劇場公開日 2024年1月5日

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「既視感ばかりで、想像を超えてくる驚きがない」コンクリート・ユートピア tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0既視感ばかりで、想像を超えてくる驚きがない

2024年1月5日
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発災後、何の救助活動も行われないところを見ると、おそらく、世界の文明は崩壊してしまったのだろう。
ただ、地殻変動によるものと思われる都市の破壊は確かに深刻だが、それだけで、全人類が滅亡してしまうものだろうか?
たった1棟だけ無傷で残ったマンションが聖域化するという流れも、食料や物資が豊富なショッピングセンターのような施設ならいざ知らず、電気も水道も止まっている高層住宅で暮らすのは、かえって不便なのではないだろうか?
おそらく、居住環境による格差や差別を揶揄するための設定なのだろうし、劇中にもそうした描写があるのだが、今ひとつリアリティや説得力が感じられず、なかなか物語に入り込めなかった。
話が進むにつれて、極限状態の中でエゴをむき出しにする人間の醜さや、特権意識に基づいて他者を排斥しようとする人間の愚かさも描かれるが、これまで、数多くのゾンビ映画や「終末」もののSF映画で描かれてきたこと以上のインパクトはなく、特に目新しさも感じられない。
ストーリーにしても、おそらくこうなるんだろうなという予想通りの展開しかなく、しかもモタモタとテンポも悪いので、特に後半は、退屈で飽きてしまった。
話が進むにつれて豹変していくイ・ビョンホンのキャラクターも、それに振り回される夫婦のキャラクターも、どこかありきたりで深みがなく、全体として物足りなさだけが残った。

tomato