「美しいがそれだけではない。」シチリア・サマー Jaxさんの映画レビュー(感想・評価)
美しいがそれだけではない。
事実を元にした映画だが、出来ればパンフレットの内容などの事前情報を入れないで先入観無しで観た方が良いかもしれない。
シチリアの風景がひたすら美しい。
そして二人の少年が友情を築いていく様がとても尊い。
反面、イタリアでも日本でも、ホモソーシャルがいわゆる「男らしくない男」を認めず馬鹿にし排除するえげつなさは同じ。現在でも「弱者男性」を自称する男性の殆どが、女を手に入れられる猿山のトップに立ちたいだけで、強い男だけが女を得られる構造そのものを変えたくなどないのに似ている。
キリスト教もイスラム教も、保守的になればなるほど家族を大事にすべきと思う反面、彼らの考える「家族」の枠にはまらない同性愛者や子供を産まない(産めない)女性を差別する。家父長制と保守性は近い関係にある。ニーノの家族はとても「良い家族」である反面、家族を脅かすと思った相手には誰より残酷なのだ。
主人公2人のように、互いへの尊重なくして健全なパートナーシップなどありえない、それは同性でも異性でも同じだ。
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