のドラマ。こういう絶対あり得ないような災害設定の映画は韓国お得意。今回はいつも並みに凝っているが、ストーリーはそこまでは面白くなかった。(普通には面白いが)
余談、パクソジュンの奥さんが井上真央にみえてしょうがなかった。(笑)
無秩序であることの恐怖
ストーリー的には「?」って感じだったが、極限の環境下で統制が取れていない状況が続くと人間は壊れて行くと言うことを痛感。
終盤のBGMに「埴生の宿/Home,Sweet Home」が流れ、自然と歌詞が浮かんだ。深いなあ。
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