「保守的な町での哀しき純愛」シチリア・サマー regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
保守的な町での哀しき純愛
ポスターアートとかからLGBTQ+ストーリーと察していたが、顛末を知らずに観たのでラストで驚き、これが実話がベースで、イタリアでLGBTQ+の人権団体が誕生したというのにも驚いた。
実話の顛末は諸説あるらしいが、こうしたマイノリティへの差別・迫害事情もさることながら、根底にあるのはマチズモ意識の高さ。舞台がシチリア島の保守的な町というのも関係しているのだろうが、男性優位主義がもたらす弊害もチラつく。2016年に他のヨーロッパ諸国より遅れめで同性婚が認められたイタリアだが、シチリア界隈ではそれを良しとしない意識がいまだ根強いとか。『ゴッドファーザー』といい近作の『イコライザー THE FINAL』といい、映画に登場するシチリア住民が軒並み荒々しく描かれているあたりからもそれは伺える。もっともそうでない住民達にしてみればいい迷惑だろうし、そもそも同性婚が認められていない日本なんかよりかははるかに進んでいると言えるけど。
主役2人が美形というこの手の映画では外せない要素もしっかり抑えているので、ストーリーは悲劇だけど、やおい大好きな方も楽しめるのではなかろうか。
コメントする