劇場公開日 2024年1月5日

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「いびつとはいえ、生きようとあがいた人達を嘲笑っただけのパニックホラー」コンクリート・ユートピア nakajiさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5いびつとはいえ、生きようとあがいた人達を嘲笑っただけのパニックホラー

2024年1月8日
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韓国映画は正論より感情が優先する
典型的な作品ですね
映画作成の目的は刺激を与え、感情をゆずぶり、たとえ、非合法であっても観客を満足させる結果を与え、観客動員に結びつける事です
つまり、内容とは正反対にきわめて合理的な商品として賞賛に値します

コンセプトも映像も素晴らしい
よくあるゾンビ作品よりリアリティがあるので観客も現体験できる
しかし、何をうったえようとしているのかというところでピントがズレてただのパニック映画になってしまった
あくまで推論ですが、韓国の特殊事情であるアパートを根幹に持っていく事で安易に結果を作って結論をそらしたようにみえました

世界が崩壊し国もなくなり社会事態が崩壊してしまった時、アパートの住人のとった行動は正しいというか必然です
船が難波して、小舟に6人しか乗れなかった場合と一緒です
正義感をふりまわしていては舟は沈没しますからね
生物は生き抜く事が目的です
「みんなで滅びを受け入れましょう」という人はさっさと死んでください
守るべきは、自分であり家族であり、近しい人を優先するのは当然の事です

食料を確保し、外敵を排除するための組織を作る
何かを選別の対象に団結する事が必要です
宗教であったり、カリスマ統率者であったり何でもいい
今回の対象はそのアパートの住民である事
そのために命をはって守り切る精神力が強い社会を作る

そういった社会が沢山でき、ぶつかり、潰し合い、やがて国ができる
最初は力の行使からはじまります
小舟が一艘しかないうちは仕方がない
どんどん小舟を増やす努力がいります
生産力が上がれば平和的な争いへと変化していくでしょう
歴史が証明しています
そのためには、未だ、力の行使を辞めないロシア他はとっとと解体しなければいけない

”ウォーキングデッド”のような優れたドラマではこのあたりがよく描かれています

それに比べて今作は、「生きていればいていい」の結末です
これでは、せっかく生きていくためにもがいたアパートの住人が悪人のようです

ヒロインがたどり着いたのは、震災直後の状態のままの集団です
自分達で組織を作ることも出来ず、他の強い集団に入れない、いずれ滅ぶ人達です
近い将来、他の集団に襲われ悲惨な最期をむかえるでしょう

世界が崩壊した時、生きようとあがいた人達をただの人間喜劇として嘲笑ったパニックホラーに高い評価はつけられません
アニメの”ドクターストーン”を観ている方がずっと楽しいですよ

今の日本は、身体が弱い者も、年寄りも天寿をまっとうできる世界になっています
略奪や殺し合いの時代、働くざる者喰うべからずの時代を経て、これからはベーシックインカムなんて働かなくても生きていける時代が来るかもしれない
でも、それは戦争も天変地異も無ければの話です

石川の震災において、津波の次に報道されたのが原発に異常がないかでした
福井には原発が集中していますから
阪神淡路大震災から30年
またもや近くで起こった大震災
こんな不安定な日本にたくさんの原発を稼働させていては、先に日本が無くなるかもしれない
原発はクリーンだと騙して建設を推し進め、東日本大震災後は、今は原発に頼るしか仕方がないと原発を稼働し続ける日本
明日、何が起こるかわからないのにね

今、原発や核兵器などは地球を何度も死滅させられるだけの量があります
今作のような地球的大災害がおこれば人類の復興どころではなくなります
全ての生物が死滅する未来もありえます

話が逸れました
震災被害に遭われた方々、心からお見舞い申し上げます
しっかりした国家がある限り、必ず支援はあります
この映画とは違います
考えなしの輩が出ないよう、今は放映を自粛した方がいい

nakaji