「宗教が背中を押す」シチリア・サマー La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)
宗教が背中を押す
同性愛であるが故に蒙らねばならなかった悲痛な運命をたどる二人の若い男性の実話に基づく物語です。
アフリカ系アメリカ人の人々が長年にわたって人間扱いされない歴史を刻んで来た事は知識として子供の頃から知っていました。それだけに『イージー・ライダー』を初めて観た時、白人であっても長髪と言うだけでライフルで撃ち殺されるラストシーンには「こんな事が本当にあり得るのか。これは単なる象徴的描写なのか」と驚かされました。後に、アメリカには確かにあんな風土がある事を知ったのですが、でもあれは1960年代のお話でした。
しかし、本作の舞台は1982年のイタリアです。僕が海外旅行していたらここを通りかかったかも知れないのです。同性愛者をからかったり、侮蔑する人が居る事は想像できますが、それがここまで暴走するのかと空恐ろしくなります。カソリックのお膝元であるだけに自分の価値観に反する事は一層許せないのかなぁ。宗教がこの悲劇の後押しをしたのは間違いなく、それもしっかり描かれていました。
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